政府内でも意見が食い違い?どうなる教員不足問題

不足した教員の数は全国で2,065人。

公立学校教員採用選考の競争率は減少の一途をたどり、なり手不足も深刻です。

政府内でも意見が食い違う中、子どもたちの学びを守るためにはどうすれば良いのか。自治体や民間企業の取り組みもご紹介します。

 

【文部科学省VS財務省?】

政府内でも意見が食い違う事態が発生しています。

事の発端は、この夏に文部科学省が計上した来年度予算案。

その中に、教師人材の確保強化などの予算案が前年に比べて、200億円以上多く盛り込まれていました。

 

文科省の来年度予算案(出典:文部科学省 令和6年度概算要求のポイントより)

 

しかし、これに対し10月11日に行われた財務省の諮問機関「財政審」では、

 

・教職員定数は児童生徒数の減少ほどには減っていない

・「数」に頼らない教育・効率的な学校運営が必要

・これまでも拡充してきたが効果が出ていない

 

と指摘しました。

「教員は業務を抱え込み過ぎている。業務の削減にトップダウンで取り組むべき」という意見も。

 

財政審の指摘(出典:財務省「財政審の報告」より)

 

この一連のやり取りについて、広島大学 大学院 教育行政学・教育制度学専門 滝沢 潤准教授に話を聞きました。

「アメリカやEUなどが加盟する経済協力開発機構の平均10.6%を下回っている。

日本は世界的にみて教育に十分に予算を使っていると言えない状況で、今回の金額はむしろ少額ではないか」

 

世界と比べた教育予算の割合

 

【各自治体の取り組み】

こうした状況の中、各自治体では教員確保へ独自の動きをみせています。

 

大学生を非常勤講師に

 

今月、沖縄県教育委員会が、教員免許取得予定の大学生を特別非常勤講師として任用する方針を打ち出しました。

まだ教員免許を持っていない大学生に、教科の領域の一部を担当してもらうというものです。

しかし、この方針について、現役公立高校教員の西村祐二先生は

「逆にフォローしなければならないことが増え、教員の負担が増える可能性があるのではないか」

と指摘します。

 

西村先生の指摘

 

また、今月、山口県教育委員会は教員免許を持たない人を対象にした「教職チャレンジサポート特別選考」を行い、6人が合格しました。

最長2年間、学費を補助し、教員免許取得後に採用となります。

 

山口県教育委員会の教員不足対策

 

この制度について、滝沢准教授は

「教員不足解消に役立つ可能性がある。ただ、本来は、教員志望の学生が教職に希望を持って採用試験を受験できるよう、処遇の改善や働き方改革を進める必要がある。

また、教員採用試験に不合格になってしまった場合にどうするかも課題」

と話します。

教員が働きやすい環境を整えていくという、抜本的な改革が必要だと考えます。

 

【複業先生】

教育現場に向けた新たなサービスを始めた企業があります。

その名も「複業先生」。

代表の金谷 智さんに話を聞きました。

「学校の先生はなかなか外部とのつながりがなかったりします。社会とつながる学びや、キャリア教育など、学校の外の人に“どう頼っていくか”をコンセプトにしたサービスです」

 

代表の金谷さんは、両親が教員の“教員一家”で育ったそう。ご自身も2年ほど、公立学校の教員を務めたそうで、その経験を活かしこの事業を立ち上げたと言います。

 

複業先生

 

複業先生には、20カ国・1,500名ほどの講師が在籍しており、IT関係や起業家、プロスポーツ選手など分野もさまざま。

登録者が伝えたい学びについて登録をしておいて、教員側が複業先生のWEBサイトで検索して該当する学びを見つけて依頼をする、というシステム。

 

複業先生では、過去の授業事例や素案を提供して、教員と登録者が協力して学びを作るサポートをしている

 

「今は教員不足の課題と接続されることが多いが、複業先生を通じて、人とつながり学びを広げてほしい」

と話す金谷さん。

 

社会全体で知識の循環ができるような仕組みができつつあります。

 

広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年10月25日放送)

ライター:神原知里

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