書道筆は洗えない?置き勉はダメ?学校に存在する“謎ルール”について考えた
学校に存在する“謎ルール”。
「これって本当に必要?」と思うような学校のルールについて、考えました。
【謎ルール①なぜ書道筆を学校で洗えない?】
書道の授業で使った筆を、学校で洗ってはいけないというルールが存在します。
筆を使った後にすぐ洗った方が良さそうですが、この謎ルールに迫るため、広島が誇る“筆の里”・熊野町にある熊野第一小学校を訪ねました。
熊野第一小学校では1年生から書道の授業に取り組んでいます
学校で筆を洗ってはいけない理由を、水戸 美穂子校長が答えてくれました。
「1番の理由は、45分の授業の中で、子ども達に集中して字を書かせたい。だけど、習字の道具をそろえたり、片付けるのには時間が必要。筆を洗うとなると、洗い場に人数が集まって待ち時間がでてくる。授業時間の確保が目的です」
このルールは広島県の学校で決まっているものではなく、それぞれの学校の状況に応じて違うそうです。
書道筆を学校で洗えないルールの解説
【謎ルール②なぜ置き勉禁止?】
学校に教科書や勉強道具を置いて帰ることを指す「置き勉」。
SNS上には、
「ランドセル重すぎ。11歳なのに肩こり」
など、置き勉ができないが故の悲痛な声が。
SNS上に寄せられたコメント
置き勉が禁止されていた中、生徒自らが行動しルールを変えた実例があります。
2017年に牛田中学校の生徒が制作した動画(牛田中学校ホームページより)
広島市にある牛田中学校では、2017年に置き勉を考える動画を生徒自らが制作。
荷物の重さや教科書の大きさなどから、置き勉について考える動画になっています
あらゆる視点から置き勉を検証。
自分たちで、なぜ荷物が増えるのかを考え、生徒や保護者に置き勉についての意見を求め、
先生たちとも話し合い、解消の糸口を探っていく内容になっています。
こうした取り組みがきっかけとなり、牛田中学校では置き勉が認められるようになりました。
【置き勉はなぜダメなのか?重すぎる荷物の弊害】
置き勉の現状(低学年)※フットマーク株式会社調べ(2022年)
牛田中学校のような実例があるものの、まだまだ置き勉を禁止している学校が多いのが現状です。なぜ今でも置き勉禁止の学校が多いのでしょうか。
小学生のランドセルの重さに関する調査を行っている、大正大学の白土 健教授に話を聞きました。
「各自治体の教育委員会の判断で、復習や家庭学習をするため、あえて(置き勉を)奨励していない地域もある」
さらに、盗難や紛失防止などの観点から、教育委員会が推奨していない自治体もあるそうです。
通学時にランドセルが重いと感じる? ※フットマーク株式会社調べ(2022年)
しかし、昔と比べ教科書の種類が増え、サイズも大きくなっているため、重い荷物を背負って子ども達は登校しています。
重すぎるランドセルは子ども達の体にどう影響するのか、整形外科医の芝 成二郎さんに話を聞きました。
「徒歩通学の平均時間は20~30分だと思いますが、その間、重量物を背負うと首から肩、背中にはかなりの負担がかかります。
起こりうる症状としては、首、肩、背中の痛みや『リュックサック麻痺』と呼ばれる肩甲骨周囲の麻痺などが考えられます」
リュックサック麻痺
こうした症状が常態化すると、重心が後方に移動して、猫背や前傾姿勢になってしまい、長時間座ることが難しく学習にも悪影響を及ぼすと、芝医師は指摘します。
白土教授は、学校の授業と家庭学習の在り方を変えることで、こうした問題を解消する糸口になるのではないかと話します。
牛田中学校の実例は子どもたち発信の改革でしたが、本来は、我々大人が、子供たちが学習しやすい環境づくりのために、議論を重ね、ルールを随時見直していく必要があるのではないでしょうか。
広島ホームテレビ『ピタニュー』(2024年3月6日放送)
ライター:神原知里