「最も小さなクジラ」スナメリは瀬戸内海で漁を助けていた!
魚の生態や海の大切さをイラストや歌で表現している、さかなのおにいさん、かわちゃんこと、川田一輝さん。宮島水族館で、川田さんに海の生き物について教えてもらいました。
川田一輝さん今回は宮島水族館の顔ともいえる「スナメリ」についてうかがいました。まずは、スナメリの生態。スナメリは、人間と同じ哺乳類なので水中で呼吸ができません。
宮島水族館のスナメリスナメリの頭部中央に注目してください。穴のようなものが、鼻なのです。
宮島水族館のスナメリこの鼻を水の上に出し、呼吸をしています。
呼吸するスナメリ呼吸の仕草すら愛おしいスナメリですが、瀬戸内海にも生息していること、皆さんは知っていましたか?
宮島水族館のスナメリスナメリについてより詳しく知るため、特製のイラストで説明してもらいます。川田さんのイラストに「瀬戸内海の笑うクジラ スナメリ」とありますが、スナメリってクジラなの?
イラスト:川田さんそう、スナメリはクジラの仲間なんです。最も小さいクジラだそう。クジラと言われて違和感を覚える理由は、スナメリによく似たシロイルカの存在ではないでしょうか。スナメリとシロイルカ、見た目は似ていますが、サイズが全く違います。スナメリは1.6mほどに成長するのに対し、シロイルカは5mと大きいのです。
イラスト:川田さんそして、スナメリという名前の由来について。漢字で書くと「砂滑」。砂の中に隠れているエサに向かって、口から勢いよく水を吹く姿が砂をなめているように見えることから、砂をなめる→砂滑になったそうです。そんなスナメリに、人間は恩があるのだとか。その恩とは・・・
イラスト:川田さん川田さん曰く、昔の漁師さんはスナメリに漁を手伝ってもらっていたのだそうです。
船の上からはどこに魚がいるかわかりません。そこで、漁師はスナメリに印をつけ、魚を追いかけるスナメリを追いかけて漁をしていたのだそう。実際に広島県・竹原市阿波島の近海では、その方法で漁が行われていました。現在、その場所は、スナメリクジラ廻遊海面として天然記念物に指定されています。
イラスト:川田さんしかし今、その漁は行われていません。スナメリの数が減ったからです。スナメリがすみかとして好む浅瀬が埋め立てられるなどして、居場所がなくなってしまったのです。そのことが原因で瀬戸内海の生態系に影響を及ぼす可能性があると、川田さんは説明します。
宮島水族館のスナメリスナメリは、瀬戸内海の生態系の頂点にいる存在。そのスナメリが住みづらい環境になっていくと、そのエサとなる魚たちや環境にも影響が出てきます。スナメリを守ることで、美しい瀬戸内海やそこに住む人間の環境も守っていけるのです。
宮島水族館のスナメリ「スナメリをきっかけにやさしい想像力が広がればいい」そう川田さんは語ります。