【神石高原町】酒造会社が自然の酵母で日本酒づくりに挑戦!|地球派宣言
神石高原町の酒造会社が、自然界でとれた酵母でお酒づくりに挑戦!
いったいどのようにして森の酵母がお酒になったのでしょうか!?

神石高原町と庄原市にかけて広がる大渓谷、帝釈峡。
「あれがラショウモンカズラです。去年採ったラショウモンカズラから酵母が採れて、これがお酒造りに使えればいいよねという話になっています」
そう話すのは、帝釈峡の自然をガイドする、森林セラピーガイドの惣道さん。

惣道さんに森林セラピーについて「山の中で五感を使って、見て、聞いて、匂いをかいで、肌で触れて、それをもとにリラックスをしてもらうのが一番の森林セラピーの目的です」と話します。
この時期は、森のあちこちで花がいっせいに咲き誇ります。
実はその花々の糖分を求めて、自然界の見えない酵母が集まってくるそうです。
「花から発する甘い香り(を感じながら)、酵母自体も虫を伝って違う花に移動することもあるので、目に見えない世界という新たな扉と言うか、(森の)魅力を伝えるうえでとてもいい材料だなと思いますね。
あるかどうかわからないものを探していく、山の中に入っていく、まさにハンターだなと思います」と、森林の見えない酵母の魅力を、惣道さんは語ります。

そこで去年開催したのが、自然の中から酵母を探し出すユニークなイベント。
参加者は「酵母ハンター」となり、帝釈峡の野花から酵母を採取しました。
ちなみに酵母とは、日本人が昔から親しんできた、みそ、しょうゆ、漬物、日本酒など発酵食品を作る微生物のことです。

お酒のための酵母を探す試みには、300年以上の歴史を持つ地元の酒造会社も参加。
自然の酵母で清酒造りに挑んだのです。

社長の三輪さんに話を伺いました。
「大体300~400くらい(の酵母を)採りましたね。
糖があるところに可能性があるので糖分がありそうな樹液からも採ったりもしましたし、果物関係など、考えられるものはすべて採りました。
やっぱり空気もきれいだし水もいいし、いろんな生物もたくさんいるので、可能性はあるんじゃないかと信じて、いろいろ採取しました」

しかし、酵母と一言で言っても、自然界にはさまざまな種類があり、日本酒に合う酵母はごくわずかなんだそう。
採取した酵母は広島市内にある試験場で、アルコールに分解する酵母が存在するのかを全てチェックしました。

「結果としては近隣の原農園さんというブドウ農園が近くにあって、そこの貴腐ワインになる貴腐菌という菌が生えたブドウ、その中にいたんです。
花とかいろいろ全部(検査をしたが)、選抜で落ちて行って、それが残りました」と三輪さん。

花からは日本酒に適した酵母は見つからなかったものの、地元の自然から採取した酵母で清酒造りに成功しました。

その名も“森の唄”。神石高原の自然が生んだ、まさに“奇跡の一滴”です。
その出来栄えを三輪さんは「日本酒の今までうちで作っている酵母とは違うけども、洗練された感じ。
試験醸造の段階で、これはいけるなと思った。これは確率的には奇跡だと思います」と話します。
広島ホームテレビ『ピタニュー』
地球派宣言コーナー(2025年5月21日放送)
