花は昼に咲くもの?!夜咲くのには意外な理由が…|地球派宣言

花といえば昼間に咲くイメージが強いですが、夜に咲く花もあることをご存じですか?
夜咲くのには、意外な理由がありました。

その秘密を伺いに、夜に咲くスイレンやヨルガオなどを展示している広島市植物公園にお邪魔しました。

ヨルガオ ヨルガオ

日が暮れるとともにゆっくりと開く細い糸のような花は、熱帯地方に生息するサガリバナです。陽が落ちる頃に花を咲かせ、夜明けには散ってしまうため「幻の花」と呼ばれています。
広島市植物公園の久保晴盛(くぼ・はるもり)さんによると、たくさんのおしべが糸のように広がっているのが特徴で、夜7時ごろに咲き、晴れた日だと翌朝の午前5時~6時頃には落ちてしまうので夜の間しか見えないそうです。

サガリバナ サガリバナ

広島市植物公園は通常は午後4時半に閉園しますが、夜に咲く花を知ってもらおうと、毎年9月に午後9時まで開園時間を延長しています。

広島市植物公園 広島市植物公園

こちらは夏の夜に咲く、月見草。日没ととともに一斉に咲いていきます。咲き始めの花びらは白色ですが、朝、閉じる時にはピンク色になるそうです。

月見草 月見草

色が変わる花といえば、子どもたちが葉っぱの上にのるイベントでもおなじみのオオオニバス。世界最大の水草で、暗くなると花が咲き、朝には閉じてしまいます。大きな凜とした花は1日目に白く咲き、2日目はピンク色になります。実はこの色が変わるのは花粉を運ぶ生き物への合図なんだそうです。

オオオニバス 白とピンク色の花 オオオニバス 白とピンク色の花

久保さんによると「1日目の花は、元気な花粉がたくさんある良い花というお知らせをして、2日目の花はもう受粉が終わりましたと、色の違いで虫たちに分からせる工夫がある」のだそうです。
花と言えば太陽の光を存分に浴びる昼に咲くイメージが強いですが、なぜ、夜に咲くのでしょうか。

広島市植物公園 久保晴盛さん 広島市植物公園 久保晴盛さん

久保さんは「植物は子孫を残すために花粉を花から花へと渡さないといけないが、夜咲く花は、夜に活動する動物や昆虫に花粉を運んでもらう進化を選んだ」と説明します。
花粉を運んでもらうのはどの花にとっても大事な仕事。競争相手が少ないとされる夜に花粉を運んでもらうことを選んだようです。また、夜咲く花には昼間は全くにおいがなくても、夜暗くなってから甘い香りを出す花も多いそう。花粉を運んでもらう生き物を呼び寄せるために、様々な香りを出して虫やコウモリを呼ぶのだそうです。

チャボイランイランノキ チャボイランイランノキ

久保さんは「生き物の進化の過程で受粉する相手をどの生き物にしようかと考え、その結果、夜咲く花は夜活動する昆虫やコウモリ、動物を相手として選んだ。少しでも多くの種を残せるように夜に必死に花を咲かせている」と話します。
普段あまり見ることのない夜の花の世界。そこでは「昼間とは違う幻想的な姿」だけでなく、「植物が生き抜くための進化」を見ることができました。

オオオニバスの花 オオオニバスの花

 

 

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2022年9月14日放送)

SDGs
LINE はてブ Pocket