【北広島町】冬の八幡高原 越冬する冬鳥を探して|地球派宣言

広大な自然が残る北広島町の八幡高原(やわたこうげん)。

毎年この時期になると、多くの鳥が飛来してきます。

今回は、60年以上野鳥を観察しているNPO法人西中国山地自然史研究会の上野理事長に案内してもらいました。

上野理事長によると、八幡高原に飛来する冬鳥は、ほとんどがロシアで夏に子育てをしていますが、ロシアが寒くなってエサがとれなくなるため、日本にやってきて冬を過ごすのだそう。

中には貴重な野鳥もいると上野理事長は話します。

 

NPO法人西中国山地自然史研究会 上野理事長

 

双眼鏡を片手に探すこと約30分。

神社の横の木に野鳥を見つけました。

上野理事長によると「シメという広い意味ではカナリアの仲間で、ロシアから冬に日本に来て越冬するが、年によっては来ない年もある非常に数が少ない冬鳥」で、バラ科のカマツカの実を好んで食べるそうです。

 

シメ

 

さらに奥へと進んでいくと……

耕作放棄地の田んぼの中で野鳥を見つけました。

今度は「カシラダカ」という冬鳥です。

近年、激減していて国際自然保護連合が絶滅危惧種に指定しています。

上野理事長は「40~50年前から比べたら6分の1に数が減っていて、非常に貴重な鳥」といいます。

 

カシラダカ

 

今度は、湿地の中にあるため池へとやってきました。

ここではカンムリカイツブリがコガモと一緒にいました。

上野理事長によると、カンムリカイツブリは海にたくさんいて海の魚類を食べることが多いが、少数の鳥は内陸のダム湖に来て越冬するそうです。

 

カンムリカイツブリ

 

でも違う種類の鳥が一緒にいるのはなぜなのでしょうか。

上野理事長によると、1羽でいるよりも複数でいれば誰かが天敵を見つけてくれるので、種類が違っても集まるのだそう。

また、コガモは夜行性で、田んぼに降りて落ち葉を食べますが、カンムリカイツブリは潜って魚を食べるため、エサが違うので共存できるといいます。

 

コガモと一緒にいるカンムリカイツブリ

 

来た道を戻っていると、突然、上野理事長が双眼鏡を構えました。

本州では八幡高原でしか見ることができないというシラガホオジロがいたといいます。

懸命に探しましたが、この日は見つけることはできませんでした。

 

シラガホオジロ(写真提供:竹本雅則)

 

結局、シメやカシラダカなど7種類の野鳥をみることができましたが、なぜ、八幡高原に集まってくるのでしょうか。

上野理事長は「この地域が朝鮮半島経由で来るときの渡りのルートになっているのではないか」といいます。

また、「いろいろな種類の植物が多いのでエサが豊富で、ここでしっかりエサを食べてまたほかに移動して冬を越す」のだそうです。

 

NPO法人西中国山地自然史研究会 上野理事長

 

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー
地球派宣言コーナー(2025年12月3日放送)

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