温暖化で瀬戸内海に異変「むさし」あの人気メニューが販売休止に【地球派宣言】
瀬戸内海にも地球温暖化の影響が・・・広島県内で13店舗を展開する老舗店「むさし」にも影響がでています。
瀬戸内海でとれた小エビをかき揚げにした「地海老天婦羅うどん」。
お店の1,2を争う人気メニューで年間22万食を販売していました。
地海老天婦羅うどんしかし、今年3月、販売休止を知らせる紙が店内に張り出されました。
むさし営業部の山本伸一(やまもと・しんいち)次長は「去年の年末ぐらいから、エビが取れなくなる、少なくなるよと言われていた。なんとか確保してきたが在庫がなくなってしまった」と話します。
販売休止を知らせる貼り紙瀬戸内産以外のエビでも作ってみましたが、同じ味が出せなかったそうです。
お店には持ち帰り用の地海老天婦羅うどん(冷凍)が残っていましたが。店頭用としては使えないため、創業以来、初めて提供を休止したのです。
むさしの山本次長なぜ、急にエビが獲れなくなったのでしょうか。
福山市内で30年近くエビ漁をしている、村上正(むらかみ・ただし)さんの船に乗せてもらいました。
村上さんは「以前はこの時期には、エビがたくさん獲れたが、近年少なくなってしまっている」と説明します。
横島漁協の村上正さんエビの漁は海に網を入れて船で引く、いわゆる底引き網漁で「えびこぎ」とよばれています。
この日、村上さんが漁に選んだのは愛媛沖。
約1時間後、網を引き揚げてみると・・・タイやチヌなどの魚はとれましたが、肝心のエビは・・・。
漁の様子村上さんによると「前は何十kgといたけど、今は少ない。夏があまりに暑いので水温が下がりきらずに、エビの成長する時期がずれてきている。この時期にはもっと大きくなっているはずですが、まだ生まれたばかり」なのだそうです。
水揚げされたエビ県内で水揚げされるエビは2005年の1660tをピークに減り続け、2年前の調査ではわずか76t。
村上さんは、去年はあることが原因で水揚げが激減したと言います。
それは「気温が上昇しすぎたこと」
「7月の終わり、これから一番獲れる時期にダメになってしまった。海水温が上がって、ゆであがってしまった。」のだそうです。
エビを選別する村上さんすっかり夜が明けた午前6時すぎ、2回目に入れた網を引き揚げますが・・・
エビの代わりに目立ったのは、ナイロンやブルーシートなどのゴミでした。
一緒に水揚げされたゴミ多い時には30分で30kgのエビを水揚げしたこともあるという村上さん。
この日は3時間の漁でわずか2kgでした。
村上さんは「かなり厳しい。今年はどれくらい獲れるのだろうか。去年も少なかったが、今年もそんなに増えることはないだろう」と話します。
漁終了後に船の前で話す村上さんエビ不足のため地海老メニューの休止に追い込まれた「むさし」。いまも新たな仕入れ先を探しています。
十分な量が確保できれば「地海老天婦羅うどん」を提供したいということです。
むさし土橋店今のままだと、「地海老天婦羅うどん」は持ち帰り用の在庫がなくなる来月にもお店から完全に姿を消すことになります。
身近な食材がある日突然、消える・・・。
温暖化はこんなところにも影響しているのです。
水揚げされたエビ