バスと電車と足で行くひろしま山日記 第3回 東郷山の「森の巨人」㊦

「バスと電車と足で行くひろしま山日記」第3回は、東郷山の「森の巨人」㊤の続きから-

 

 

 


いざ!「森の巨人」をめざして


広葉樹の森に分け入る 広葉樹の森に分け入る

沢沿いの山道を進む。広葉樹の森は気持ちよく、傾斜は緩やかで歩きやすい。

 

渓流を渡る。ガイドロープが取り付けられていた 渓流を渡る。ガイドロープが取り付けられていた

10分ほど進むと道がやや不明瞭になるところに出た。ぐるり見まわしてみると、北から流れている渓流にロープが渡してある。ここを渡れということだな。
ロープをつかみながら苔で滑りやすい岩に注意しながら渡渉した。

この先はほぼ一本道。ほどなく川から離れ、斜面の登りにかかる。
地図を見ると、結構間隔の狭い等高線の斜面をまっすぐ進む急登。あっという間に息が上がる。トレッキングポールの助けを借りながら、休み休み高度を上げていく。

そういえば、NHKの番組「グレートトラバース」に出演していた田中陽希さんが「急登を行くときは上を見ない方がいい」って言ってたっけ。視線を落とし、ひたすら目の前の道に集中する。

 

登山道に生えていたキノコの群落。名前は? 登山道に生えていたキノコの群落。名前は?

途中、食べられそうに見えるきのこの群落があったが、鑑別に自信がないのでスルー。

 

四本杉への分岐標識。ここからの下りが大変だった 四本杉への分岐標識。ここからの下りが大変だった

約1時間で尾根に。ほっとして穏やかな道を西に向かうと、ほどなく四本杉への分岐に到着した。

「急傾斜」「道が荒れている」「経験者と行った方がいい」

ガイドブックやブログには警告が並ぶ。
当方は基本自分のペースであるけるソロ登山なので、今回も同行者はなし。覚悟を決めて下る。
傾斜が急なうえに、ところどころ崩れていたり、滑りやすくなったりしていて神経を使う。しかも四本杉までの標高差は百数十メートル(!)

 

 

慎重に下ること約30分。「立入禁止」の看板がつけられたロープが見え、その向こうに「巨人」が立ち現れた。

やっと会えた四本杉。根元で一体になっている やっと会えた四本杉。根元で一体になっている

 

根元のアップ。根の保護のため近くには寄れない 根元のアップ。根の保護のため近くには寄れない

 

四本の杉が根元の部分で一体になっており、幹回りは9.9メートル、樹高は30メートル(林野庁HPによる)。
外に倒れるのを防ぐためか、それぞれの幹に金属製の輪がはめられ、ワイヤーでつながれている。威厳のあるたたずまいにしばし見とれた。
傍らで手早く昼食を済ませ、登り返しにかかる。急登ゆえ、上はできるだけ見ないようにして登る。

 

尾根に登り返す。ガスが出て幻想的な雰囲気 尾根に登り返す。ガスが出て幻想的な雰囲気

尾根に近づくと、あたりにガスが出て幻想的な雰囲気を味わえた。

 

東郷山頂上。展望はありません 東郷山頂上。展望はありません

分岐から10分ほど歩くと東郷山頂上。林間でまったく眺望はない。

現在14時10分、バスの時刻は15時25分。1時間15分でバス停まではちょっと厳しい気もするが、次のバスまで2時間20分空くことを考えるとトライするしかない。

 

林道登山口の標識  林道登山口の標識 (C)HOME

急ぎ足で下山し、林道を経て集落を抜け、結果的に1時間5分ほどで大森バス停にたどりついた。バスの到着が少し遅れたこともあって、ゆとりをもって帰途についた。

広電バス大森バス停 広電バス大森バス停。休日ダイヤの15時25分五日市駅南口行きで帰る (C)HOME

【追記】
今回歩いた東郷山の下山ルートには、白井ノ滝という名瀑があります。前編であれだけ滝の話をしていたので「何で?」と思われたかもしれませんが、バスの時間が迫っていたので残念ながら今回はパスしました。
山頂からバス停まで1時間ちょっとというのはかなり速いペース(安全には気を付けました)なので、あまり参考にしないで下さい。
ちなみにコースタイムは1時間45分です。

 

2021.9.11(土)取材 ≪掲載されている情報は取材当時の内容です。ご了承ください≫

ライター えむ
還暦。50代後半になってから本格的に山登りを始めて4年ほど、中四国の低山を中心に日帰りの山歩きを楽しんでいます。できるだけ公共交通機関を利用しますが、やむを得ない場合に時々レンタカーを使うことも。安全のためトレッキングポールは必ず携行。年齢のわりに歩くのは速い方です。
■連載コラムバスと電車と足で行くひろしま山日記
LINE はてブ Pocket