1本の茎から10輪の花 ユニークな姿に変わる植物たち【地球派宣言】

広島市植物公園の駐車場。
斜面のひときわ高いところに一輪のユリが咲いていました。
なんと、1本の茎から10輪以上の花を咲かせています。

“帯化”という現象が生じたものです。

1本の茎からたくさんの花が(要クレジット) 1本の茎からたくさんの花が(画像提供: 広島市植物公園)

 

植物公園の技師、在岡郁雄さんによると、
帯化とは、茎が横に広がって帯のようになったり、1か所からたくさん花や葉っぱが出たりする現象とのこと。
帯化した茎は先端に向けて帯状に広がっていくため、その広がりに合わせて花びらや葉が増えていきます。

このユリの場合、帯化した複数の茎がまとまり1本の太い茎になったことで、多くの花を咲かせるようになったようです。

複数の茎が1本に 複数の茎が1本に (C)HOME

 

過去には園内で育てていたジギタリスにも帯化現象が生じました。

すらっと伸びた茎から鈴状の花を咲かす通常のジギタリスと帯化したものを見比べてみると・・・その差は一目瞭然。

通常のジギタリス (画像提供 広島市植物公園) 通常のジギタリス(画像提供 広島市植物公園)

 

巨大化した茎は、もはや同じ花とは思えないくらい変形しています。

帯化したジギタリス (画像提供 広島市植物公園) 帯化したジギタリス(画像提供 広島市植物公園)

 

植物の帯化はなぜ起こるのでしょうか?

在岡さんによると、
成長点が傷ついたり、ウイルス病にかかったり、虫に食べられるなど様々な要因から帯化が起こるそうです。

広島市植物公園 技師 在岡さん 広島市植物公園 技師 在岡さん (C)HOME

 

こうした花の変形は商品価値を下げることになりますが、中には独自の観賞価値を見出される場合もあります。

変化朝顔展(広島市植物公園) 変化朝顔展(広島市植物公園) (C)HOME

 

先日まで植物公園で行われていた「変化朝顔展」では、突然変異で茎が扁平化したものや花びらの形が変わった朝顔を楽しむことができました。

変化朝顔は江戸時代から脈々と受け継がれた伝統園芸植物。

花びらの形が変化した朝顔 花びらの形が変化した朝顔 (C)HOME

 

技師の山本晃弘さんに紹介してもらった珍しい朝顔は、牡丹咲きと言うもので、雄しべと雌しべが無いものでした。
雄しべと雌しべが花びらに変化してしまったということです。

雄しべと雌しべが花弁状に変化 雄しべと雌しべが花弁状に変化 (C)HOME

 

一方、自然界ではユリ科やキク科の植物などに、植物の帯化によるユニークな姿が多く見られるようです。
みなさんの周りにも存在しているかもしれません。
世界に一つだけの花の姿を見つけてみてはいかがでしょうか。

身近にもユニークな姿の植物があるかも? 身近にもユニークな姿の植物があるかも? (C)HOME

 

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2021年9月1日放送)

 

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