盗掘相次ぐ…三段峡の貴重な山野草を守る【地球派宣言】

約800種類の植物が生息する安芸太田町の三段峡です。

三段峡 三段峡

つぼみが筆のような形をしていることからその名が付いたフデリンドウに、1円玉よりも小さいサワハコベ。
小さいながらも存在感のあるきれいな花が山道を彩ります。

フデリンドウ(左)とサワハコベ(右) フデリンドウ(左)とサワハコベ(右)

植物の採取が禁止されているこの場所で、山野草の盗掘が相次ぎ問題となっています。
三段峡を中心に活動するNPO法人さんけん(三段峡―太田川流域研究会)の小林久哉(こばやし・ひさちか)副理事長は「きのうはあったのに、きょうは掘られた跡があるということが起こっている」と話します。

NPO「さんけん」の小林副理事長 NPO「さんけん」の小林副理事長

狙われれる植物に特徴はあるのでしょうか。
小林さんによると、被害が多いのはランで、個人で持ち帰るだけでなく、業者とみられる人が根こそぎ盗掘していくこともあるそうです。
小林さんは「野生の様々な条件がそろって生息するコケイランも本来たくさんある場所に、なくなってしまっていることがある」と言います。

盗掘された場所(左)とコケイラン(右) 盗掘された場所(左)とコケイラン(右)

ランだけではありません。珍しい山野草も盗掘の被害にあっています。
イチリンソウは古い地層に咲くそうで限られた場所にしか咲いていません。
たくさんあるから持って帰ってもよいと、大勢が持って帰ると激減してしまいます。

イチリンソウ イチリンソウ

国の特別保護地区に指定されている三段峡では山野草などの盗掘は、法律で禁止されています。
違反者には1年以下の懲役、または100万円以下の罰金が科せられます。

採取禁止の看板 採取禁止の看板

小林さんは「三段峡は、特別保護地区なので厳しく言うと、枯れ葉1枚も持って帰ってはいけない場所。観光地化したことで、貴重だからととってしまう人、商売としてとって行く人が増えた」と説明します。

説明する小林さん 説明する小林さん

一向になくならない盗掘の被害。
小林さんはほかのメンバーらとともに定期的に見回り、山野草の位置などを記録しています。
盗掘について監視されているということを発信し、気軽に持って帰ってはいけないという雰囲気作りを目指しています。

NPO法人による見回り活動 NPO法人による見回り活動

三段峡の取材から数日後、また盗掘の被害が発見されました。
再び小林さんに案内してもらうと、カヤランという木の上につく養生ランが数株を残し、ほとんどなくなってしまっていました。
盗まれた場所は高さ2m以上ある木の枝の下。
被害に遭ったカヤランは、ネット上でも販売されることがある希少なものだそうです。小林さんによると「よく知っている人が準備をしてやってきて人の居ない時に、そぐようにして取ったとしか考えられない。」とのこと。

盗掘された場所を案内する小林さん 盗掘された場所を案内する小林さん

身勝手な理由で行われる盗掘・・・。
このまま続けばかわいい草花が見られなくなる日が来るかもしれません。
貴重な自然を守るため、地域の人々の、地道な活動は続いています。

盗掘された場所(左)とカヤラン(右) 盗掘された場所(左)とカヤラン(右)

 

 

広島ホームテレビ『5up!
地球派宣言コーナー(2022年5月4日放送)

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