【世羅町】コウノトリ3年連続で繁殖 巣塔の安全対策は?|地球派宣言

昨年、一昨年と世羅町へ飛来したコウノトリのペアにうれしい続報がありました。

 

世羅町のコウノトリ

 

「あれがコウノトリの巣です。今、2羽がつがいでいます。1羽が座って、交代で1日中卵を温めている状態です。

ですので、卵を生んで抱卵していることが言えます。3年連続巣作り、そして子育てへとむかっていくと行くと思います」とうれしそうに語るのは、世羅町文化財保護委員会副会長の中島秀也さんです。

 

世羅町文化財保護委員会 中島秀也副会長

 

抱卵するコウノトリのつがい

 

“幸せを運ぶ鳥”として知られるコウノトリ。

国指定の特別天然記念物で、一度野生では絶滅した貴重な鳥です。

世羅町の寺町では、2023年から2年続けてコウノトリの繁殖が確認されています。

 

今年1月、3年連続で飛来

 

そして今年も、1月に3年連続で同じペアのコウノトリが世羅町に帰ってきました。

早速、巣作りを始めたのですが、選んだ場所は町の主要道路沿いにある電柱でした。

「電線には6600ボルトの高圧線が流れている。コウノトリを(感電から)守り、停電や漏電の危険から(住民を)守るため、電線に作った(巣は)基本的に撤去して昨年作った人口巣塔へ誘導していくということをやってきました」と中島さん。

去年1月にコウノトリの感電死や、町が停電しないようにと町や地域住民が協力して、電柱とほぼ同じ15メートルほどの人口巣塔を設置しましたが、結局、人口巣塔に1回も枝を運んでくることはなかったそう。

 

電柱に営巣するコウノトリ

 

「電柱にこだわっていくこのペアのために、(人口巣塔を)電柱に似せていけば、コウノトリが少しは注目をしてくれて(巣の枝を)運んでくれるかも知れない。」と考え、先月1日、設置していた人口巣塔をさらに改良。

コウノトリ好みの電柱に装飾し、感電しない人口巣塔を2時間かけて完成させました。

中島さんに結果を聞いてみると、

「残念ながら……気に入ってくれませんでした。最後はここで(巣を作れば)なんとかなるかなという去年の記憶があるのだと思う。」とのこと。

「4月23日から作り始めて、あっと言う間に大きな巣になって、その二日後にはおそらく産卵したであろうと思われる。伏せて座って卵を温める行動を取り始めました」と中島さんは話します。

住民たちの思いをよそに、3年連続同じ電柱で巣を作り、繁殖をはじめたコウノトリのペア。

生まれてくるヒナのために丁寧に巣を整えながら、繁殖行動を繰り返し、2個、3個と卵を産み、家族を少しずつ増やしていきます。

 

電柱風の人口巣塔

 

そして、町と保全団体が連携し、巣の周辺に立ち入り自粛を促す看板を設置。

コウノトリが安心して繁殖できるよう、環境整備が進められています。

 

立ち入り禁止の看板

 

中島さんは、「みんなが幸せになれるように、どこにも迷惑がかからない人口巣塔へなんとか帰ってくるように、私たちもコウノトリになったつもりになって、がんばっていきたいと思っています」と、コウノトリと住民との共生を期待しています。

 

コウノトリとの共生を語る中島さん

 

 

 

 

広島ホームテレビ『ピタニュー
地球派宣言コーナー(2025年5月7日放送)

SDGs

 

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