【10年で2倍】増え続ける不登校と学びの多様化について考えた

「学校に行きたくない」

自分の子どもが言ってきたらあなたはどうしますか?

我が子が不登校になったとき、親はどうすれば良いのか。

不登校に対する行政の取り組みや、学校で広がる学びの多様化について考えました。

 

「学校に行きたくない」そのとき、親はどうするか

文科省が発表した最新のデータ(記事公開時点)によると、日本の不登校児童生徒数は小学校と中学校の合計で29万人を超えています。

10年で約2倍になっているんです。

 

不登校児童生徒数(出典:文部科学省)

 

不登校の増加率は小学生が高く、中学入学後に急増する

 

子どもが「学校に行きたくない」と言ってきたら、親はどうすれば良いのか。

不登校に悩む親のカウンセリングを行い、自身も不登校の子を持つ母親である鳥丸由美子さんに話を聞きました。

 

「行きたくないという子どもの気持ちを受け止めて否定をしない。無理やり学校に行かせようとしないということが大切」

不登校には大きく分けて3つのステージがあり、

心身を休ませる「休養期」、好きなことはできるようになる「充電期」、そして、本人から意欲がわき始める「回復期」。

この期間を過ごすためには、家庭環境を整えることが大切だと鳥丸さんは語ります。

 

不登校のステージ

 

「学校に行きたくないというとき、子どもは頑張って疲れ果てている状態。家で休んでいる子どもに対して、親はモヤモヤすることもあると思うけど、見守ることが大切」

 

鳥丸さんが話す「学校に行きたくない」に対する親の対応

 

不登校の前駆症状として伴う身体症状

 

文部科学省の不登校対策

今年3月、文部科学省は「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策COCOLOプラン」を発表しました。

文部科学省が発表した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策COCOLOプラン」

 

この文部科学省の取り組みについて、専門家はどう思っているのか。

『不登校でも学べる』の著者であり、教育ジャーナリストのおおたとしまささんに話を聞きました。

 

「ここ数年、文科省も力を入れてやっている印象で期待をしている。学校の枠組みを少しゆるくするだけで学校に通える子はたくさんいる」

ただ、こうした柔軟に学ぶことができる「学びの多様化学校(不登校特例校)」は、教員が生徒一人一人に目を配り、ものすごいエネルギーをかけているんだとか。

 

「こうした環境を整えるためには、やはり教員の働き方を考える必要がある。教員の多忙化に対する手当も必要になってくるのでは」

 

不登校でも学べる場が増えていると話すおおたさん。時代の流れと共に、学校の在り方も変わる必要性があると言います。

 

「これからは最低限学ぶべきことを共通理解したうえで、あとは、個人が興味のあることを学ぶというのが理想では。学びの多様化、学びの自由化。それが実現すれば、不登校という言葉も不必要になるんだと思います」

 

広島県の不登校対策

広島県でも不登校対策を行っています。中でも、「スペシャルサポートルーム」の設置は広島県が全国に先駆けて始めました。

 

広島県の不登校対策

 

このスペシャルサポートルーム(以下SSR)を設置している廿日市市立四季が丘中学校を取材しました。

 

個別活動と集団活動をする2部屋を活用し生徒をサポート

 

生徒自身が過ごし方を決め、自主性を尊重。SSR専属教員が支援を行います。

SSRは、教室復帰を望まない子どもには教室復帰を前提とせず、将来の自立を目指した取り組みを行っています。

 

SSRの目標

 

SSR専属教員は「SSRは生徒の成長の様子がよく見える。自分は教員になって四半世紀以上が過ぎようとしていますが、SSRは私にとってまた新たな学びの場となっています」と話します。

生徒にとっても、教員にとっても、新しい形の学びが始まっています。

 

広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年10月4日放送)

ライター:神原知里

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