絶滅寸前の魚「スイゲンゼニタナゴ」を守ろう 福山市【地球派宣言】

広島県福山市にある盈進(えいしん)中学高等学校。
環境科学研究部の部室に所狭しと並んでいるのは、すべてスイゲンゼニタナゴの保護用の水槽です。

スイゲンゼニタナゴ スイゲンゼニタナゴ (C)HOME

 

顧問の古本哲史先生によると、1988年、学校のクラブ活動で川の調査をしていた時に、偶然スイゲンゼニタナゴを発見。
その場所で河川改修工事が行われるため保護したのが、飼育を始めたきっかけだったそうです。
以降、スイゲンゼニタナゴを守る様々な活動を行ってきました。

盈進中学高等学校 環境科学研究部の部室 盈進中学高等学校(環境科学研究部の部室) (C)HOME

 

スイゲンゼニタナゴは日本のタナゴ類では最も小さく、全長はおよそ4cm。
オスは、体に青のラインが入り、目の上が赤くなっているのが特徴です。

特に繁殖期には体の色を鮮やかに変化させ、きれいな「婚姻色」に染まります。
これはパートナーとなるメスにアピールするためだそうです。

婚姻色のオス 婚姻色のオス (C)HOME

 

スイゲンゼニタナゴは福山市と岡山県にのみ生息していて、いまや絶滅寸前。
環境省のレッドリストでは、ごく近い将来に絶滅する危険性が極めて高いとされる絶滅危惧ⅠA類に指定され、国内で395種の「希少野生動物種」にも選ばれています。

野生下のスイゲンゼニタナゴ(画像提供:盈進中学高等学校) 野生下のスイゲンゼニタナゴ(画像提供:盈進中学高等学校) (C)HOME

 

古本先生によると
「タナゴ類は卵を二枚貝に産む習性があるが、近年、この二枚貝が減ってきていることから、スイゲンゼニタナゴが生き残るのが難しくなっている」とのこと。

イシガイなどの二枚貝に卵を産み付ける(画像提供:盈進中学高等学校) イシガイなどの二枚貝に卵を産み付ける(画像提供:盈進中学高等学校) (C)HOME

 

かつては福山市の3か所の河川で確認されていたスイゲンゼニタナゴですが、今では、その内の2か所では見られなくなったそうです。

日本には約400種類の淡水魚が生息しています。
しかしその4割が絶滅危惧種に指定され、どの生物よりも危険であるといわれています。

淡水魚の4割が絶滅危惧種に指定 淡水魚の4割が絶滅危惧種に指定 (C)HOME

 

こうした現状に古本先生は、
「悲しいの一言ですよね。いろいろな生き物がどんどん減っている。ここまで生まれてきた生命が失われていくというのはやっぱり悲しい」と語ります。

たくさんの生き物で構成されている地球環境。
私たちの行動が影響を与えていないか、気をつけていきたいですね。

 

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2021年6月2日放送)

 

 

 

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