バスと電車と足で行くひろしま山日記 第88回サイオト周回縦走㊦(来尾峠~天狗石山~高杉山~小マキ山)(北広島町)

天狗石山

 

前回のコース前半(https://hread.home-tv.co.jp/post-506554/)では細かいアップダウンによりかなり足のスタミナを削られた。来尾峠の駐車場に座り込んで少し早めの昼食を取ってエネルギーを補給したが、あまり回復した実感がない。無理をせずこのまま車道を下って駐車場に戻ろうかとも思ったが、せっかくここまで来て中途半端に終わるのもつまらない。約20分の休憩を経て登山を再開した。

 

▼今回利用した交通機関
*サイオト集会所まで往復ともカーシェアを利用

 

 


きつい、きつい、きつい上り


最初こそ穏やかな道だったが、すぐに傾斜が急になる。標高800メートル付近から1050メートル付近までは、ほぼまっすぐ斜面を上る直登の道だ。あっという間に息が上がり、足も重さを増す。数十メートル歩いては斜面に腰を下ろして休み、また歩いては休み、を繰り返す。こんなにしんどい思いをするのは久しぶりだ。「あきらめて下山しようか」と何度も思ったほどだ。

 

天狗石山への道標

 

写真ではわかりにくいがきつい上りが続く天狗石山への道

 

それでもせっかくの久しぶりの広島の山登りだ。自分を励ましつつ足を運ぶ。

紫色のイカリソウに癒されながら、約1時間かけて何とか急登を上り切ると、見通しの良い尾根に出た。左前方に天狗石山(1191.9メートル)、右手に高杉山(1148.7メートル)が望める。ほどなく天狗石山と高杉山の分岐に出た。ここまで約1時間。かなり遅れたかと思ったが、ほぼコースタイム通り。自分だけしんどいのではないのだと、少しほっとした。

 

イカリソウ

 


二度目の天狗石山


分岐から天狗石山までは比較的歩きやすい緩やかな尾根道だ。約40分で山名の由来になったであろう巨岩の重なる山頂に着いた。

 

標高1060メートル付近から見た天狗石山

 

北側から見た高杉山

 

巨岩が重なる天狗石山の頂上付近。上部には展望テラス

 

実は天狗石山は二度目。第46回で紹介した阿佐山(https://hread.home-tv.co.jp/post-223221/)に行ったとき、北広島町大暮から上って阿佐山(東ドウゲン)-同形山(西ドウゲン)-三ツ石山-天狗石山と縦走した(2022年11月)。この時は山頂の展望テラスにアマチュア無線の愛好家がいらっしゃったが、この日はだれもいない。写真を押えて早々に引き返した。

 

天狗石山山頂から島根県方面を望む

 

分岐まで戻った。高杉山がやけに遠くに見えたので一瞬、下山が頭をかすめたが、ここまで来たら予定通り高杉山へ向かおう。高杉山に通じる縦走路は歩きやすい。この稜線上に「乳母御前(うばごぜん)神社」があったはずなのだが、見落としてしまった。分岐から約50分で高杉山の山頂に着いた。

 

高杉山へ向かう道。歩きやすい

 


スキー場の最高地点から下山へ


高杉山は西麓に広がるユートピアサイオトスキー場の最高地点だ。三角点を過ぎると一気に視界が開け、リフトの終点が現れる。スキー場のホームページ(https://www.saioto.co.jp/)によると、上級用のゲレンデ「メダリストコース」の起点だそうだ。ゲレンデの向こうには、才乙集落をはさんでこれまで歩いてきた中野冠山からノベリ山に通じる山々が眼下に広がる。景色はいいのだが、ものすごい強風が吹き、油断しているとバランスを崩しそうになる。ここでスキーをしたのは30年以上も前だっただろうか。

 

ユートピアサイオトスキー場の最高地点に立つ標識

 

高杉山から中野冠山方面を見下ろす

 

ここからは隣の小マキ山にかけて広がるゲレンデを下る。ゲレンデにはワラビがたくさん顔を出していた。

 

小マキ山に続く稜線上に広がるゲレンデ

 

ゲレンデにはワラビがたくさん顔を出していた

 

高杉山を振り返る

 

25分ほどで小マキ山(夫婦岩山、1042メートル)へ。ここもリフトの終点になっている。時刻は午後3時を回っている。後は下山するだけ。途中から林道の舗装道を経て約50分でサイオト集会所に帰り着いた。

 

小マキ山頂上付近のリフト

 

下山中に中野冠山の全景が見えた

 

上り下りとも累積標高差は約1300メートル、総歩行距離は14.2キロ。久しぶりの登山だったこともあり、なかなかハードな山行だった。

 

林道を下る

 

2025.5.10(土)取材 《掲載されている情報は取材当時の内容です。ご了承ください》

 

ライター えむ
50代後半になってから本格的に山登りを始めて5年ほど、中四国の低山を中心に日帰りの山歩きを楽しんでいます。できるだけ公共交通機関を利用しますが、やむを得ない場合に時々レンタカーを使うことも。安全のためトレッキングポールは必ず携行。年齢のわりに歩くのは速い方です。
■連載コラムバスと電車と足で行くひろしま山日記
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