負けられない戦いの中でリードが光るカープ磯村嘉孝 カギは「投手との対話」
7月15日の巨人戦。同点で迎えた延長11回に起死回生の決勝満塁HRを放ったカープの磯村嘉孝(よしたか)捕手。持ち前の明るい性格と堅実なプレーでシーズン終盤に存在感を見せている。広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』は、プロ12年目の磯村捕手をフカボリ、現在の思いを聞いた。
※データはすべて9月24日O.A.時現在 ※以下、(選手)敬称略
今シーズンはキャリアハイとなる30試合でスタメンマスクをかぶり、キャッチャーとしては會澤翼に続いている磯村。若いピッチャーと組むことが多いので、そのリードは試行錯誤。「腹をくくっていく時はいくとか、気持ちの面で球種のサインを出す時もある」という。
例えば9月13日、CS進出を争う阪神との直接対決。1点差に詰め寄られた5回ウラ。1アウト1・2塁のピンチに、九里亜蓮に代わってマウンドには二番手、2年目の森浦大輔が上がった。ここまで2安打の原口文仁をインコースのストレートを5球続けてレフトフライに打ち取り、続く佐藤輝明も2球続けてインコースのストレートで打ち取り、見事同点のピンチを切り抜けてみせた。
キャッチャーとしては不安なインコース攻め。「交代になった時に、森浦本人から強気で一番いい球を、自信のあるインコース真っすぐでいきたい、という話があった」と、ピッチャーとの対話が功を奏したと明かす。9月17日のDeNA戦で二番手の中﨑翔太が5回ウラ2アウト3塁のピンチを切り抜け、勝ち投手となったのも対話がカギを握っていたという。「1塁2塁と空いていてバッターが牧選手で、次が宮崎さんで、その次がソトで、最悪3人でアウト1つ取れればいいなという考えで。その時も代わったザキ(中﨑)と話して。牧選手が高めを打つのが上手なので、とにかく低い球を選択していこうと思うんだけど何がいい?と聞いた時に、(攻める球種の話を)ザキからしてもらったので、じゃあこういう感じでいこうかと話した結果、3球勝負ができたのでそれは良かったなと思います」。
勝負の9月に入ってからは7試合にスタメン出場。その中で粘り強いリードを続け、5勝をもたらした磯村は、11月に節目となる30歳を迎える。2016年からは一軍に定着し、リーグ三連覇を経験するなど歓喜を味わった一方で、自身のプロ野球人生は必死に戦ってきた12年だった。「入団した時は、すごい選手ばかりで技術レベルも高く、ここでやっていくのは厳しいかなと思ったが、12年目を終えることができそうなので、なんとかがんばっているなと思っている」と話す。
また先輩でありライバルでもある會澤翼選手について尋ねると「なかなか追い付けない存在で、でもそれを超えないといけないと思います。守備面でも攻撃面でも(會澤さんより)低いと思うので會澤さんより上を全てにおいていかないといけないなと思っています」と正捕手取りへの思いを語ってくれた。
自身が描くキャッチャーの理想像は「勝てるキャッチャーが一番いいキャッチャー。野手が取ってくれた点より、少なく抑えることができれば勝てると思うし、自分がチャンスで打てば自分も助かるし、ピッチャーも助かる。守備面でも攻撃面でも、とにかく貢献できれば」と意気込む。
広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』(土曜13:00) 9月24日放送
ライター 湯谷葉子