【神石高原町】真夏でも輝く「ホタル」|地球派宣言

暗闇で光る優美な光。
乱舞する姿は、イルミネーションのようにもみえます。

庄原市と神石高原町に位置する、国の名勝、帝釈峡。
その近くに、さまざまな種類のホタルが生息する場所があります。

地元、神石高原町観光協会の冨山 公明専務理事は「ここには陸に住んでいるホタルと水辺に住んでいるホタルがいて、種類も多いし、歩いて行ける場所で見ることができる」と話します。
案内してもらったのは、山あいのとある道路。
人通りもなく、街灯もない場所で日没を待つこと約1時間。
あたりがすっかり暗くなったその時、森の方でうっすらと点滅する光が見えてきました。
ヒメボタルです。

その輝き方から別名、金ボタルとも呼ばれるヒメボタル。
体が小さく、点滅のスピードも速いのが特徴です。
ヒメボタルは標高の高い山の中に生息していて、人が行けないところで光っているそうです。
冨山さんは「ヒメボタルの幼虫は巻き貝やカタツムリをエサとして捕食していて、この山の周辺にエサが豊富にあるので結果的にホタルの数が多くなった」といいます。

ヒメボタルがいた場所から少し歩いて行くと……
川の上を飛んでいるホタルを見つけました。
ゲンジボタルです。
一般的にゲンジボタルは6月に見られる場所が多いですが、標高が高いこの場所ではヒメボタルとゲンジボタルを同じ時期に見ることができるのです。

観察できる時間は日没からわずか2時間ほど。
この日、確認できたのは2種類のホタルと幼虫だけでしたが、多い時には8種類見ることができるそうです。
ただ、こちらのホタル、観光協会が行っているガイド付き観察会以外では見ることができません。

冨山さんによると、この場所がホタルの生息地として有名になるにつれて撮影する人も来るようになり、観察する人とカメラマンがケンカになったり、ゴミをそのまま残して帰ったりする人が多くなったそうです。

このままではホタルの生育が危ないのではないかということになり、ホタルの観察を観察会のみに制限しました。
観察会では撮影を禁止し、ホタルが人工的なにおいを嫌がるため香水をつけた人やお酒を飲んだ人などの参加を断っています。
冨山さんは「やはりホタル優先で考えた時に、将来にわたってキンボタルを見ることができる環境を作っていくのが私たちの役目」と話します。
人々を魅了する、はかない光。
守り続けるには、観察する側の思いやりも大切です。
広島ホームテレビ『ピタニュー』
地球派宣言コーナー(2025年7月9日放送)
