カープ坂倉将吾選手の恩師 日大三高・小倉監督が教え子愛を大激白する後編
今回の広島ホームテレビ『カープ道』は、前回に続き坂倉選手を一流に育てた恩師の日本大学第三高等学校(以下、日大三高)硬式野球部・小倉全由(おぐら まさよし)監督が登場。坂倉選手の野球人生の軌跡をたどり、共に過ごした3年間を振り返る。
▼前編
【カープ道】坂倉将吾選手 恩師 日大三高・小倉監督が語る原点
まずは坂倉選手のプロ第一歩となる春季キャンプを見学した時の思い出から。「首脳陣から、こんなに練習する高校生はいないと、お褒めの言葉をいただいた」と顔がほころぶ小倉監督。見学する小倉監督の元に挨拶にやってきた選手は、練習試合で顔を合わせた中京大中京高校出身の堂林翔太選手と磯村嘉孝(いそむら よしたか)選手。そして鈴木誠也選手の姿もあった。
「鈴木選手は、自分がオール東京の監督時代、ロサンゼルス遠征した時の4番バッター。肩が強く、足も早く、力強い選手」。そんな三拍子そろった鈴木選手に「レフト方面に思い切ってひっぱってすばらしい打球を打たなかったら、良い選手にならないぞ」とアドバイスしたと明かす。「それが今では球界を代表する選手、“おい!誠也“なんてもう言えない。“誠也さん”と言わなくては」と、その目覚ましい活躍ぶりに喜びを隠せない。カープに入団してチームメイトになった坂倉選手は「鈴木選手は、それだけやったら壊れちゃうと思うくらい練習する」と小倉監督に話していたという。
教え子・坂倉選手の雄姿は「一軍の試合に出始めてから、TV中継で見るようになった」という。持ち前のバッティングで3年目のシーズンから徐々に出場機会を増やし、2019年には81試合に出場。打撃が開花し、最も注目を集めたのが2021年9月7日マツダスタジアムでの試合。8回ウラの第4打席で規定打席に到達、プロ5年目にして首位打者に躍り出た。さらに9回ウラ。2アウト1、2塁のチャンスで、ライトへサヨナラHR、ファンも歓喜に沸いたサヨナラ勝利だが、小倉監督は「サヨナラHRを見逃した」と悔やむ。
小倉監督には、他にも心に秘めていた“後悔”があるという。「それは坂倉選手に甲子園の土を踏ませることができなかったこと。一番申し訳なく思っている」と打ち明ける。坂倉選手にとって高校時代最後の試合となった西東京大会の準決勝。夏の甲子園をかけた大一番。2点リードされる展開の中、逆転のチャンスでバッターボックスに立ったのは坂倉選手。「自分はそこでバントをさせた。今思えば、うちで一番いいバッターなのに、なんであそこで打たせなかったのか。自分の中で反省している。今でも坂倉に謝りたい」と激白。「坂倉選手もあの場面で打ちたかったと思う」と後悔の言葉が続いた。
今後の坂倉選手については「球団の中で選手起用があるので何とも言えないが、マスクを被ってキャッチャーで、打てるバッターでいてもらいたい。そしてチームの要として守りで引っ張ってほしい」と親心をのぞかせる。「高校3年間言ってきた“練習はウソをつかない。一生懸命努力すれば、自分に返ってくる。努力を怠ればマイナスが自分に返ってくる”ということを忘れずに。あとは謙虚さ。誰からも愛されて、応援してもらえる選手になってくれ」とエールをおくった。
心から教え子を思う小倉監督の言葉の数々に、番組MCの中島尚樹さんは「小倉監督を通して、坂倉選手のことがますます好きになった」と感慨深く締めくくった。
広島ホームテレビ『カープ道』(水曜深夜) 4月27日放送
ライター 湯谷葉子