今回の広島ホームテレビ『カープ道』は、カープ芸人・ゴッホ向井ブルーさんの持ち込み企画の後半戦。昨年カープのユニフォームを脱いだ安部友裕さん、中田廉さん、戸田隆矢さんの3人をスタジオに招き、それぞれの第2の人生をお節介ながら応援しようとする。

前回は、＜伝道師＞として第2の人生を歩む安部さんが、そのビジョンを熱弁した。今回は、セカンドキャリアは＜フィジーク＞に挑戦するという中田さんからスタート。地元広陵高校から2008年ドラフト2位で入団した中田さん。2014年にはキャリアハイの66試合に登板し、鉄腕ぶりを発揮。2017年にも53試合に登板し、セットアッパーとしてチームの連覇に貢献するも、その後徐々に登板数が減り、昨年現役生活に幕を下ろした。

現役時代の忘れられない出来事として上げるのは、2019年4月10日のヤクルト戦。延長10回にビハインドで登板。燕打線の猛攻は止まらず、なんと1イニング12点を奪われる記録的な大敗となった。「しかしマツダスタジアムで初めて、打たれても“がんばれー”ってお客さんから拍手が起こった。プロ野球選手って応援してくださるファンがいてこそ成り立つんだと実感。翌日から二軍行きとなったが、二軍で200球投げ込んだ。あの拍手がなかったら、ただ腐っていたと思う」と、感動秘話を振り返る。

中田さんが挑む＜フィジーク＞とは？聞き慣れないが、コンセプトは「海が最も似合う男」。広い肩幅と細いウエストが理想とされ、健康的な美しい筋肉を競う競技。「プロもいるが日本では数名。簡単になれるものではないので、今の目標は“フィジークに挑戦する”ということだけを明確にする」と話す。今はジムで、胸・背中、肩・腕、足・腹筋と一日置きにジムで2時間トレーニングをし、開設したYouTubeで大会に向けた体づくりを公開していくという。

「今は2割の仕上がり」という中田さんを、番組MCの中島尚樹さんがボディチェック。「筋肉の形がはっきりわかる。これで2割！？」と驚いた。「フィジークの挑戦は、体が変われば結果につながっていくのがわかるが、野球となるとトレーニングしても結果が出ない時もある。その辺の難しさや楽しさといったら、今の方がトレーニングのしがいがある」と言う中田さんのジャケットの内側には“筋肉は正義”と刺繍が入っている。

筋肉トレーニングをみっちりしていた安部さんと中田さんから、「やっていなかった」と言われるのは戸田さん。2011年に期待のサウスポーとしてドラフト3位で入団。プロ3年目の2014年には30試合に登板し4勝を上げた。順調に見えた投手人生に影を落としたのが肘のケガ。年々登板機会は減り、2020年に一度目の戦力外通告を受けた。その後、育成選手として再起を図るも、去年現役生活に幕を下ろした。現役時代の秘話としては、お酒に飲まれること、漢字が苦手、三日坊主などのエピソードを安部さん、中田さんから披露された。

「今はスッキリしている。誰の目も気にせず、次の道に進める」と話す戸田さんが、第2の人生に選んだのは＜レモン農家＞。小さい頃から農業に興味があったという戸田さんは、いろんなご縁がつながって、レモン作りにチャレンジすることになったという。「去年結婚した妻が美容関係。将来レモンを使ったコスメを作りたいと言っていた」と、二人の夢が重なったレモン農家という道。今は近隣の先輩農家に指導を仰ぎながら、新たな挑戦の一歩を踏み出している。

「畑を土から全部変えて、一から作り上げて自社ブランドにしたい。そのへんで買ったものより、一から育てて100％自分が作ったものを売りたい。早くても3年かかる」と言う。安部さんから「台風に見舞われたら？」と聞かれると、「その時はご愁傷様」と手を合わせる戸田さん。動画を楽しむことができるアプリ・TikTokでレモン畑の様子を公開し「いろんな人の意見を聞いて、それを一つ一つ実現させていけば、みんなで作るレモンができるんじゃないか」と、話す。

最後に第2の人生への意気込みを聞いた。＜伝道師＞として歩む安部さんは「《人を笑顔に》。携わる皆様が本当に笑顔で楽しくなる環境づくりを目指しているので、笑顔が広がる街づくりを目指してやっていきたい」。中田さんは「《己に勝つ》。フィジークは孤独な戦いなので、まずは自分に勝たないとその上を目指せない。高い目標を掲げ、大会に出た時に優勝できるようにがんばっていきたい」。そして＜レモン農家＞となる戸田さんは「《毎日楽しく！！》。このままできたらいい」と、愛されキャラ全開のコメントで締め括った。

広島ホームテレビ『カープ道』（水曜深夜） 2月1日放送

ライター　湯谷葉子