和洋中を融合した絶品フュージョン料理 40周年を迎えた老舗Petits Pois(プティポワ)広島市西区
横川駅から徒歩で約10分、国道183号線から1本入ったビルの一角に白を基調とした上品な店構えのレストランがあります。1982年9月6日オープン、今年創業40周年を迎えたPetits Pois(プティポワ)です。オーナーシェフの加山賢二さんによると「大通りから1本入ったこの立地が気に入って出店を決めた」そうで、40年前の出店時に「これからは情報社会、良い料理を提供していればきっとお客さんが見つけて下さる」と思ったからだそうです。狙い通りこの少し見つけにくい場所にありながら、予約だけで席が埋まってしまう事もある人気店となりました。
Petits Pois(プティポワ)店内は明るく整頓が行き届いた昔ながらの洋食屋さんといった雰囲気。写真には写っていませんが手前にはカウンター席もあります。店内の設計図面はオーナー自ら引いたそうで随所にこだわりが散りばめられています。特にお気に入りなのは、中心部分が一段高くなった折り上げ天井だそうです。
色々な料理が味わえるランチ1番人気メニュー「プティポワ弁当」
ランチの1番人気メニューはこちらの「プティポワ弁当」。看板メニューの和牛ハンバーグや和牛ステーキに焼き鮭、刺身などこれだけ色々入って2000円という大満足メニューです。ハンバーグは肉の旨味が溢れ、ステーキは口の中でとろける。刺身は新鮮、ほうれん草やナスには旨みがしっかりしみ込んでいて、と端から端まで美味しいがノンストップで繰り返されます。写真の色々なおかずの他にライスとスープ、食後のコーヒーがセットになっています。
プティポア弁当(ライス、スープ、コーヒー付き)2000円あらためて和牛ハンバーグのアップをご覧ください。この日はハンバーグの上にタンシチューに入ってそうなゴロっとしたお肉が上にのせられていました。付け合わせの野菜も美味でした。ちなみに、メニューの中にはハンバーグをメインとした和牛ハンバーグセットもあります。
こちらは別日のプティポワ弁当です。リサーチで訪れた際に簡易に撮影したものなので、画角や色味が甘いですがご了承ください。この写真で何をお見せしたいかというと、この日ハンバーグの上にのっているのはローストビーフなのです。他にも刺身の魚の違いや、フライの具材の違いなど、季節や仕入れ状況によって若干、内容が変化します。このプティポワ弁当、数量限定かつ人気メニューなので、事前予約していくのが確実です。
半年無償で働きレシピを教えてもらった絶品カレー
プティポワで、カレーは人気メニューのひとつです。バリエーションとしては辛口ビーフカレー、オムライスカレー、そして写真のカツカレーと3種類あります。
カツカレー 1800円カレーは辛口と表記されているだけあってしっかりと辛いです。しかし牛肉の旨味、玉ねぎの甘みなどがしっかりと感じられる、辛さと旨さが両立する絶妙にバランスの取れたカレーに仕上がっています。辛みを唐辛子やしょうが、ガラムマサラなどで出し、旨味は牛肉の他、チャツネやヨーグルトなどで出しているそうです。
このカレーはもともとオーナーの先輩のお店のレシピで、「半年間、無償で働いて教えてもらった」そう、そのレシピをベースに妻・順子さんと二人三脚で改良を重ねプティポワの味に仕上げていったそうです。
また豚カツは、徳島のブランド豚「金時豚」を使っています。臭みが全くなく、噛むと上質な脂の甘みが口の中に広がっていきます。寄りで見るときれいなピンク色で肉質の良さが見た目にも分かります。
金時豚の豚カツ
様々な店で修業し辿りついた「フュージョン料理」
オーナーシェフ 加山賢二さんオーナーシェフの加山賢二さんは、元々は光学機器などを製造するメーカーのサラリーマンでした。大阪でサラリーマンをしながら、ダブルワークで洋食屋の出前持ちのアルバイトを始め料理の世界に入りました。その後、脱サラし広島に戻った加山さんは半年から1年くらいのスパンで様々な飲食店に勤め修行、その店の技や味を吸収すると転職し10数軒のお店を渡り歩いたそうです。色々なジャンルの料理屋で学び、それぞれの良さを融合(フュージョン)した現在のプティポワのスタイルを編み出しました。
30歳でお店を出した後も、美味しい料理を出す店があると聞くと自身の舌で味わい、自分の料理に生かしてきました。国内では、青森県以外は全て食事行脚で行った事があるそうです。夜のコースで最初に出しているキャビアの卵かけご飯、これをシャンパンのあてに出すアイデアは某有名料亭を参考にしたそうです。
そんな多くの技を身に着けた加山オーナーシェフですが、料理のこだわりをお伺いすると「1番は素材選び」とおっしゃいます。そのこだわりは仕入れ先にも表れていて、お肉だけで4軒の業者から仕入れているそうです。例えば牛肉のヒレはこの店、ロースはこの店、豚肉はこの店、といった風に。これは長くお店をやっている間にそれぞれの業者の得意な部位などが分かってきて現在の状況になっているそうです。
サクサク、ジュワでとろけるビーフカツレツ
ビーフカツレツ 3000円ランチの中で和牛ロースステーキと双璧を成す最も高級なメニューがこちらのビーフカツレツです。1食のランチとしては高級な部類ですが、その価値を超えてくる満足度を与えてくれるぜひ味わっていただきたい逸品です。キチンと表現しろと言われそうですが、とにかく美味しいの一言。サクサクの食感とお肉からジュワっとあふれる肉汁、たまりません。
程良くレア感の残ったカツレツは、写真を見て思い出すだけで口内に唾液が溢れてきます。濃厚な旨味なのに胃もたれするような事は無く、普段たくさんお肉を召し上がれないという方にも楽しんで頂けると思います。
ここまで3種類のメニューをご紹介してきましたがプティポワにはまだまだ魅力的なメニューがたくさんあります。
ランチメニュー取材時に「若い子はオムライスカレーを頼む人が多い」とホール担当の順子さんがおっしゃっていたことを思い出し、別日にオムライスカレーを食べに伺いました。崩しながら食べ進めると、卵がカレーとケチャップのつなぎ役となり、口の中で一つになります。辛めのカレールウと甘いケチャップが良く合います。
オムライスカレー 1,500円とろとろの卵に包まれたチキンライスには、たくさんの鶏肉が入っています。
タンシチューや若鶏生クリーム煮など、他にも食べたいメニューがたくさんあるので、また近々伺いたいです。
プティポワ もう1つのこだわり
先ほどこだわりの1つとして素材選びとご紹介しましたが、もう1つ大切にしているのが「お客さんの舌を教えてもらうこと」だそうです。分かりやすい例だと、濃い目が好きなのか薄味が好みなのかなど、お客さんの好みに寄り添って料理を提供することだと言います。また、お客さんによっては「カレーを、フォークやはしで召し上がる方もいらっしゃいます」だそうで、味だけでなく食べ方まで、それぞれのお客さんの好みをご夫婦で覚えてらっしゃるそうです。
加山賢二さんと順子さんご夫婦この料理を極めたご夫婦には、二人の自慢の息子さんがいらっしゃいます。どちらも高校を卒業してすぐ調理師学校に進学されたそうです。これは賢二さんが料理の修行をある程度重ねた28歳の時、東京で勝負しようと上京、とある料理店で「東京で料理の道を志すなら28歳じゃ遅過ぎる」といわれ東京で戦う事を断念した経験から息子たちには早い段階で料理の世界に入れてあげたかったからだそうです。
お父さんの期待通り2人の息子さんたちは成長し、現在は東京・西麻布のMargotto e Baciare(マルゴット・エ・バッチャーレ)というレストランをご兄弟で経営されています。ご兄弟のお店は順調で2022年6月ハワイに2店舗目を出店されました。
ちなみに賢二さんによると息子たちには「ランチのお弁当のアイデア、カレーとコンソメスープのレシピなどを使われているけど向こうからは特にお返しはない」と冗談交じりに嬉しそうに話してくださいました。話の終わり頃に順子さんから「息子たちのお店のお客さんが広島に来た時、こちらを訪ねて下さるので息子たちが東京で宣伝してくれてるんですよ」とさすがの気遣いでフォローされていました。
こだわりの料理と行き届いた心遣いが味わえる三篠町にある名店プティポワをぜひ訪れてみてください。
Petits Pois(プティポワ)
所在地:広島県広島市西区三篠町1-2-24
TEL:082-239-3755
営業時間:昼 11:00~14:00 / 夜 17:00~21:30
駐車場:あり