難病を乗り越え「“214勝目”を宣言」カープOB・北別府学さん番組復帰で想い語る

「10年前だったらもう命なかったかもしれない。白血病といった時点で危ないんだろうなという認識だったので。今の医学に対して有難いという気持ち」。

北別府学さん 北別府学さん

去年1月、“成人T細胞白血病”を患っていると公表し、移植手術を受けた北別府学さん。病気の公表から1年以上が経ち、当時の心境と現在の胸中を明かした。

「どういう病気かよく分からないうちに公表して、1、2年後はどうなっているのか、3年後(生きて)いるのかなという状況の中で 治療して。まだ完全に元の状態ではないけど、ここまでの一年間を見ると、順調に回復してきていると思う」。

 

プロ通算19年で213勝を挙げたレジェンドは、完全復帰に向け、今なお闘病生活を続けている。

「第2期の入院までは、あっという間だった。半年もすれば良くなるのかなと思ったけど、移植後は体調が回復しなかった」。

 

北別府さんを苦しめる血液ガンの一種、“成人T細胞白血病”。白血球中の細胞がウイルスに感染し、がん化することで発症する。基礎体力の高さから、抗がん剤治療などは苦にならなかったが、移植後は体に様々な変化が出たという。

「熱が出たり、体に湿疹が出たり。去年7月に退院したけど、約半年は小康状態で長いなっていう。もう少し元気になって、グラウンドを走れるようになってもおかしくないよなっていう思いはあるけど 焦ってはいけない」。

 

去年末には、移植後特有の合併症で体調を崩し、緊急入院した。

「救急車で運ばれたのは(人生で)初めてでしたからね。もう動けないんだもん。意識はしっかりあったんだけど、体を起こそうと思っても、力が入らない。元気だと思っても、以前のようなことはないので、気をつけないといけないなと」。

 

年内には退院し、家族とともに新年を迎えた北別府さん。声には張りが戻り、一時は20キロ程度落ちた体重や筋力を戻すためのリハビリに励んでいる。

「やっとこの1月に入って、新しいカレンダーを出して、予定を書くようになった。この日はこの仕事があるから、行かなければいけないんだという準備。足腰は鍛えなきゃいけないけど、気持ちが前向きになったんだと思うんだよね」。

 

春季キャンプやオープン戦で躍動する現役選手の姿が、テレビ画面に映る。血が騒ぐ。「仕事しなきゃという気持ちにならないとリハビリにも影響するし、2年も3年も休めない。」と、番組復帰の意思を固めた。先月16日には、スーツを新調。生地やデザインの打ち合わせが進む中で、入団当時の記憶が蘇る。

「(カープの)先輩たちが着ている茶色のスーツが格好良くて。周りの大反対を押し切って、茶色を選んだ。やっぱり似合わなかったけどね」。

北別府学さん 北別府学さん

約45年前の思い出を口にする63歳の表情は緩んでいた。

ペナントレースを前に、厳しくも温かい北別府節が、画面を通じて、ファンに届けられる。

「若手の投手や野手が伸びてきた。今年はまた楽しみ。僕がいない間、木下さんや外木場さん、梵くん、そして達川さんに協力していただきましたけど、投手目線の野球を皆さんにお伝えできれば」。

 

周囲への感謝の気持ちを胸に、自身の役割を全うする覚悟だ。一方で、病気で苦しむ方々の精神的な支えとなることを誓う。

「僕が番組に戻ってくることで、同じ病気をされている方、同じではなくても病気をされた方に勇気を与えるんじゃないかと。元気な姿で、生の声でお伝えしたいと思います」。

 

必ず戻ると心に決め、経験したことのない痛みにも耐えてきた。大金星となる“214勝目”を掴み取るため、北別府さんが『みみよりライブ 5up!』に帰ってくる。

先輩・達川光男さんとの再会を喜ぶ北別府学さん 先輩・達川光男さんとの再会を喜ぶ北別府学さん

まずは3月22日(月)。約1年2カ月ぶりとなるレギュラーコメンテーターとしての出演だ。

26日(金)に開幕を控えた今季のカープを、どう見ているのか。

真っさらなスーツに袖を通し、背筋を伸ばして解説する姿が、目に浮かぶ。

 

広島ホームテレビ『みみよりライブ 5up!』

2021年3月22日(月):北別府学さん1年2か月ぶりのスタジオコメンテーター復帰予定

 

文:榮真樹(広島ホームテレビアナウンサー)

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