花粉量1%のスギ 広島でも続々植樹 【地球派宣言】
今にも飛び出しそうなスギの花粉。県内には4万ヘクタール以上のスギ林があり、このうち植えてから30年を超えた木が毎年花粉を出しています。

花粉は粒子が細かく、遠くまで飛んでいくため、スギの木が近くになくても花粉症の症状が現れるのです。ウェザーニューズによりますと県内では今月中旬ごろから花粉の飛散が始まる予想です。

三次市布野町(みよしし・ふのちょう)の山奥に、花粉の量が少ない「少花粉スギ」が植えられています。「少花粉スギ」は20年以上前に、国の研究機関で品種改良されたスギの木です。通常と比べ花粉の量が1%程度と極端に少ないのが特徴。いま、花粉症対策として全国で植えられていて「アサヒの森」では三次市と庄原市の2カ所に3年前から800本以上植樹しています。

アサヒの森の担当者は「一般の方の林業に求めるニーズの中で、花粉症対策があるという事がわかった。少花粉の苗のことも聞いていて、植林する計画があったので植えてみようと考えた」とその理由を話します。

一般のスギと少花粉スギの違いを、県林業課の井堀秀雄課長に聞いてみると 「通常つく雄花が全く付かなかったり、ついても極めて少ないというもので花粉の飛ぶ量が多い年でもほとんど花粉が出ないというのが少花粉スギ」と話します。

スギの雄花は秋ごろからが成熟し、暖かい季節になると花粉を飛ばし始めます。一般的なスギの雄花が赤茶色に膨らんでいますが、少花粉スギには雄花がありません。

自然への影響はないのでしょうか。県林業課の井堀課長は「一般的なスギも(花粉が飛んで)自然に出るものがあまりなくて、基本的には苗木を作って植えるという事なのであまりかわらない」と話します。
県は小花粉スギの種から苗木を作り、2025年度をメドに植え替える木を全て少花粉スギに変える方針です。

実際に花粉症対策の効果が現れるのか聞いてみると「30年ぐらいで花粉は飛ぶと言われているので、このスギも植え始めて30年ぐらいした時に花粉が少ないという効果が実感できるのではないかと」と話します。

いまや国民病とも言われるスギの花粉症。即効性のある対策がない中、地道な取り組みが根絶の鍵になるのかもしれません。

広島ホームテレビ『5up!』
地球派宣言コーナー(2022年2月9日放送)
