【自治体ガチャ!?】 子育て支援の地域格差や新たな子育て支援について考えた
自治体ではさまざまな子育て支援が行われている一方、“自治体ガチャ”と揶揄されるほど広がっている子育て支援の格差。
子育て支援の地域格差や、自治体の新たな子育て支援について取材しました。
子育て環境に地域間の格差があると思う?(出典:「トラストバンク地域創生ラボ」第6回調査)
【尾道市の新たな子育て支援】
広島県内のこども医療費(通院)の現状
広島県内の子どもの医療費だけを見ても、格差があることが分かります。
「こうした格差を国がならしてくれれば…。」
という声もあるそう。
こうした状況の中、新たな子育て支援を始めた尾道市に取材をしました。
尾道市で始まった「おむつ定期便」
今月から始まった「おむつ定期便」。
生後2ヵ月~満1歳までの子(※2023年4月1日以降に生まれた子が対象)がいる家庭に、おむつなど5種類44点から1つを毎月1回無償で配達しています。
配達員は、市の研修を受けた子育て経験が豊富な現役ママ。育児や体調の不安といった悩みを相談することもできます。
「気軽に話してもらえるよう雰囲気作りには気をつけている」と話す配達員さん
「おむつはお金がかかるので、ありがたい」
「買い物に行くのも大変なので嬉しい」
と、尾道市のママたちから好評なサービス。
子育て中の家庭と定期的な関わりを持ち、子育ての不安に寄り添うこともできる支援です。
【共働き家庭が子育てしやすい街は?】
共働き家庭が子育てしやすい街はどこなのか?
日経xwoman(クロスウーマン)の「共働き子育てしやすい街ランキング2022」で見事1位に輝いたのは東京都の豊島区。
共働き子育てしやすい街ランキング2022(出典:日経xwoman「自治体の子育て支援制度に関する調査」)
1位に選ばれた豊島区は、待機児童ゼロで保育園に入れやすい、18歳まで医療費無償(所得制限なし)など、子育てしやすい政策に力を入れていることが分かります。
豊島区の政策
【子育て支援に地域格差が生まれる理由とは?】
子育て支援にこうした地域格差が生まれてしまうのはなぜなのか。
子育て支援や教育政策などの経済分析を専門としている山口慎太郎教授に話を聞きました。
「国が行う子育て政策は最低限のレベルを担保することに留まらざるをえない。また、地域によって必要とされる支援が違う。その地域の必要とされる支援を自治体ごとに行うことで差が生まれる」
と話します。
山口教授が考える子育て支援の格差理由
子どもの医療費や保育料など、地域によってバラつきのある支援を、国が統一して行うことはできないのでしょうか。
「子育て支援を増やしていこうとすると、既にある支出を減らす必要がある」
例えば、子育て支援を充実させた明石市の場合、インフラに対する投資を抑えたため、今後社会生活で困る懸念もあげられているそう。
長期的な評価はまだ分からないとしつつも、人口流出を防ぐなど短期的な成果としては有効な明石市の政策
「子育て支援は次世代への投資」と話す山口教授。
国も自治体も長期的なビジョンを持って、未来のためのお金のかけ方を考える必要があるのではないでしょうか。
広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年10月11日放送)
ライター:神原知里