日常のふとした瞬間にさりげない輝きと温かな思い出を|みやじまガラス工房 Fizz Glass・横田光史さん

少し遠くに聞こえる商店街の賑わいや、ゆっくりと道を行くバイク……。

宮島の表参道商店街から一本奥に入った町家通りには、穏やかな時間が流れています。

この通りに佇む「みやじまガラス工房 Fizz Glass」。

店の中に入ると、光を受けてきらきらと輝くガラスのアクセサリーやモビールなどが並んでいます。

 

ガラスのモビール

 

店を営むのは、宮島で暮らしながらガラス作品を手作りする横田光史さん。

広島県出身で、約12年前に店を開くとき、宮島へ移住してきました。

 

横田さん 横田さん

 

最初は町家通りに店を構えていましたが、一時、表参道商店街に移転。

その後、2024年4月に現在の場所に移転してきたときには、町家通りを通る人たちから「久しぶりにこのお店に会えてうれしい」という声もあったそうです。

大きな窓から、温かく、透き通った輝きを放つこの店は、町家通りに欠かせない場所になりつつあります。

 

店内の様子

 

宮島の自然とつながる色を取り入れて

「実家がガラス店だったので、子どものころからガラスはとても身近な存在でした。父はステンドグラスを作って販売していて、昔から『自分もいつかガラスで何か作れたらいいな』という気持ちがありました」と横田さん。

ガラス細工の技術は、機械を購入した工房で教わったり、本を読んだりして習得したのだそう。

「すてきだな」と思う作品に出合ったときには、その作家に会いに行き、作品や技術について意見交換をしたこともあったそうです。

 

定番商品の一つは、カラフルな箸置き。

シンプルでありながら食卓で程よい存在感を放つ、丸みを帯びたデザインが特長です。

 

 

宮島をぐるりと囲む海、豊かな緑、毎日違う表情を見せる空……。

作品には、宮島の風景とリンクするカラーも取り入れているそうです。

鮮やかな色の作品も、丸みを帯びた優しそうな表情に仕上がるのがガラス細工の魅力の一つ。

横田さんは「ガラスが『こんな形になりたい』と言っている方向に仕上がりを持っていくのが僕の仕事」とほほ笑みます。

 

「店を開く場所として宮島を選んだのは、国内外から来られる方に作品を見てもらえる場所だと思ったことと、祖母が宮島出身でいろいろな人とのつながりをいただいたことがきっかけです。でも、実際に島に暮らすと自然があふれていて、毎日感じるものがたくさんあることに気づきました。ものづくりには最高の場所で、贅沢をさせてもらっています。この町内の人はお祭りが大好きで、人と人とのつながりが感じられるのもいいですね」

農作物に感謝する秋の祭り「たのもさん」では対岸に向かって手作りの舟を流したり、「氏神祭」では大きなしゃもじが乗った神輿をかついだり。

宮島ならではの文化や伝統が息づく行事も、日々の生活の一部になっているそうです。

 

ブローチ

 

横田さんの妻・Masukoさんが作るビーズ「地球玉」も、宮島の自然にインスピレーションを受けて生まれた作品。

青や緑などのガラスを溶かして、幾重にも重ねることで幻想的な色合いを作り出しています。

「愛のうた」や「美しい泉」、「そら」……。

一粒ずつに付けられた名前から、Masukoさんの宮島への愛情がひしひしと伝わります。

 

地球玉 「地球玉」のブレスレット

 

「地球玉」は親指の爪くらいの大きさですが、納得のいく色合いになるまで数時間かかることも。

宮島の太陽や風から感じた自然の美しさと力強さが、一粒にぎゅっと詰まっています。

 

使う人をさりげなく、きらりと引き立てたい

おみやげや贈り物に人気なのは、イヤリングやピアスなどの小ぶりなアクセサリー。

鹿の角をモチーフにした宮島らしいデザインのものもそろえています。

 

鹿の角がモチーフのイヤリング

 

「目指しているのは、アクセサリーを着けてくださる方をさりげなく引き立てるような作品です。派手になり過ぎず、『あ、なんかそれいいね』って、その方がちょっとキラッと、輝いて見えるようなお手伝いができたらと思っています」

同じデザインで作られていても、色の出方やガラスの丸みはさまざま。

使う人の個性に寄り添ってくれそうな作品を選ぶのも、楽しみの一つです。

「観光地にある店なので、持って帰りやすい軽さや、おみやげで渡しやすいサイズにすることも心がけています」という言葉に、横田さんの心遣いがにじみます。

 

アクセサリー

 

日が暮れてくると、店内ではランプが存在感を増していきます。

ガラスを重ね合わせて窯の中で融合させる「フュージング技法」で作られたランプシェードは、ぽってりとした質感が魅力。

藤棚や桜、紅葉など、島内の自然がモチーフになっています。

 

ランプシェード

 

窓際に置かれていたランプの名前は「海の中から見上げる」。

小さなガラスが散りばめられ、ランダムに波打つランプシェードは海の輝きや力強さをも表現しているようです。

取材時には、優しい夕焼けとのコラボレーションに思わずうっとり。

横田さんは「お気に入りのランプで、より一層くつろいだ時間を過ごしていただけたら」と話します。

 

 

「また宮島へ」思い出を持ち帰るガラス体験

横田さんとMasukoさんは、ガラスの製作体験にも力を入れてきました。

現在体験できるのは、宮島ビーズのブレスレットとクリスタルガラスのサンキャッチャー作り、フォトフレームの飾り付けの3種類。

一番人気の宮島ビーズのブレスレット作りでは、30色以上のガラスから好きなものを選び、バーナーで溶かして金属の棒に巻き付け、オリジナルビーズを作ることができます。

所要時間は1名につき30分ほど。

中学生以上であれば、誰でも体験できます。

 

体験イメージ

 

「ガラスの製作体験を希望される方は、最近特に増えてきています。手作りをしたものを持ち帰ると、記憶と日常がパッとつながりますよね。旅先での思い出が、いつも自分のそばにいてくれるような」と横田さん。

 

サンキャッチャー

 

「旅行が終わってからも、ブレスレットを身に着けたり、サンキャッチャーの光が部屋中に広がったりしたときに『きれいだね、これ宮島で作ったよね』と思い出していただけるといいなと思っています。『また宮島に行こうね』と思ってもらえたら、さらにうれしい。最初はたくさんの方にお店に来てもらいたいという思いで宮島を選びましたが、今はこの体験が『宮島に行きたい』と思ってもらえるきっかけの一つになることを目指しています」

 

横田さん

 

ガラスの魅力を尋ねると、「やっぱり、キラッとした光がきれいなこと。生活の中にガラスのアクセサリーや雑貨を取り入れて、自然の光を通したときの輝きを楽しんでいただきたいです」とにっこり。

美しい輝きに手作りの温もりが重なったガラス細工は、いつまでも宮島の風景と思い出を伝え続けてくれそうです。

 

 

みやじまガラス工房 Fizz Glassの基本情報

外観

 

<所在地>
広島県廿日市市宮島町557-1

<TEL>
080-6304-2397

<営業時間>
10:00~17:00

<定休日>
不定

<公式サイト>
https://fizzglass.stores.jp/

<SNS>
Instagram:@fizzglass

 

ライター/時盛郁子
※紹介している内容は2026年1月取材時点のものです。公開後内容が変更している可能性があります。

LINE はてブ Pocket