値上げが止まらない!社会保険料について考えた
分かるようで分からない?社会保険料について徹底解説。給与から天引きされているものの、何に使われているかが分からないという人も多いのではないでしょうか。
そんな社会保険料の将来像について考えました。
社会保険料の用途
【国民の負担増が止まらない】
年収400万円の負担・手取りはどう変わったか(本人負担分)
実は、社会保険料はずっと上がり続けています。その結果、30年程前と比べると手取りは約27万円も減っているんです。
「働いても苦しい」と感じている国民も多いのではないでしょうか。
国民負担率の推移(財務省統計)
国民負担率は1975年から右肩上がりで、現在は所得の46.8%。
国民の限界が近づいていると考えます。
【現在の社会保険料に対して物申す】
こうした現状に疑問を抱いている、社会起業家で株式会社Ridilover(リディラバ)の代表である安部敏樹さんに話を聞きました。
「社会保障の関係費用というのは、勝手に厚労省側で毎年毎年ちょっとずつ上げていってるというのがあって。本当はみんなでオープンに議論しないといけないと思う。社会保障の費用っていうのはどういう支えの仕方にしていくんですかって」
社会課題の早期解決にチャレンジする事業を展開する、リディラバの安部さん
安部さんは、社会保険料は下げ、少子化対策予算ももっとかけるべきだと訴えます。
「社会保険料って、現役世代の実際の可処分所得にすごい強く影響が及ぼされるので、ここの部分のところをちゃんとメスを入れなきゃいけない。ある程度所得が増えないと結婚もしないし、子どもも生まないというのはわかっていますから、その人たちの給料が上がるのがいい。
少子化対策も、予算3兆円つけますと政府が今頑張っているわけですけど、それ以上の金額を若い世代に使われて初めて、少子化対策とか次世代の投資がちゃんとされてるっていうふうに言える状況なんだと思うんですね」
安部さんはこの他にも、
「年金受給開始年齢を今の寿命を考慮して後ろ倒しにしたり、医療費も全員3割負担にするというのも良いんじゃないか」
と、話します。
「次世代にツケを残さないように」と話す安部さん
【現役世代の負担減と、安心して年齢を重ねることができる社会にするために】
値上がりし続けている社会保険料。しかし、無計画に上がったわけではないと、ファイナンシャルプランナーの波多間 純子さんは話します。
2004年に年金制度改革が導入され、厚生年金保険料の上限を18.3%で固定。現役世代の負担に上限を設ける形になっているそう。
マクロ経済スライド
また、子育て世代の所得向上のために児童手当の拡充や出産一時金の値上げなどの施策が決定・実行されています。
若い世代の所得向上のための施策
一方、高齢者の社会保険料の負担割合を増加し、現役世代の負担を軽減していこうという流れもあります。
高齢者の負担割合の変更
とはいえ、現役世代もいずれは高齢者となります。
負担を押し付け合う形ではなく、政治における“お金の無駄遣い”をまずは見直し、安心して働き年齢を重ねることができる社会にしていくことを、国民一人一人が議論し考えなければならないのではないでしょうか。
広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年11月14日放送)
ライター:神原知里