瀬戸内をコーヒーの産地に!大芝島でコーヒー栽培【地球派宣言】
東広島市安芸津町の大芝島(おおしばじま)で国内でもめずらしいコーヒーの栽培が行われています。
東広島市大芝島青々とした木になる真っ赤なコーヒーの実。もう少し完熟して黒っぽい赤になると、コーヒーとしておいしく飲めるそうです。
コーヒーの実栽培しているのはこの島に移住してきた山田晋平(やまだ・しんぺい)さん。約2年前からビニールハウスの中に、200本のコーヒーの木を植えています。
山田さんは「大芝島は太陽の照り返しが良く、光合成に適している場所。年間通じて穏やかに温暖なところなので、日本の中でも育てやすい」といいます。
山田晋平さん暖かい気候を好むコーヒーは、国内では沖縄県や岡山県などで栽培されているだけで、瀬戸内で本格的に生産できればめずらしいといいます。島の頂上にあるこのビニールハウス、もともとはビワを栽培するために国が整備した団地でしたが、高齢化が進み作る人がいなくなったそうです。
島の頂上にあるビニールハウス耕作放棄地となったビニールハウスを見つけた山田さんは、コーヒー豆を販売する会社の社長、新谷隆一(しんたに・りゅういち)さんに相談。荒れた農地を一緒に整備し、コーヒーの栽培を始めました。
新谷さんは「コーヒーも世界中に産地がありますが、少しとれにくくなってきた。温暖化で日本でもできるチャンスが出てきたので、チャレンジを決めた」と話します。
ニシナ屋珈琲 新谷隆一社長ただ、コーヒーの木は気温5度を下回った日が続くと、生育が厳しくなるといわれています。温暖といわれる瀬戸内の島でも冬場は気温がかなり下がります。
山田さんらは品種改良で寒さに強くなった苗木や、ボイラーを使って対策をしていますが、課題もあります。
コーヒーの木それは、原油高騰です。寒さ対策で約5カ月間はボイラーをつけるため、運営する上で一番コストがかかります。そこで、外に植えたコーヒーの木に栽培用のヒーターを設置して、越冬できるかどうかの実験を始めました。
実験を始めた理由について山田さんは「コストがかからないし、瀬戸内はだんだん畑が多くてハウスが建てられない所も多いので、路地で栽培できるようなコーヒーが生まれたらいいな」と話します。
実験する山田さん先月、ビニールハウスにボランティアの大学生らが集まり、コーヒーの実を初めて収穫しました。といっても本格的な収穫は、実が完全に熟す今年の春。今回は試験的に数個摘み取ります。飲み物の材料になるコーヒー豆は実から取り出した種を精製して作ります。
コーヒーの実を収穫この日、収穫できたのは約7g。カップ1杯分の量にも満たないため、岡山県産の豆を加え、焙煎します。豆をひいて、ゆっくり抽出すれば、瀬戸内ブレンドのコーヒーが完成です。
収穫したコーヒー豆初めて試飲した山田さんは、「おいしい。突き詰めていけば大芝島産のコーヒー豆ができるんじゃないか。精進していきたいと思う」と話しました。
1つの木から5kgとれれば栽培は成功!島の期待を背負って、コーヒーの木は寒い冬を耐えています!
コーヒーを飲む山田さん