大車輪の活躍を見せたプロ1年目カープ松本竜也 手応えをつかんだ球種
「自分がマウンドに上がった時に、ファンの皆さんやチームメイト、首脳陣が安心して見てくれるような、松本なら大丈夫だろうという風に思ってもらえるようなピッチャーに最終的にはなりたいと思う」。そう話すのは、プロ1年目の松本竜也投手。広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』は、ドラフト5位ルーキーの松本投手をフカボリ。飛躍につながった球種について聞いた。
※データはすべて10月1日O.A.時現在 ※以下、(選手)敬称略
高校(智弁学園高)から社会人(Honda鈴鹿)を経て、ドラフト5位でカープに入団。春季キャンプから監督賞を獲得するなど存在感を発揮し、見事開幕一軍の座を射止めると、1年目から一軍でフル回転。信頼を積み重ね、緊迫した場面での登板も増えた。
「今シーズンは自分が想像していた以上にいろんなことを経験させてもらった。プロの洗礼というものも十分浴びているし」と振り返る松本。「真っすぐが思った以上にシーズン通していく中で徐々に良くなってきているというか、通用しているし、まだまだ自分の中で真っすぐはもっともっと良くなると信じている」と話す。入団当時からすでに高い評価を得ていたボールだが、カープでさらに進化をとげていた。
「真っすぐはもっともっと良くなると信じている」ストレートの進化は平均球速だけではなく、<ホップ成分>の数字にも見られる。ホップ成分とは、回転しないボールと比較した時に、何センチ高い位置でホームベースに到達するかを表す指標。松本の数値は、平均51センチとか、53センチとか。マックスは63センチと、大谷翔平(36センチ)やダルビッシュ有(43センチ)を上回る。今シーズンからホークアイと呼ばれる動作解析システムが導入されているマツダスタジアムでは、ホップ成分だけではなく、さまざまな指標を数値化して映像にも残すことができる。松本は登板のたびに、このデータと向き合い、質の良いストレートを目指している。
もう一つ、飛躍のカギを握っている球種はフォーク。カープの守護神・栗林良吏のウイニングショットとしても知られるフォークは空振りを奪いやすく、中継ぎピッチャーにとって大きな武器になる。松本は「社会人ではフォークがなくても苦労しなかった」と明かす。カープに入団すると、チェンジアップやフォークといった落ちるボールを武器にしている選手が多く、フォークを解禁しようと思ったのだと言う。
「栗林さんからも詳しく考えや使い方、握り方を教えていただいて、自分も投げてみて思ったことをその都度アドバイスを受けに行っている」とも。「前半と比べれば真っすぐでカウントを整え、先に追い込めたり、そういうところで安定してきているので、自ずとフォークを投げられる機会が多くなってきて、キャッチャーの皆さんも一か八かと思いながらだと思うが、自分のフォークが良くなるように信じてくれて、サインを出してくれた」と感謝の気持ちを口にする。自分のボールと向き合い、成長を遂げてきた松本。理想のピッチャー目指して、また進み続ける。
広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』(土曜13:00) 10月1日放送
ライター 湯谷葉子