徒歩で巡る〜ヒロシマで平和を感じる街なかエリア史跡探訪/広島県広島市
県庁などの公共機関をはじめ、デパートなどのショッピング施設や美術館など文化施設が集中し、広島で一番の賑わいを見せる広島市街地の中心部。そこは、1945年8月6日、原子爆弾が落とされた爆心地でもありました。原爆ドームをはじめ、平和の尊さを静かに伝える被爆建築や文化史跡が点在する街なかエリアを、徒歩でゆっくり巡ってみませんか?
【スポット 1】#1 世界平和記念聖堂
JR広島駅から徒歩10分余り。美術館や大学が立ち並ぶ閑静な町に、丹下健三氏の『広島平和記念資料館』とともに広島を代表する近代建築物といわれる、村野藤吾氏設計の『世界平和記念聖堂』があります。
原爆犠牲者を弔い、世界平和の実現を祈念する場として1954年に建築されました。この建設に奔走したのは自らも被爆したラサール神父。彼の献身的な努力と世界中からの献金も支えとなって、4年の歳月をかけて完成したといいます。
聖堂の中に入ると時がとまったかのような静寂に背筋がピンと伸びるよう。西洋的な要素に加え、どこか日本的な侘び寂びを感じられる、モダン建築の荘厳な美しさにきっとあなたの心も震えるはず。
世界平和記念聖堂
住所/広島県広島市中区幟町4-42
電話/082-221-0621
受付時間/9:00~17:00
http://noboricho.catholic.hiroshima.jp/?page_id=25
【スポット 2】#2 広島平和記念資料館・平和記念公園
世界平和記念聖堂から徒歩20数分。『広島平和記念資料館』と『平和記念公園』(原爆ドームも含む)は、世界最大の旅行口コミサイトで『旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の観光スポット』で2019年は2位、2020年には何と1位に選ばれるなど、毎年多くの人が訪れる平和スポットです。
平成23年度から続いていた広島平和記念資料館の常設展示のリニューアルも平成31年4月に全て終了し、全館リニューアルオープンしました。「被爆者の視点から原爆の悲惨さを表現すること」「実物資料で表現すること」にこだわったという新しい展示は、国籍を問わず訪れた人々の心に深く、静かに平和を伝え続けています。
公園内には、オバマ氏がアメリカの現職大統領として初めて献花した『原爆死没者慰霊碑』をはじめ、丹下健三氏設計の『平和の灯』、他に『原爆の子の像』『平和の鐘』など碑や記念碑が合わせて35基あります。多くの人々の平和への願いが込められたこの場所は、誰もが一度は訪れておくべき場所の一つであることに違いありません。
広島平和記念公園
https://dive-hiroshima.com/explore/2621/
広島平和記念資料館
住所/広島県広島市中区中島町1-2
電話番号/082-241-4004
開館時間/8:30~18:00、(8月~19:00、8月5日・6日〜20:00、12月~2月~17:00)
休館日/12月30日・31日
料金/大学生以上200円、高校生100円、中学生以下無料
アクセス/広島電鉄「原爆ドーム前」駅下車
http://hpmmuseum.jp/
【スポット 3】#3 旧日本銀行広島支店
広島平和記念公園から徒歩約6分。オフィスビルが立ち並ぶ広島市中区袋町にあって明らかに他のビル群とは佇まいが違う、鉄筋コンクリート造に石張りの洋風建築物があります。広島の昭和初期を代表する希少な歴史的建築物であり、被爆建物でもある『旧日本銀行広島支店』です。
古代ギリシア・ローマ建築に範を求める古典様式を取り入れまるで博物館のよう。爆心地からわずか380mという近距離で被爆したにもかかわらず構造的被害はなく、堅牢で堂々とした姿を今にとどめています。内部の吹き抜けの大空間や、当時を偲ばせる窓口や執務スペース、旧支店長室の大理石装飾など見事なまでに残されています。
旧日本銀行広島支店
住所/広島県広島市中区袋町5-21
開館時間/10:00~17:00 *催し物が開催される日は延長されることがあります
休館日/12月29日〜1月3日
料金/無料
アクセス/広島電鉄電車「袋町」電停下車
【スポット 4】#4 頼山陽資料館
旧日本銀行広島支店のすぐ東隣に、著書『日本外史』で有名な江戸時代の儒学者、頼山陽(らいさんよう)にまつわる数々の資料が集められた『頼山陽史跡資料館』があります。館内には展示室のほか、頼山陽が過ごした部屋を忠実に復元した「頼山陽居室」や茶室などが設けられています。
その居室でぜひ見てほしい作品があります。それは同庭園内にある被爆樹木クロガネモチと、それをモチーフに描かれた居室の襖絵。2つのクロガネモチを眺めながら、平和の尊さに思いを巡らせてみてください。
頼山陽史跡資料館(広島県立歴史博物館分館)
住所/広島県広島市中区袋町5-15
電話/082-298-5051
開館時間/9:30~17:00
休館日/月曜日(祝休日の場合は開館、翌火曜日が休館)及び年末年始(12月28日~1月4日)
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/raisanyou/
【スポット 5】#5 多聞院(たもんいん)
頼山陽資料館から徒歩20分余り。広島市現代美術館のある比治山の麓に、真言宗寺院『多聞院』があります。
境内には頼家一族の墓や、爆心地に最も近い被爆木造建造物として被爆当時のままに保存されている鐘楼(しょうろう)があります。
現存する鐘は1949年(昭和24年)8月5日に被爆地の砂を入れて再鋳されたもの。「8時15分祈念の鐘」と呼ばれており、表面には「NO MORE HIROSHIMAS’」と刻まれています。毎日朝8時15分(原爆が投下された時刻)、慰霊と平和への祈りをこめて撞き鳴らされています。
多聞院
住所/広島県広島市南区比治山町7-10
電話/082-261-1764
アクセス/広島電鉄電車「比治山下」電停下車徒歩1分
平和を感じるヒロシマの街なかエリア史跡探訪はいかがでしたか?三角州上に市街地が広がる広島市は街自体がとてもコンパクト。観光スポットが集中している中心部は一日あれば徒歩でも十分回遊することができます。
当時の文化を知る建築物として歴史的価値も高く、見応え十分のヒロシマの文化史跡群。広島平和記念公園とセットでぜひ訪れてみてくださいね。
瀬戸内Finderフォトライター イソナガ アキコ
▼記事提供元
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