尾道のブランドアサリ復活を目指すプロジェクトが始動|地球派宣言

かつて瀬戸内屈指のアサリの産地としてにぎわっていた尾道市。

近年、環境の変化で激減してしまったアサリを復活させるために地元の人たちが立ち上がりました。

 

松永湾

 

尾道市の東側に位置する松永湾。

そこに現れるのが「山波の洲(さんばのす)」。

尾道水道から運ばれた砂が集積してできた洲で、満潮時には海に沈むため、“幻の干潟”といわれています。

 

山波の洲

 

「山波の洲」はかつて、瀬戸内屈指のアサリの産地として、県内外から多くの人が訪れ、潮干狩りを楽しんでいました。

 

潮干狩りでにぎわう山波の洲(2007年頃)

 

当時のにぎわいを知る神垣さんは、

「1日に3台くらいの大型バスが来て、山波の洲へ1,500人くらい渡るような干潟だった。

(山波のアサリは)味が違うんです、(身の)しまりが全然違います」と語ります。

山波のアサリは尾道のブランドとして、長年親しまれてきたのですが……。

 

尾道東部漁業協同組合山波支所長 神垣松雄さん

 

アサリの漁獲高

 

「最盛期は1,700トン以上獲れていたアサリが、2024年度は4トンです」と嘆く神垣さん。

周辺の埋め立てや温暖化の影響によって、アサリは徐々に減少。ここ30年で、漁獲高はピーク時の400分の1まで落ち込んでしまいました。

 

地元水産加工会社の会長 川﨑育造さん

 

松永湾を遊び場として、たくさんの生き物に囲まれて育ったという川﨑さんは、

「小学1年生くらいで泳ぎを覚えて、もうそこから、春から秋の間はずっと毎日海へ。

アサリもさることながら、シャコ・テナガダコ・ウナギ・エビ、なんでもいっぱいいた。

僕が子どものときはたくさんの人が海に入っていたが、今は自然の中で遊ぶということが少なくなって海と人とのつながりが非常に薄くなっている。それをなんとか取り戻したい」と話します。

 

地元の人たちが干潟に集う

 

そこで漁協、川﨑さんを中心に地元の人たちによって「山波のアサリを復活させ、豊かな里海を再生させる」というプロジェクトが立ち上げられました。

 

カキ殻の散布

 

まず定期的に行ったのが、カキ殻の散布。

それをじょれんでならすことで、カルシウムとミネラル豊富な海を作りました。

 

アサリの稚貝を散布

 

そこに、アサリの稚貝を散布。

 

食害防止の網掛け

 

そして、エイやヒトデなどアサリの天敵から食害を防止するために網掛けをして、アサリの住みやすい環境づくりを行いました。

 

みんなで里海の再生を誓う

 

この活動の発起人である川﨑さんは、

「アサリを再生したい、自然を環境を守りたいそんな思いをもっている人がみんな来てくれる。

一生懸命していれば、そこにまた仲間が増えてくる、そして輪がどんどん広がっていく。

その輪が瀬戸内海あるいは全国に広がっていってそれぞれの産地がまた復活すれば、僕の夢が叶います」と里海の再生に期待をよせています。

 

 

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー
地球派宣言コーナー(2025年3月5日放送)

SDGs

 

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