絶滅危惧の希少なニホンリスが庄原市に出没 その理由とは?|地球派宣言
田んぼの水路から顔を出しているのは、小柄なリス。
長い尻尾を振りながら、あたりを見渡しています。
しばらくすると水路の中に隠れてしまいました。

動画が撮影されたのは、庄原市川北町。
田んぼで草刈りをしていた片桐智治さんが見つけました。
片桐さんは「見た目かわいかったので動画で撮っておこうと」スマートフォンを片手に動画の撮影をはじめました。
そっと近づいてみますが、逃げるそぶりは見せず、なんだかくつろいでいるようにも見えます。

片桐さんは「イタチにしては小さいしアナグマとも違うし、リスっぽいって言われたら、リスっぽかった」と話し、この動物が何なのかわからなかったといいます。
しばらくすると、リスは別の場所に移動。
時折顔を出して、様子をうかがっているように見えます。
片桐さんがさらに近づくと、姿を見せなくなりました。

このリスの正体は何なのでしょうか?
安佐動物公園の畑瀬淳専門員に動画をみてもらいました。
畑瀬専門員は「目のまわりに白いリングがあり、腕の付け根がオレンジ(色)に見えるのでニホンリスという日本在来のリス」といいます。

ニホンリスは、広島県のレッドデータブックで絶滅危惧Ⅰ類に指定されている希少なリスです。
過去には庄原市や福山市などで目撃されていましたが、住宅の近くで目撃されるのは珍しいそうです。
なぜ、現れたのでしょうか?
畑瀬専門員は「梅雨が早く明けたことと、35度という気温が連日続いたことで、飲み水がなくなり、水を飲みに下りてきたのではないか」と推察します。

人が生活している場所に現れた希少なニホンリス。
撮影した片桐さんによると、最近、動物と遭遇する機会が増えているといいます。
田んぼを荒らすイノシシのほか、数年前にはツキノワグマも自宅の裏庭に現れたのだそう。

畑瀬専門員は「人が整備している里山には動物があまり来なかったが、里山と山との境界線がだんだんあやふやになって、動物と出会う機会は増えていると思う」といいます。
ニホンリスが目撃されてから約2カ月。
希少な動物の出現は動物たちからのメッセージなのかもしれません。

広島ホームテレビ『ピタニュー』
地球派宣言コーナー(2025年8月13日放送)
