『勝グセ中継』を楽しむ極意とは!? 実況アナがあれこれ伝授 【カープ道】

プロ野球の実況アナとして20年目を迎える廣瀬隼也アナ。広島ホームテレビ『カープ道』では、廣瀬アナがスポーツ応援『勝ちグセ』のプロ野球中継の奥深さを披露。楽しみ方の極意を伝授する。

 

 

試合の実況に向けては、カープに加えて対戦チームの情報もそろえておかなければならないので、資料はかなりの量になるという。「チームの状況も変われば、新加入もいる。中でも新戦力の紹介が大事」と言い、3月14日のオープン戦でドラフト3位ルーキーの岡本駿投手を紹介した実況を披露。「“ピッチャーはルーキーの岡本駿です。(持ち球は)スライダー、カットボール、チェンジアップ。それからプロで投げて自信を持ったツーシーム”と、アピールポイントをコンパクトに伝える」と話す。

 

 

さらに、「“新外国人のモンテロは右の長距離砲で、2022年にメジャーデビューした後、メジャー通算でHR21本。オープン戦でもHR2本打っている”と、どういう選手かを伝える。開幕投手をつとめた森下暢仁投手のオープン戦2試合目の登板では、“前回の試合では、バッター13人に対して初球は全部変化球で入りました”と紹介。(今回の初球はどうか?と注目させて)“初球は変化球ではなく、今日はストレートから1球目は入りました”と実況。配球に注目してみると、その投手の考えが浮かび上がる。【見方の楽しさを提示していくのが我々の仕事】」だと実況の極意を語った。

 

 

次に、鯉の聖地マツダスタジアムが沸いた試合の実況を振り返る。2024年7月2日の阪神戦、先発の森下投手が5回表、3者連続3球3三振のイマキュレートイニングを達成した試合。廣瀬アナは「イニングが終わるのが早いなとは思った。あれ?9球、全員3球。イマキュレートイングじゃんって、正直気づくのが遅れた」と明かす。

 

 

ここで、番組MCの中島尚樹さんが実況に挑戦。2024年9月1日のヤクルト戦、2点リードの6回、2アウト2、3塁で打席には前日にシーズン初HRを放った矢野雅哉選手。センター後方へ放った打球は捕球されずに転々と。2者生還し、矢野選手は本塁に豪快なヘッドスライディング。この一発は球団通算8888号という記念すべきHRとなった。中島さんは「まさかまさかのランニングHR。・・・何が起きたんでしょうね。改めて足が速いと思ったが、実況は難しい」と首を傾げる。廣瀬アナは「いかにリアルに追えるかがポイント。今のは目の前のモニターだけではランナーの動きが見えないので難しい。その時は目線をグラウンドへ。そうしないと何が起こっているかわからない。【実況は見えない状況をも伝える】と再び実況の極意を伝授する。

 

 

球場の臨場感を言葉でつづる実況アナ。貴重な試合、記録を目撃することもある。カープがリーグ3連覇を成し遂げた2018年。「引退表明した現監督の新井貴浩氏が代打で登場し、そのまま打席に立ったのはプロ通算8793打席目。そこで放った3塁打が、球団最年長3塁打(41歳7ヶ月)となった」と振り返る。

 

試合後に貴重な試合だったと気付いたのが、2016年10月1日。その男気でファンに愛された投手、現球団アドバイザーの黒田博樹氏が、7回6安打1失点で10勝目をマークした試合。これが日米通算7年連続2桁勝利という一つの節目でもあった。その後、引退表明。「日本シリーズで登板もあったが勝ち星はなかったので、思い返せば日本とメジャーで活躍した黒田さんの野球人生最後の白星」と、廣瀬アナは感慨深く思う。

 

 

一番印象深い試合は、廣瀬アナが優勝の実況アナになるかどうかがかかった2017年9月16日のヤクルト戦。「優勝実況できる確率はあまりに低い。優勝マジック1で迎えた地元優勝をかけた戦いだった。結局敗れて地元での優勝胴上げは持ち越しとなったが、一番心に残っている。勝ち越しされるシーンは覚えていない」と肩を落とす。

 

 

今季達成可能な記録として、廣瀬アナは「大瀬良大地投手のプロ通算100勝(達成まで13勝)と、秋山翔吾選手の300二塁打(達成まで3)」をあげ、『勝ちグセ』中継を楽しむポイントを付け加えた。

 

 

広島ホームテレビ『カープ道』(火曜深夜) 2025年4月8日放送

ライター 湯谷葉子

 

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