アナ直伝 ことば以外で気持ちを送受信しよう #11

広島ホームテレビ 伊藤みのりです。
今日のコミュニケーションの話は「ことば以外で気持ちを送受信しよう!」です。

 

私が新人アナウンサーだったころ、先輩から、「真面目な顔で冗談を言うのね」と不思議そうに言われたことがあります。
私は冗談を言って笑ってもらおうとしたのに、なぜそう言われるのか疑問でした。
先輩は、私の「笑っていない目」を見て、全く笑えなかったそうです。

その頃、不器用な私は滑舌や発声、原稿読みを必死で練習していましたが、自分の話すことば以外、つまり表情やジェスチャーまでは気が回っていなかったのです。
このことで、ことばでいくら伝えようとしても、伝わらないことがあるのだと知りました。

 

八幡美咲アナウンサー 八幡美咲アナウンサー (C)HOME

 

ことば以外のコミュニケーション


こうした「ことば以外のコミュニケーション」を「非言語(ノンバーバル)コミュニケーション」といいます。

アメリカの心理学者メラビアンは、人がコミュニケーションを図る際、ことばの内容と顔の表情が一致していない状況で伝えても、話を聞いている人は「言語情報7%」「聴覚情報38%」「視覚情報55%」という割合で参考にしているとして、非言語情報の大切さを伝えています。
つまり、9割の情報は話すことばの内容以外の視覚・聴覚から得られているのです。

 

アナウンサーがことば以外で表現していること


話す技術だけでなく、目や顔の表情・手振り身振りなど、どうすれば視聴者の皆さんに伝わりやすいか、アナウンサーはいつも研究しています。

例えば番組では・・
「笑顔が基本。目は好きな人を見るようにカメラを見る」
「フリップで説明するときは、文字の下に指を揃えて手を添える」
「難しいことばはしっかりと間をとって伝える」など、
ことばとともに表現しています。

 

ことばと表情が真逆なことも。「受信」は注意深く


ここまでは、非言語による「送信」について書いて来ましたが、「受信」の際に気を付けることは何でしょうか。
よくある場面を想像してみてください。

まだ宿題を済ませていない子どもに、お母さんが「宿題終わった?」と聞きます。
「まずい、お母さんに怒られる!」
困った子どもは、「やったよ!」と答えます。
でも、なぜかお母さんにはウソを見抜かれてしまいます。

恋人同士がささいなことで言い合いに。
「あなたなんかキライ!」と怒る彼女。
でも熱いまなざしは、「大好き」という本当の気持ちを伝えています。

このように、非言語メッセージがことばのメッセージと矛盾することもありますよね。
だからこそ、私たちはことばだけでなく、表情やジェスチャーなど、相手を注意深く観察し、相手の本心を感じ取ることが必要なのです。

 

大切な人に、まさに五感を駆使して、ことばだけでは表されない「本当の気持ち」を送受信しましょう。

 

 

伊藤みのり
ライター:伊藤みのり(HOMEアナウンサー)
アナウンサー歴35年を経て放送運行、CM考査業務を経験。
現在はアナウンスグループで、番組ナレーション、アナの育成指導を主に担当。
ブログ「みのりのマリンライフ」はこちら

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