広島の地域観光業(インバウンド)と言語学習

 

豊かな歴史と文化、そして平和を象徴する都市として多くの観光客を魅了している広島。国内だけではなく、海外の観光客からも注目を集めています。

インバウンド観光地としてさらに発展していくために切り離せないのが、「言語の壁」。

本記事では、広島のインバウンド観光と言語学習に焦点を当て、両者の相乗効果がもたらす地域経済活性化の可能性について探ります。

 

広島のインバウンド観光の現状と言語バリアの課題

広島の観光資源と魅力

世界遺産である原爆ドームと平和記念公園は、平和への願いを伝える重要な場所として多くの人々を引き付けています。また、厳島神社がある宮島は、海に浮かぶ大鳥居と美しい景観で知られ、国内外から観光客が訪れる人気のスポットです。

また、広島の食文化も大きな魅力のひとつで、お好み焼きや牡蠣、もみじ饅頭など地元の味覚を楽しめます。さらに、市内を走る路面電車はレトロな雰囲気と便利さを兼ね備え、観光客にも人気があります。周辺には、瀬戸内海の島々や中国山地など自然豊かな観光スポットも点在しているので、多様な観光資源が訪れる人を惹きつけていると言えるでしょう。

 

インバウンド観光の統計データ

広島県の訪日外国人旅行者数は、2013年に初めて 6,000 万人を突破した後、2017年まで6年連続で過去最高を更新。順調に推移していましたが、2018年は西日本豪雨災害等の影響により、前年を 6.9%下回りました。

翌年は回復に転じたものの、新型コロナウイルス感染症の世界的拡大による影響を受けた2020年以降は大幅に減少。2022年は、外出制限要請のない大型連休や、県・市町による観光キャンペーン等により3年ぶりに前年を上回りました。『参考:Ⅱ 調査結果の概要 (dive-hiroshima.com)』

 

引用:Ⅱ 調査結果の概要 (dive-hiroshima.com)

ポストコロナ時代の旅行トレンドや環境に配慮した、持続可能な観光の在り方についても議論がされ、さらなる観光客増加を目指す取り組みが続いています。

 

言語の壁がもたらす課題

インバウンド観光の拡大に伴い、言語の壁がもたらす課題が顕在化しています。多言語対応の案内表示や観光パンフレットの整備は進んでいますが、日常的な会話や緊急時の対応には依然として課題が残っている状況。特に、地方の観光地では英語以外の言語対応が不十分な場合も多く、観光客の不安や不便を招いてしまうこともあります。

言語の壁を克服するためには、AIを活用した翻訳ツールの導入や、多言語対応可能なスタッフの育成が急務です。言語の壁は、単なるコミュニケーションだけの問題ではなく、地域の国際化や観光産業の発展にも関わる重要な課題と言えるでしょう。

 

言語学習がインバウンド観光にもたらす効果

 

観光客の満足度向上と長期滞在の促進

言語学習は、観光客の満足度向上と長期滞在の促進につながります。言語コミュニケーションが円滑になることで、観光客の不安やストレスが軽減され、地元の文化や生活により深く触れることも可能に。その結果、観光体験も充実し、訪問者の満足度も向上することが期待されます。

さらに、現地の情報を理解しやすくなることで、観光客は多様なアクティビティに参加しやすくなるので、滞在期間が延びる傾向にあります。満足度の高い体験は、再訪の意欲を高めるだけでなく、口コミやSNSを通じて広島の魅力を発信することにもつながるでしょう。

 

地域住民の国際理解の促進とホスピタリティの向上

地域住民の言語学習は、国際理解の促進とホスピタリティの向上に大いに役立ちます。地域住民が外国語を学ぶことで、異文化への理解が深まり、外国人観光客との交流が円滑になるからです。さらに、言語学習を通じて得られるスキルは、住民の職業機会の拡大などの地域経済の活性化につながることも。地域住民の国際理解とホスピタリティの向上は、広島のインバウンド観光の発展に不可欠な要素と言えるでしょう。

 

リピーター増加と口コミによる観光客誘致

言語学習の推進は、リピーターの増加と口コミによる観光客誘致に大きな効果をもたらします。外国人観光客が、現地で言語の壁を感じずに快適に過ごせることで観光体験の質が向上し、もう一度訪れたいという気持ちが高まるからです。特に、観光スポットや飲食店でのスムーズなコミュニケーションは、観光客の満足度を大きく左右するでしょう。

さらに、満足度が高いと感じると、観光客は自身の体験をSNSや旅行サイトでポジティブな口コミをシェアしてくれます。この口コミ効果が、新たな観光客を呼び込む強力な手段となることも。リピーターが増えることで観光地は安定した集客が可能になり、地域経済も持続的に成長できると言えるでしょう。

 

広島における言語学習支援の取り組みと可能性

 

観光業従事者向け語学研修プログラムの充実

観光業従事者向けの語学研修プログラムは、インバウンド観光の質を高める鍵となります。観光業の最前線で働くホテルスタッフや飲食店従業員、タクシー運転手などが効果的な語学スキルを身に付けることで、外国人観光客への対応が格段に向上するでしょう。

実践的な会話スキルを習得することで、観光客の要望や質問に迅速かつ適切に応えられるようになり、従業員の自信やモチベーション、サービスの質を向上することが期待できます。こうした取り組みは、観光業全体の競争力を高め、広島のインバウンド観光の持続的な発展につながると言えるでしょう。

 

インバウンド観光客向け体験型日本語学習サービス

広島では、インバウンド観光客向けに充実した観光体験を提供してきました。特に、観光客が楽しみながら日本語を学べる、地元の文化体験と組み合わせたプログラムが好評。

例えば、お好み焼き作りや茶道、折り紙などの体験を通じて、日常会話や基本的なフレーズを習得できます。単なる観光ではなく、ここでしか経験できない貴重な思い出は、観光客の満足度向上や再訪意欲の向上に直結するでしょう。

 

地域住民の外国語学習機会の拡大

広島のインバウンド観光の質を向上させるための重要な要素のひとつが、地域住民の外国語学習機会を拡大すること。地域の国際交流イベントや外国人観光客との交流会を定期的に開催することで、住民は実践的な外国語スキルを身に付けることができます。

外国語学習を通じて国際理解が深まることで、地域のグローバル意識が高まり、観光地としての受け入れ体制が強化されます。

 

オンライン英会話サービスの活用と地域の国際化

インバウンド観光の発展に伴い、広島の地域住民にとっても外国語学習の重要性が高まっています。しかし、忙しい日常の中で語学学校に通うことが難しい方も多いでしょう。そこで、オンライン英会話サービスなどの活用が注目されています。PreplyやDMM英会話、ネイティブキャンプなどをはじめとしたオンライン英会話では、いつでもどこでも気軽に学習を始めることができ、スマートフォンやタブレットを使って、休憩時間などのスキマ時間にもレッスンを受けることができます。

マンツーマンのレッスンでは、実際の接客シーンを想定した実践的な会話などの練習も可能です。また、趣味や日常生活に関連したトピックで会話力を磨くこともできます。このようなオンライン学習ツールの活用することによって、広島全体の語学力向上と国際化が促進されることが期待されます。地域住民が気軽に外国語を学び、その結果インバウンド観光客へのおもてなしの質が向上し、広島の魅力を世界に発信する機会を増やせるでしょう。

 

言語学習を通じた地域経済への波及効果と未来展望

 

広島の成功事例と今後の展望

広島市では、国際化推進の一環として様々な取り組みを行ってきました。例えば、観光客向けの総合情報サイト「ひろしま公式観光サイト Dive!Hiroshima」を運営し、多言語で広島の観光情報を提供しています。このサイトは、観光スポットの紹介だけでなく、交通情報や緊急時の対応についての方法も発信しているので、言語の壁を越えた情報提供が好評となっています。

また、最近注目を集めているのが、ガイドブックアプリ「ekinote」。駅と街のガイドブックとして日本全国すべての鉄道駅と周辺の街の魅力をガイドする無料アプリです。広島県内での利用者数は、都道府県別平均の約3倍で全国トップレベル。必要な情報がひとつにまとまっているので、訪れたい駅を呼び出し、観光からグルメ、買い物、交通などの情報をekinoteアプリひとつでチェックできます。さらに、ekinoteのもうひとつの魅力は、自分がオススメしたい駅と街の魅力を投稿できることです。まさに、みんなで育てるアプリで、リアルな声で街の魅力を伝えていくツールとなっています。

 

まとめ

広島のインバウンド観光と言語学習の相乗効果は、単なる観光客数の増加にとどまらず、地域全体の国際化と経済活性化をもたらす可能性を秘めています。言語の壁を越えたコミュニケーションの実現は、広島の魅力を世界に発信し、持続可能な観光立県としての地位を確立する鍵となるでしょう。真のグローバル都市として、更なる発展をとげる広島の取り組みに、今後も注目です。

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