老後資金貯めすぎてる?老後に必要なお金を考えてみる

「老後2,000万円問題」が話題となり、漠然と老後資金を貯めている人も多いのではないでしょうか。

しかし、その老後資金を貯めすぎて、目の前の楽しみを逃していませんか?

家計相談歴30年、「心が軽くなるお金の魔法」がモットーのファイナンシャルプランナー、波多間 純子さんと老後資金について考えてみました。

 

【老後資金を貯めすぎている可能性】

総務省が発表した「貯蓄―負債の残高(2人以上の世帯)」を見ると、60代から70代以降にかけて、貯蓄額が増えていることが分かります。

 

貯蓄―負債の残高(2人以上の世帯)(2022年 総務省データ)

 

また、「親からの相続財産総額(広島県)」を見ると、中央値でも2,900万円。

資産の半分は実家などの不動産、もう半分は預貯金であることが多いと波多間さんは話します。

 

親からの相続財産総額(広島県)(2021年・MUFG資産形成研究所の調査)

 

気になるのが、相続した現預金の使い方。約7割が預貯金にして使わないという結果に。

 

親から相続した現預金の使途(広島県)(2021年・MUFG資産形成研究所の調査)

 

【老後資金を使い切れ・話題のベストセラーをご紹介】

こうした中、生きているうちに資産を使い切ることに焦点を当てた本が、話題となっています。

ビル・パーキンス著の『DIE WITH ZERO』です。

この本を出版した背景について、ダイヤモンド社 書籍編集局の畑下 裕貴さんに話を聞きました。

 

『DIE WITH ZERO』著者:ビル・パーキンス 日本語訳:児玉 修 発行:ダイヤモンド社(1,870円)

 

「この本の翻訳を企画した際に、『老後2,000万円問題』が話題になっていたタイミングで。『お金と人生』に対してニーズがあったことと、日本では貯金が素晴らしいという意識が根付いている中で、本書のメッセージである『お金を使い切れ』というコンセプトが深く刺さると考えました」

 

【老後資金について、広島の街の声は…】

老後資金についてどのように考えているのか、広島の街で話を聞いてみました。

 

老後に対する不安はありますか?という質問に対して、

「あります。介護や施設に入るにはお金がたくさんいるだろうなと思います」

「不安だらけです。病気したりとかすると、やっぱりお金がいるから」

と、不安を感じていると回答する人がほとんど。

なかでも、

「老後資金をどれくらい貯めればいいか分からない」

という声が多く、貯める金額が分からないことが不安にもつながっているようでした。

 

【老後資金についてまず考えること】

老後資金はどのくらい貯めれば良いのか。

波多間さん曰く、老後不安の主なものである医療費や介護費がどのくらい必要なのかを知ることが、老後資金について考える第一歩になるんだとか。

 

75歳以上の医療費 1カ月の自己負担限度額(一般)(広島県後期高齢者医療広域連合より出典)

 

公的介護保険 自己負担限度額(1カ月あたり・1割負担の場合)※金額は四捨五入

 

施設に入る場合、特別養護老人ホームを利用するのか、民間の有料老人ホームを利用するのかで必要な金額は異なりますが、おおよその金額を把握しておくことが大切です。

 

特別養護老人ホーム 1カ月自己負担の目安(広島市のホームページより波多間さんが試算)

 

漠然とした老後不安を解消するためにも、自分にとって必要な老後資金について考えてみてはいかがでしょうか。

 

広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年6月13日放送)

ライター:神原知里

 

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