バスと電車と足で行くひろしま山日記 第84回奥滝山・ロックガーデン(廿日市市)

奥滝山の山頂から厳島・宮島口方面を望む

 

12月に入り、一気に気温が下がってきた。中国山地からは雪の便りも聞かれる。こうなると、県北の山々に行くのはハードルが高い。広島市周辺でまだ行っていない山を探してみたら、あった。2022年10月に第40回廿日市中央アルプス(https://hread.home-tv.co.jp/post-203534/)を紹介した際に、バリエーションルートとしておおの自然観察の森(廿日市市)から帆柱山(530メートル)、中津岡山(530.3メートル)、ロックガーデン、奥滝山(550メートル)をめぐるコースがあることに触れていた。ただし、公共交通機関の利用が難しく、「マイカーがないと厳しい」と書いている。ならば、と最近街中でよく見るようになったカーシェアを利用して行ってみた。

 

▼今回のルート(※カーシェアを利用)

【行き】国道2号・宮島台団地南口→(団地内を経て中津岡川右岸を北上)→林道金角線→おおの自然観察の森駐車場

【帰り】おおの自然観察の森駐車場→(渡ノ瀬貯水池方面へ)→県道栗谷・大野線→(妹背の滝方面へ)→国道2号

 

 


カーシェアでおおの自然観察の森へ


自宅の近くにはタイムズ、エネオス、トヨタの3社のカーシェアステーションがある。利用日が日曜日とあって予約済みの車が多かったが、トヨタ(車はダイハツのタント)が空いていた。以前はレンタカーを使うこともあったが、駅前に多い営業所を往復したり、ガソリンを満タンにして返したりしなければならないのが面倒で足が遠のいていた。今回利用したカーシェアのステーションも自宅から徒歩5分の場所にあるのでありがたい。

国道2号から団地を抜けて山陽新幹線の高架横を南西へ。中津岡川右岸の1車線の林道を上りきったところが帆柱峠。ここがおおの自然観察の森の入り口だ。ここまで約1時間かかった。

 

おおの自然観察の森入り口

 


展望の帆柱山から眺望のない中津岡山へ


帆柱山の登山口は駐車場からすぐ。いきなり急登の道に驚かされたが、すぐに傾斜が緩み、歩きやすい上りになる。道沿いに赤い実をつけたミヤマシキミが生えている。緑の葉とのコントラストが鮮やかで、近くにはヒイラギもあってクリスマスらしい雰囲気だ。

 

急登から始まる帆柱山の登山口

 

クリスマスカラーのミヤマシキミ

 

歩きやすい登山道

 

20分ほどで帆柱山の山頂に。少し東側に足を伸ばすと厳島と大野瀬戸が望める。

 

登山口から約20分で最初のピーク・帆柱山に到着

 

帆柱山の山頂の少し先から厳島と大野瀬戸が望めた

 

帆柱山から次のピークの中津岡山へ向かう。今度は急坂の下りだ。木々が落とした枯れ葉が道を覆っており、滑る、滑る。転倒しないよう、慎重に歩を進める。標高差約100メートルを下り、中津岡山への上りに転じる。標高480メートル付近まで上ると視界が開け、さっき登った帆柱山、その向こうにおむすび岩のある稜線が見えた。

 

枯れ葉に覆われて滑る下り道

 

帆柱山(右)。後方はおむすび岩のある稜線

 

中津岡山の頂上は樹林に囲まれていて展望はない。「陸軍」の文字が読み取れる石柱を後に、本日のメインとなる奥滝山・ロックガーデンを目指す。

 

眺望ゼロの中津岡山

 

中津岡山にあった古い石柱。「陸軍」の文字が読み取れた

 


廿日市20名山へ


雲が厚くなり、風が強まってきた。小さな雪が舞い、顔を打つ。アップダウンは少なく、よく整備された縦走路なので歩きやすいのだが、天候の先行きが心配になる。約20分で大岩の下に取り付き、脇を抜けると奥滝山の山頂だ。「廿日市20名山 奥滝山」の看板が立てられている。厳島・広島市方面の眺望は抜群だ。

 

奥滝山頂上直下の巨岩

 

廿日市20名山の奥滝山山頂

 

「廿日市20名山」は「一般社団法人はつかいち観光協会」内にある廿日市20名山の会が制定したもので、HPによると、10座登頂で缶バッチ、20座完登で缶バッチと賞状がもらえるそうだ。振り返ってみると、これまでに吉和冠山や厳島・弥山、極楽寺山、経小屋山、大峯山など今回を含めて12座に登っている。同行者・確認者で認定するそうだが、ソロ登山者はどうなるのだろう。今度問い合わせてみよう。

 


広島のロックガーデンは…岩壁


続いてロックガーデンへ。ロックガーデンといえば、2022年6月の遠征編で紹介した兵庫県の六甲山(https://hread.home-tv.co.jp/post-166096/)が有名だ。朝日新聞記者で登山家だった藤木九三氏(1887-1970)が命名した岩場で、花崗岩の岩稜をよじ登る人気の登山コースにもなっている。ここ広島のロックガーデンは幅数十メートル、高さ十数メートルあろうかという巨大な岩壁だ。

 

ロックガーデンの巨大な岩壁

 

こちらは岩の上から見る北西側の渡ノ瀬貯水池や傘山方面の眺めがすばらしい。大峯山や羅漢山方面は雪雲に覆われ、山肌は白くなっている。ランチにはもってこいのロケーションだが、風や雪が強くてとても立っていられない。奥滝山の山頂に回ると風が少し和らいだので、こちらで湯を沸かしてカレーヌードルの昼食にした。寒い山での温かいインスタント麺のおいしさは格別だ。

 

ロックガーデンから北西方向を見る。遠方の山肌は雪に覆われていた

 

風を避けて奥滝山で昼食。右後方は厳島

 

帰りは帆柱山方面との分岐を左に下りて林道へ。舗装路を約20分上って駐車場に戻った。

総歩行距離は6.3キロ、行動時間(休憩時間を含む)は3時間29分だった。

 

奥滝山登山口に下山

 

2024.12.12(日)取材 《掲載されている情報は取材当時の内容です。ご了承ください》

 

ライター えむ
50代後半になってから本格的に山登りを始めて5年ほど、中四国の低山を中心に日帰りの山歩きを楽しんでいます。できるだけ公共交通機関を利用しますが、やむを得ない場合に時々レンタカーを使うことも。安全のためトレッキングポールは必ず携行。年齢のわりに歩くのは速い方です。
■連載コラムバスと電車と足で行くひろしま山日記
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