カープ2021シーズンをデータマンが分析!来シーズン逆襲へのキーマンは?
来シーズン3年連続Bクラスからの巻き返しを狙うカープ。広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』では、プロ野球のビッグデータを操るデータマンこと佐々木浩哉氏が2021年カープの戦いを解析。その緻密なデータをもとに来シーズン逆襲へのキーマンを導き出した。
※データはすべて11月6日O.A.時現在 ※以下、敬称略
まずは、«過去5年間(2017―21)の得失点»を見ると、今シーズン大幅なマイナス(-32)。得点より失点の方が大きく、ここが上位に食い込めなかった原因の一つ。
成績をセ・リーグ別で見ていくと。カープは得点が3位(557)で、失点が5位(589)。
«過去5年間(2017―21)の先発・救援投手別々の防御率»では、リリーフ投手が昨シーズンより改善(3.50)。栗林良吏、森浦大輔、K.バードら新戦力の活躍によるものだ。
左から K.バード投手 栗林良吏投手 森浦大輔投手
さらに≪7回以降リードしていた時の救援登板成績≫は、いわゆる勝ちパターンの継投で防御率3.07と昨シーズンより上がっており、3連覇の2018年(3.88)よりも良い成績。昨年あたりは7回以降リードしていても逆転されるような数字になっていたが、今シーズンはリードを保って勝ちに繋がっている。
≪7回以降リード時救援登板成績≫を選手別に見ると、栗林がずば抜けており、圧巻。その中で防御率2.41と奮闘した島内颯太郎に注目。スタジオゲストのカープOB外木場義郎氏は「球も早いし、ウイニングショットも持っているし。今後も力を発揮できる」と太鼓判。来シーズン、栗林につなぐ勝利の方程式入りが期待される。
セットアッパー定着へ期待のかかる島内颯太郎投手
続いて攻撃面。≪今シーズン野手のwRAA(各ポジションのリーグ平均に対する打撃による得点貢献)»のデータを振り返ると、ライトでは鈴木誠也の力が、リーグ平均から46点上回る。
マイナスはファースト(-19.0)とサード(-21.5)。大きく下がってしまっている。優勝したヤクルトの数値を見てみると、マイナスが二桁になっているところがなく、セカンド(32.3)、サード(32.3)と山田哲人、村上宗隆が得点を多く生み出している。マイナスが大きくなく、全ポジションで得点貢献できるチームが優勝により近づくことができる。
他チームでも強打者が多いファーストとサード。サードはHRも二桁(10)マークし、小園海斗と同期の3年目・林晃汰に期待がかかる。サードに定着した林が、来シーズン左の大砲、主軸として活躍してくれることを願う。
小園海斗選手 林晃汰選手
得点貢献マイナスのファーストには坂倉将吾の名前もある。打率リーグ2位、出塁率リーグ3位の坂倉がなぜ? それはキャッチャーとの併用だから。キャッチャーとして出場した試合の方が得点貢献が大きい坂倉は、今シーズン以上にキャッチャーとして活躍する可能性が高い。ファーストは新外国人選手、FAせず残留を決めた堂林翔太らがどのような結果を出してくれるかがポイントになる。
打率リーグ2位、出塁率リーグ3位と飛躍した坂倉将吾選手
大幅なプラスになっているライトのポジション。鈴木が噂どおり、オフにポスティングでメジャーリーグに移籍することになると、ここをどう埋めるかも思案どころ。
カープは2021年ドラフトで、ルーキー中村健人<トヨタ自動車>と末包(すえかね)昇大<大阪ガス>という右の大砲候補を2人獲得。ポスト鈴木候補を見てみると、20代中盤から後半にかけての野手が多い。データマン佐々木氏は、今シーズン後半でパンチ力のある打撃を見せた宇草孔基が、鈴木のポストになるのではないかと予想する。
果たして来シーズン、カープはどのような巻き返しを? これからもデータで紐解きながらカープを分析していきたい。
広島ホームテレビ『ひろしま深掘りライブ フロントドア』(土曜13:00) 11月6日放送
データ提供 データスタジアム株式会社
ライター 湯谷葉子