育児の相談、誰にする?「共感」が必要不可欠な育児について考えた
育児の悩み、誰かに相談できていますか?
育児の悩みを相談できない原因を専門家と共に考えます。また、「共感」を生む育児漫画を手掛ける人気イラストレーターさんに、その魅力を取材しました。
【子育ての悩みを相談できない、その原因とは】
日本トレンドリサーチと青山ラジュボークリニックによる育児の悩みに関する調査結果
「育児で悩んだ時、もっとも相談した相手は誰か?」という質問に対し、
「育児の相談を誰にもしていない」と回答した人が3割以上という調査結果が。
子育ての悩みを人に相談できないのは、「心理的安全性」が確保されていないからと、脳科学者の黒川伊保子さんは話します。
心理的安全性とは
心理的安全性が確保されていないと相談するのが怖くなり、誰にも相談しなくなってしまうそうです。では、どうやって「心理的安全性」を確保すれば良いのでしょうか。
「素直に出てきた(相手の)言葉を受け止めるときの第一声を共感か労いで受け止めるんです」
と黒川さん。
例えば、「最近子どもの夜泣きがひどくて全然寝ない。辛い」と相談されたら、
「分かる!うちも本当に大変だったの」というように、相手に共感をすることが心理的安全性の確保につながります。
心が無防備な状態で言った一言を、いきなり否定で返すと素直に言葉が出せない状態を作ってしまう
特に、子育て中の人にとってはこの「共感」が必要不可欠なんだそう。
「介護、子育て、家事のような仕事は共感型の(脳の)回路でまわしていくんです。子育て中は特に一生の中でも一番(共感型の回路を)強く使っているとき。
この回路を使っていると、人の第一声が『共感』で返ってこないと、自己肯定感が下がってしまうんです」
共感型の回路
自己肯定感が下がってしまうと、自分を見失い、産後うつのような状態に陥ってしまうこともあるそう。
「子育てをしている人にとって、周囲の共感や労いは必須であると覚えていてほしい」
と、黒川さんは訴えます。
心理的安全性を確保するには
【共感が詰まっている育児漫画の魅力】
育児には共感が大切だということが分かりましたが、身近に共感を得られると「育児漫画」が今人気を集めています。
SNSに育児漫画を投稿している人気のイラストレーターさんが東広島市にいらっしゃると聞き、取材をしました。
モチダ ちひろさん
取材をさせていただいたのは「モチダ ちひろ」さん。2人のお子さんの育児にまつわるエピソードを漫画で投稿しています。
©モチダちひろ モチダさんの漫画。くすっと笑える育児エピソードが好評
元々は、夫との新婚漫画を描いていたと話すモチダさん。その流れで「新しいメンバー増えたよ」ということで、こうした育児漫画が誕生したんだとか。
「漫画をSNSにアップしようと始めた理由のひとつが、新婚当時、夫とよくけんかをしていたんです。楽しかったときのことだけをSNSにアップして、けんかをしたときに見直して、良いことを思い出すために始めたんです」
辛いことは描かない・明るい気持ちになれるエピソードだけ描くのがモチダさん流
「いろいろありますよね」と、先程の“共感で返す”を実践する吉弘翔アナウンサー
育児漫画をSNSにアップすると、
「うちもです!」、「あるあるですよね」
と共感や前向きなコメントが寄せられるようになり、
子どもがかんしゃくを起こしても「漫画にして笑いに変えよう」と思えるようになったとモチダさんは話します。
「私だけじゃない、ひとりじゃない」と思えることが力になるよう
前向きに子育てに取り組むためには、周囲の「共感」が必要不可欠。
育児漫画はその一端を担っているのかもしれません。
モチダさんの「SNSで育児漫画」の心得
広島ホームテレビ『ピタニュー』(2024年2月21日放送)
ライター:神原知里