広島もとまち水族館の裏側に潜入!“都市型水族館”ならではの苦労とは?|地球派宣言

2025年10月末にオープンした「広島もとまち水族館」。

8つのエリアに、200種3000点の生き物が展示されています。

 

広島もとまち水族館

 

開館の2時間半前。

飼育員の中島(なかしま)さんは、水槽が並ぶ真っ白な部屋で汚れた水とゴミの掃除をしていました。

実はこの水族館は、商業施設の中にあるため大規模な排水設備がなく、水槽の掃除や水の入れ替えはほとんどが手作業なのだそう。

 

水槽のコケをとる中島さん

 

地道な作業も多いですが、やりがいを感じることがあると中島さんはいいます。

「オープン前に来た時は小さくて色のついていない魚もいっぱいいたが、1カ月たって見栄えがする魚になってくれたのがうれしい」(中島さん)

 

水槽の魚たち

 

続いて中島さんが向かったのは、珊瑚礁やエイを真上から見ることができるテーブル型の巨大水槽。

ガラスのふたをあげて、汚れを落としていきます。

小まめに汚れをとらないと茶色くなってしまうので毎日掃除しているという中島さん。

「違う視点で見てもらえる水槽なので、手間はかかるが頑張って展示できたらいい水槽になると思う」と話します。

 

掃除をする中島さん

 

開館まであと50分を切りました。

水槽のふたを閉めれば、掃除は完了ですが……中島さんの表情は曇ったまま。

実は、ガラスの表面の空気が抜けずに困っていました。

中島さんは「これ放っておいたら抜けると思うので、また後で来ます」と言って、ほかの場所の掃除に行ってしまいました。

 

空気が抜けないテーブル形の水槽

 

午前10時、水族館がオープン。

中島さんはというと……マスコット的存在、ミーアキャットにエサを与えていました。

ミーアキャットがエサに夢中になっている間に、中島さんは展示スペースの木を動かし始めました。

 

木を動かす中島さん

 

その理由について中島さんは「手探りで探したりするのが好きな動物なので、木の隙間にエサを隠したり、流木を入れ替えたりして、エサの時間が楽しくなるようにいろいろ運動させたりしながらあげています」と解説してくれました。

 

ミーアキャットのエサを木に隠す様子

 

そんなミーアキャットを近くで撮影しようと、中島さんにカメラを渡して撮影してもらいました。

最初は警戒していましたが、徐々に近づき、愛くるしい姿を見せてくれました。

「自分たちの群れを大事にする生き物なので、見ず知らずの人が入ってきたら警戒する。僕らもこの子たちの敵じゃないんだよというのはわかるように動き方は気をつけてやっています」(中島さん)

 

ミーアキャットを撮影する中島さん

 

時間とともに来場者が増えていく中、中島さんはバックヤードで人工海水を作っていました。

中島さんは「海の近くの水族館は海から供給していますが、ここはビルの中にあって海も離れているので塩を溶かして海水を作って維持している」といいます。

この水族館では1日に2~3tの海水を使うため、手の空いた飼育員が交代で毎日3~4回、人工海水を作っているそうです。

 

人工海水を作る様子

 

商業施設の中にできた都市型水族館。

海水の確保や水槽の掃除など維持するための苦労もありますが、それでも、「街中にあるので電車などですぐ来てもらって、いろいろ生物のことをもっともっと知ってもらえるきっかけ作りになればいいなと思ってます」と中島さんは話します。

 

広島もとまち水族館 中島さん

 

 

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー
地球派宣言コーナー(2025年12月17日放送)

SDGs

 

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