1900年創業、100年を超える歴史を持つフランス料理店「シェ・ヤマライ（以下、ヤマライ）」。江波山公園内の江波山気象館のすぐ近くにお店があります。冬期には純広島カキを使用したお店自慢のオイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）がいただけます。今回は歴史のあるフランス料理店のランチコースをご紹介します。

シェ・ヤマライ外観

 

ヤマライ123年の歴史

1900年に江波山頂上に茶屋をオープンしたことがヤマライの始まりです。当初はフランス料理を提供するお店ではなく、お酒やお汁粉などを提供し、地元の漁師たちが集まる場所だったそうです。その後、徐々に本格的な料理も提供するお店へと変化。

1945年にハンバーグなどを提供する洋食店へと姿を変えました。この頃に、現在の代表的なメニューでもある「オイスターヴァリエ」が提供されるようになり、地元江波のカキを使った名物料理として知られていきます。

オイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）

そして、1970年に現在のフランス料理専門店となりました。当時広島県民にとってフランス料理は馴染みの薄い料理だったそうですが、徐々に受け入れられたそうです。

店名「シェ・ヤマライ」の由来は創業者の山岡来次郎（やまおからいじろう）さんの愛称「山来（やまらい）」から。現在は、5代目となる「山口成之（やまぐちなるゆき）」さんがオーナーシェフを務めます。

オーナーシェフ山口成之さん

山口さんに料理へのこだわりを伺うと「一期一会を大切に。初めて来たお客様が何度も足を運んでくれることを目指しています。万人が食べておいしいと感じてもらえるように、お客様に寄り添った味付けにしています」。と教えてくれました。ご年配のお客様も多いので、できるだけ胃に負担がかからないようにし、最後までコース料理を楽しんでもらえる味わいにしているそうです。

シェ・ヤマライ 内観

また、なぜ江波山公園内にお店があるのでしょうか。それはヤマライの長い歴史が関係しています。山口さんが先代から聞いた話によると、戦時中にヤマライ周辺は高射砲台を築くために土地収用にあい、一度は営業できない状況になったそうです。戦後は茶屋として使用していた建物に営業権をもたせることで、お店を再開できたといいます。その後、お店を含む敷地が公園として整備されたため、公園内にレストランがあるという全国でも珍しい状態になりました。広島市によると、中区ではこのような営業形態のレストランはヤマライだけとのことでした。

 

ヤマライ自慢のランチコース

ヤマライでは5つのランチコースが用意されています。定番はメインをお魚料理かお肉料理から選べる3,850円（税込）のコースです。メインにお魚もお肉もどちらも食べたい方には「ドゥミ（ハーフ＆ハーフ）コース 3,850円（税込）」がおすすめ。また、ステーキがメインのフルコース5,500円（税込）ではランチだから実現可能な価格で本格フルコースが楽しめます。

また、ヤマライでは例年10月初旬より徐々にカキを仕入れ始めます。12月～2月までがカキの最盛期となり、ヤマライ自慢のオイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）がコースの中でも提供されます。4月中旬頃が食べ納めとのことなので、どうしてもオイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）が食べたい人は、10月中旬～4月中旬の来店がおすすめです。※年により提供される期間は変動するため、詳しくはお店にお問い合わせください。

メニュー表

今回は編集部員2名で来店し、フルコースとドゥミ（ハーフ＆ハーフ）コースをいただきました。

 

フルコース
・オードヴルの盛り合わせ（冬期はオイスターヴァリエ）※カキが苦手な方は別の料理を用意してくれます
・季節の野菜のクリームスープ
・シェフ気まぐれの本日のお魚料理
・お口直しにフルーツシャーベット
・本日のおまかせお肉料理
・季節のサラダ
・本日のお楽しみデザート
・コーヒー又は紅茶

 

ドゥミ（ハーフ＆ハーフ）コース
・オードヴルの盛り合わせ（冬期はオイスターヴァリエ）※カキの苦手な方は別の料理を用意してくれます
・季節の野菜のクリームスープ
・ドゥミメインディッシュ（お魚料理とお肉料理のハーフ＆ハーフ）
・お取り合わせサラダ
・本日のデザート盛り合わせ
・コーヒー又は紅茶

充実したドリンクメニューからアランチャ―タ ロッサ（ブラッドオレンジソーダ 200ml 690円）とノンアルコールスパークリングワイン（200ml 910円）もオーダー

 

ドリンクメニュー表

 

アミューズ

オードブルのオイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）が焼き上がるまでの間にお召し上がりください。と一言添えて、アミューズを提供してくれます。この日は「鶏ハムのサラダ」と「冷やしカッペリーニ」でした。メニュー表には載っていないのですが、日本でいうお通しのようなもの。この後に続くコース料理への期待が膨らみます。

鶏ハムのサラダ

 

冷やしカッペリーニ

 

オイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）

ヤマライといえば、このオイスターヴァリエ（殻付きカキのオーブン焼き5種）は外せません。冬期のみ限定のメニューになりますが、お店の代表的なメニューなので、是非味わっていただきたいです。

ハーブバター、ガーリックバター、ベーコンとカクテルソース、ピリ辛焼き、チーズと5つの味付けで提供される殻付きカキは、カキの持つ旨味が存分に感じられます。おいしいことは言うまでもありませんが、それぞれ違う味付けで食べ比べできるので、様々な味わいが楽しめます。

ベーコンとカクテルソース 身はプリプリで大きい

カキの美味しさの秘密は「純広島カキ」を使用していることです。ヤマライがある江波地方は草津と並ぶカキ養殖の発祥の地です。ヤマライでは数あるカキ業者の中から江波で一番古くからあるという「米田海産」のカキを選んでいます。

広島カキは身太りが良く、味が凝縮されているのが特徴です。米田海産では広島カキの稚貝を大切に受け継ぎ、限りなく純粋な広島カキを育てることに努力されているそうです。米田海産では、毎朝ヤマライのオイスターヴァリエ用に、その日のカキの中でも一番良いものを選り分けくれるそうで、おいしいオイスターヴァリエを安定して提供できているといいます。

 

季節の野菜のクリームスープ

メイン前のスープはさつまいものクリームスープでした。さつまいもは鳴門金時と紅まさりの2種類を使用しているそうで、素材の甘さが楽しめるスープでした。

 

お魚料理

ドゥミ（ハーフ＆ハーフ）コースのお魚料理は「真鯛のムース包み」です。ズワイガニとホタテ、サーモンから作られるムースは味わい深く真鯛と良く合います。本当にこれでハーフなの？と驚くほどボリュームもある満足できる一品でした。

フルコースのお魚料理は「鯛のロースト」。贅沢にもカキのソテーが添えられ、鯛の下にはカッペリーニを使用したペスカトーレトマトソースのパスタが隠れています。付け合わせの野菜もシンプルな味付けながら、素材の味が濃くておいしいんです。

 

鯛の下にはカッペリーニを使用したペスカトーレトマトソースのパスタが隠れています

 

お口直しのフルーツシャーベット

フルコースのみ、お口直しのシャーベットがあります。柿とマンゴーを使った赤ワインベースのシャーベットです。最初にマンゴー甘みと香りが感じられ、最後に柿の香りが鼻に抜けます。次に提供されるお肉料理に向けて、口がリセットされました。

 

お肉料理

ドゥミ（ハーフ＆ハーフ）コースのお肉料理は「ポークのポルチーニソース グラタン仕立て」です。香り高いポルチーニソースがポークと良く合います。下の写真、右に見えているのは、さつまいもとブロッコリーのグラタンです。こちらもハーフとは思えないほど、ボリュームのある贅沢な一品でした。

フルコースのお肉料理は栃木県産の「牛フィレステーキ」です。正直、ランチコースでここまで大きな牛フィレステーキが提供されるとは思っていませんでした。焼き加減が絶妙なお肉はとても柔らかく、肉本来の旨味が感じられました。マデラ酒を煮詰めて作られたソースは甘みがあり、お肉との相性も抜群。付け合わせには、野菜のローストやかぼちゃのフランなどが添えられており、とても贅沢な一皿でした。

取材に伺ったのは12月ですが、この時期付け合わせの野菜のローストには、クワイを出しているそうです。ローストされたクワイは今まで食べたことがないほど、素材の旨味を強く感じられ、とてもおいしかったです。

 

デザートの前にはサラダ

サラダはデザートの前に提供されます。写真左はカレー風味のザワークラウトと豆のサラダ、写真右はマッシュカボチャと豆のサラダです。柿香る自家製ドレッシングとの相性抜群でした。

 

デザート盛り合わせ

最後はデザートの盛り合わせ。写真左がココナッツと洋梨のブランマンジェの上に白ワインベースのゼリーと季節のフルーツがのったもの。赤いソースは赤ワインとオレンジマーマレードを合わせて作っています。写真右はりんごのタルトです。デザートメニューは旬の果物を使うように意識されているそうです。最後にコーヒーか紅茶をいただいてコースは終了します。

 

駐車場・アクセスには気を付けて

「シェ・ヤマライ」は江波山公園内の江波山気象館のすぐ近くにお店があります。途中道が合っているか不安なのですが、ひとまず江波山気象館を目指してください。江波山気象館の駐車場に停めて良いそうなので、遠慮なく駐車させてもらいましょう。

 

リーズナブルな価格にもかかわらず、満足度の高いコース内容に驚き、山口シェフに理由を聞いたところ「食材を余すところなく使用するなどの工夫を凝らし、リーズナブルに提供できています」と教えてくれました。山口シェフの技と知恵が凝縮された、コスパ抜群のランチコースをぜひご堪能ください。

 

店舗詳細

店名	シェ・ヤマライ
住所	〒730-0835 広島市中区江波南1-40-2（江波山公園内）
電話番号	082-294-1200
営業時間	ランチ　　12:00～14:30（ラストオーダー 14:00） ディナー　17:30～21:00（ラストオーダー 20:00）
定休日	火曜日（変更あり）
駐車場	あり（江波山気象館の駐車場を利用）
ホームページ	http://www.chez-yamarai.com/

 

ひろしまリード編集部
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