記録的不漁…三原の名物「タコ」に災害と人災で異変|地球派宣言

三原市特産のタコが、記録的な不漁となっています。不漁の原因を探ると様々な問題がありました。

タコの足を揚げたタコ天に、大きな身がまるごと入ったたこ焼き。三原市のタコを使った道の駅の人気メニューです。しかし、タコが記録的な不漁で販売数を3分の1に制限するなど深刻な影響が出ています。

販売数を制限しているみはら神明の里のタコ天 販売数を制限しているみはら神明の里のタコ天

タコを水揚げしている三原市漁協の漁師に聞いてみると「昔はいっぱい捕れていたが、数も減り、大きさも小さくなった」と話します。

タコ漁の漁師 タコ漁の漁師

三原沖は水がキレイで水温も一定なことから瀬戸内海有数のタコの漁場といわれています。事前に海に入れたつぼを引き揚げる”たこつぼ漁”で行われますが、最盛期の8月になっても、タコの量も大きさも十分でないといいます。
漁協は8年前にタコをブランド化し、多い時で年間およそ30トンを県内外に出荷していました。しかし、今シーズンの水揚げ量は、例年のわずか3割にとどまっています。

水揚げされたタコ 水揚げされたタコ

三原市漁協の濵松照行組合長によるとブランド化して初めての状況だそうで、海水温の上昇でエサとなる魚などがいなくなり、タコが育っていないそうです。

三原市漁協の濵松照行組合長 三原市漁協 濵松照行組合長

さらに、不漁の原因として考えられるのが、4年前に起きた西日本豪雨。三原市の沼田川が氾濫し、大量の土砂が漁場に流出、漁に使う「タコつぼ」が砂に埋もれるなどの被害が出ました。
環境の変化に敏感というタコ。
濵松組合長は、「いまも海が汚れていて、海水の中で粒子の細かい土が漂っている」と話します。

三原沖の漁の様子(画像提供:三原市漁協) 三原沖の漁の様子(画像提供:三原市漁協)

原因はまだあります。組合長は箱いっぱいに入った、一般の釣り客が使うルアーを見せてくれました。今シーズンの漁が始まってからの4カ月の間に、タコつぼを引き揚げるロープに引っかかっていたものです。

漁協が回収したルアー 漁協が回収したルアー

濵松組合長は「タコが入ったタコつぼの入口でルアーや疑似餌を動かすとタコは飛び出てすぐに釣られてしまう。ブランド化どころではない」と危機感を口にします。

被害を訴える濵松組合長 被害を訴える濵松組合長

豪雨やエサ不足による不漁に加え「釣り客による被害」も・・・。
漁協は200g未満のタコをとらないよう呼びかけを始めたほか、年に2回、漁を禁止する期間を作り産卵用の「たこつぼ」でタコを増やす環境作りを進めています。

タコ釣り客に向けて漁協が製作したチラシ タコ釣り客に向けて漁協が製作したチラシ

濵松組合長は「環境を変えることは、自分たちの力ではできない。自分たちができるのは、タコの卵を数多く海の中で産まそうという努力くらい。」と話します。
再び大漁の日は来るのでしょうか。漁師たちの苦悩は続いています。

水中を泳ぐタコ(画像提供:三原市漁協) 水中を泳ぐタコ(画像提供:三原市漁協)

 

 

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2022年8月24日放送)

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