【東広島市福富町】天然記念物シャクナゲ群生 年に1カ月しか入れない“幻の花園”|地球派宣言

春が終わるこの時期、わずかひと月だけ開かれる山深い場所があります。

東広島市福富町、シャクナゲが咲く湿地帯です。

ここは全国でも珍しい、花の群生が広がります。

 

シャクナゲの花

 

クロボヤ峡は、沼田川の支流に位置する渓谷です。

 

クロボヤ峡

 

せせらぎの音が響く森の中を歩くと、原生のまま残された自然に心が洗われます。

 

シャクナゲ滝

 

この渓谷で見られるのが、広島県の天然記念物に指定されているシャクナゲです。

 

広島県の天然記念物に指定されているシャクナゲの群生(2018年撮影)

 

福富町観光協会の西丸副会長は、「個体ではなく群生しているのが、天然記念物の由来で、さらに湿地帯に生えるシャクナゲが珍しい」と、その稀少性を語ります。

 

福富町観光協会 西丸宏副会長

 

本来、岩場などに育つシャクナゲが、ここでは湿地に500本以上も群生しています。

そのスケールと稀少性は、全国的にもほとんど例がないと言います。

 

湿地に咲くシャクナゲの群生

 

開花時期は5月いっぱい。

木々の間から光が差し込み、花がきらめきます。

 

きらめくシャクナゲの花

 

「こちらに生えているのが種から落ちた実生。年数でいうと5~6年は経っている。もう3~4年すると一輪の花をつける。

種はたくさん落ちるんですが、実際に根付くのは数少ないですね。

最近はいろいろな洋シャクナゲがたくさん花屋さんにあるけど、ここにあるのは昔からある日本シャクナゲです」と西丸さんは話します。

2メートルほどの高さに育つには50~100年かかると言われている日本古来のホンシャクナゲ。

ここには手つかずの自然が残っているのです。

 

実生したシャクナゲ

 

クロボヤ峡には、他にも、カエデ、マツ、ツバキ、ウツギ、アセビなど70種類以上の花木が共に育っています。

湿地と高木が調和する、まさに“自然の博物館”です。

 

自然豊かなクロボヤ峡

 

ここは、自然を守るため、普段は施錠され、立ち入りは禁止されています。

一般に公開されるのは、シャクナゲが咲く5月だけという“幻の花園”です。

「過去にはいろいろな大きな木が盗掘にあってだんだん少なくなって、守らないといけないのではないかということで、門を付けるなどして今に至る。

貴重な場所なので守って行かないといけないと思います。」と西丸さんは話します。

 

5月以外は施錠されるクロボヤ峡

 

西丸さんによると、シャクナゲは今月いっぱいは楽しめるそう。

自然が育み、人の手で守られてきた花の景色。

年に一度だけ開かれるこの空間は、訪れた人の心に、やさしい記憶を残します。

 

今月いっぱいが見ごろのシャクナゲ

 

 

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー
地球派宣言コーナー(2025年5月14日放送)

SDGs

 

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