世界で唯一ここだけに自生する「テングシデ」【地球派宣言】
2020.03.12
2020.03.27
枝がくねくねと曲がりくねった大木「テングシデ」。テングシデは、イヌシデ(カバノキ科)の変種です。奇妙な形の木々が織りなす光景は、古くから“天狗が住む”といわれ、地元の人々から恐れられていました。
広島県の北部に位置する、北広島町大朝。そこにあるテングシデ群落は、国の天然記念物に指定されています。
テングシデ群落
◆大朝にしか自生していないテングシデ
通常のイヌシデは、日本全国の山でよく見られる落葉樹で、本来、幹は真っ直ぐですが、このテングシデは、世界の中で大朝にしか自生していないのです。これまでの研究により、突然変異によるものということはわかっていますが、なぜこの場所にしか自生していないのかは、わかっていません。
イヌシデ(カバノキ科)◆テングシデの不思議を調査する中学生
その疑問を調査しているのが、地元の新庄中学校の生徒たち。生徒たちは、風の影響によるものとして仮説を立て、立証しようとしています。周辺10カ所の風向きを調査した結果、風が谷の中で回っているのではないかと考えました。
また、テングシデと、他のシデ類の種の飛び方の違いを、さまざまな方法で調べました。風速を変えながら種を飛ばしてみると、テングシデの種は、弱い風ではほとんど飛びませんでしたが、強い風で飛ばすと遠くまで飛ぶことがわかりました。テングシデ群落の外にも、いくつか若いテングシデが育っていますが、谷の中で風が回って、あそこ場所にしか生えていないのではないかと考えています。
テングシデを調査する新庄中学校の生徒たち
古くから、この地に住む人たちに守られてきたテングシデ。新庄中学校は、研究と同時に、保護活動も行なっています。世界でここだけのテングシデを、後世に残してほしいものです。
広島ホームテレビ『みみよりライブ 5up!』
地球派宣言コーナー(2020年3月11日放送)