プロ野球の光と影 カープ 小窪哲也と栗林良吏の2021

2021年のスポーツシーンもやはり、「新型コロナ」の影響を大きく受けた1年でした。
1年遅れで開催された東京オリンピックは無観客。
プロ野球も観客数が制限され、大声で声援を送ることも許されませんでした。

 

この1年、プロ野球の世界を両極端なステージで過ごした2人の選手がいます。
現役を退き来季からカープのコーチに就任する小窪哲也氏と、新人王を獲得した栗林良吏投手です。

 

小窪氏は、PL学園、青山学院大、さらには大学日本代表でも主将を務め、プロ野球の世界へ。2016年には選手会長としてチームをまとめ、25年ぶりの優勝を手繰り寄せました。

小窪氏

 

実績のある黒田投手や新井選手、さらには頭角を現し始めた若手など、個性あふれる選手がひしめく中、丁寧なコミュケーションを重ねてチームをまとめあげ、優勝という目標に導いた、その手腕、人間性は、誰もが認めるものでした。

 

しかし、徐々に出場機会が減り、2020年シーズン終了後、球団からは、現役を退き指導者になる道を示されます。

 

「選手としてまだやりたい、という気持ちのまま指導者にはなれない」

 

彼が選んだのは、現役を続けること。
カープを離れ、他球団のオファーを待ち続けました。
しかし、キャンプが始まっても、シーズンが開幕しても、彼には、どの球団からも声はかかりません。専門学校の生徒や、できたばかりの独立リーグの選手たちに囲まれながら、彼は「やり切りたい」と挑み続けたのです。

 

 

一方の栗林良吏投手。

新人記録を塗り替え、オリンピックでは胴上げ投手に、さらに圧倒的な得票数で新人王を獲得するなど、輝かしい成績を残した2021年でした。

栗林良吏投手

 

彼は早くから名を知られた存在ではありませんでした。彼はもともと野手です。投手に転向したのは、高校時代。野球界でその名を知られるようになったのは大学になってからです。大学4年時には指名漏れも経験しました。社会人で活躍を認められ、ようやくプロの世界へ足を踏み入れたのです。

 

ルーキーイヤー、彼が任されたのは「抑え」。
キャンプに入ると、同じ背番号「20」を背負った永川コーチの指導を受けながら過ごしました。その永川コーチ、実は当初、「本当に1軍で投げられるのかな?」と、栗林投手を低く評価していたのです。ポイントになったのは、永川コーチも武器としていたフォークボール。オープン戦が進むにつれ、徐々にエンジンがかかる栗林投手。永川コーチも、栗林投手自身も「いける!」と確信した1球がありました。

 

栗林投手が何を考え、過ごしてきたか。それを知るにつれ、彼が過ごした、この1年の密度の高さを感じることになります。

LINE はてブ Pocket