兵庫県・岡山県をまたぐ、星と歴史のロマン旅!姫路、佐用から津山、奈義へ
兵庫県と岡山県は瀬戸内海に接していながら、海から少し離れた内陸部にも魅力的なスポットがたくさんあります。そこで、今回は兵庫県姫路市から岡山県奈義町まで、両県の内陸をまたぐアートな旅をご提案します。おすすめの行程の前に姫路城を、後には蒜山高原を加えてさらに盛りだくさんの兵庫・岡山プランにするのもいいですね。
【スポット 1】洲濱神社(兵庫県姫路市)
旅の始まりは、姫路市随一のパワースポット『洲濱(すはま)神社』から。
江戸時代初めに灌漑用のため池『西池』を築いた際、池の真ん中に、浜辺の入り込みをデザインした島を作って、市杵島姫神(イチキシマヒメカミ)を祀ったと伝わります。
水の女神へのお参りのためだけではなく、近年は水面に小さな森が浮かぶような洲濱神社の不思議な美しさにひかれて、写真撮影に訪れる人も増えているのだそうです。
ぜひ、晴れの日を狙って訪れてみてください。
洲濱神社
住所/兵庫県姫路市林田町中構344
電話/079-261-2078(祝田神社)
最寄駅/JR東觜崎駅、JR姫路駅より神姫バス
【スポット 2】西はりま天文台(兵庫県佐用郡)
晴れた日、特にその夜に楽しみたいのが星空ですよね。姫路市から北西へ1時間ほど車を走らせると、標高435.5メートルの大撫山(おおなでさん)の山頂に美しいドーム型の屋根が見えてきます。兵庫県立大学西はりま天文台です。
天文学の研究に利用されている施設ですが、一般の人も自由に入館して見学できます。特に、大型ロボットのような格好をした『なゆた望遠鏡』は必見です。天体からの光を集める主鏡の直径が2メートルもあり、これは公開望遠鏡としてはなんと国内最大! 世界でも最大級の望遠鏡です。
主鏡が大きく、人間の瞳と比べるとその大きさは約8万倍もあります。そのぶん光が多く取り込めるため、より遠いところ、より細かいところまで鮮明に見ることができます。実際に『なゆた望遠鏡』のアイピースをのぞいて月の地形の起伏や120億光年先の天体を見るには、土・日・祝日の午後7時半から開催される『天体観望会』に参加するのがベスト。土曜日と祝日は予約が必要です。
一方、昼間の観望会に参加すれば、西はりま天文台で公開望遠鏡のパイオニアとして活躍してきた『60cm望遠鏡』で太陽、金星や水星、一等星を見ることができます。青空をバックに星が見えると感動しますよ。
とはいえ、天文科学専門員の竹内さんのおすすめは、やっぱり夜に訪れて星を感じること。「夏には、月がなければ天の川もしっかり見えます。街ではなかなか見られない星に親しんでもらえれば」と話します。
夜の間たっぷり星空を楽しみたい人や、夜が更けてからの下山が心配な人は是非宿泊を検討してください。宿泊者向けには曜日を問わず毎晩観望会が開催され(休館日を除く)、観望会後は小型望遠鏡を借りて星空の観察を続けることができます。1室定員5人までの家族・少人数用ロッジのほかに、団体向けのロッジも整備されていて、快適に過ごすことができます。
おまけと言ってはなんですが、大撫山からは利神山(りかんざん)がよく見渡せます。「西はりま天文台北館付近から見る『雲海に浮かぶ利神城(りかんじょう)跡』」は、『ひょうごの景観ビューポイント150選』にも選ばれる絶景で、北館前には双眼鏡が設置されています。宿泊すれば『佐用の朝霧』と呼ばれる早朝の雲海がばっちり見られるかもしれません。
兵庫県立大学西はりま天文台
住所/兵庫県佐用郡佐用町西河内407-2
電話/0790-82-3886(天文台)/0790-82-0598(管理棟)
開業時間/9:00~21:00(自由見学は南館9:00~18:00、北館9:00~17:00)
休業日/毎月第2・4月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始
入館料/無料
駐車場/あり
最寄駅/JR佐用駅
http://www.nhao.jp/public
【スポット 3】平福宿(兵庫県佐用郡)
『利神城』の歴史は中世までさかのぼりますが、その後江戸時代に入って池田輝政の甥・池田出羽守由之が5年の歳月をかけて大改修をしたことがわかっています。三層の天守を持つ山城は『雲突城』とも呼ばれる立派なお城でした。
利神城の城下町として町並みが整備され、利神城の廃城後、因幡(いなば)街道有数の宿場町として栄えたのが平福です。
佐用川沿いの川端(かわばた)風景は、当時の面影を残す平福らしい景観として必見です。川沿いに石垣が張り巡らされ、土蔵や川座敷が点在して水面に映る姿は美しいものです。連子窓や格子戸の家並みが残り、暮らしのあちこちに宿場町の雰囲気が感じられます。
現在はお休み処として利用されている『瓜生原(うりゅうばら)家』は徳川吉宗の時代に津山から移り住んで鋳物業を営んでいました。家屋には軒下の日除け目隠し、ぶっちょう造り(降ろすと縁台になる上下開閉式の雨戸)、格子など町家の特色が備わっています。
また、平福宿の南の端には宮本武蔵が13歳のときに新当流の有馬喜兵衛に初めての決闘を挑んで一刀のもと倒したと伝わる場所があり、碑が立っています。すぐそばには刑場跡や供養のために建てられた六地蔵があり、かつての町の様子が想像されます。
現在、利神城の城跡は石垣や登山道の崩落の危険性があるため、登ることができません。そのため、平福は利神城跡を最も近くで鑑賞できるスポットでもあります。おすすめは、道の駅『宿場町ひらふく』の駐車場にある展望デッキからの眺めです。
もちろん道の駅では、特産品の買い物や食事を楽しんでください。ジビエの加工品や無農薬・無添加のひまわり油ドレッシングなど、特徴的なお土産が多いのも魅力です。更衣室が備わったサイクルステーションもあり、旅の中継地として便利ですよ。
道の駅『宿場町ひらふく』
住所/兵庫県佐用郡佐用町平福988−1
電話/0790-83-2373
開業時間/8:30~18:00
休業日/水曜日
駐車場/あり
最寄駅/智頭急行平福駅
https://hirafuku.jp
【スポット 4】湯郷温泉(岡山県美作市)
さあ、岡山県へとやってきました。津山への道中で、美作(みまさか)三湯のひとつに数えられる湯郷(ゆのごう)温泉に立ち寄るのはいかがでしょうか。
湯郷温泉は、その昔、比叡山の円仁法師が白鷺に導かれて湧き出す温泉を発見したのが由来とされ、別名を『鷺の湯』と言います。
ナトリウム、カルシウム塩化物泉は美肌づくりの湯とも言われ、元湯『湯郷鷺温泉館』で日帰り入浴も楽しめるほか、レトロな町歩きがおすすめの温泉郷です。
町のシンボルになっているのが、この、高さ約8メートルのからくり時計です。時間がくると、岡山に伝わる巨人『さんぶ太郎』が屋根を持ち上げて登場し、見ごたえたっぷり。湯郷温泉の歴史も教えてくれる4分間のからくり寸劇は鑑賞する価値があります。
温泉郷の中心にある足湯『ふれあいの湯』の不思議な形は、京まで3歩で行ったという『さんぶ太郎』の足形なんだそうです。38度のお湯にゆったりと足を浸けてみてください。
高台の湯神社や薬師堂に始まり、国内産小麦と天然酵母を使ったパン屋さん、おもちゃを集めた3軒ものミュージアム、庭が美しいカフェなどがあり、静かな町をゆったりと歩いて巡るのが楽しいのが湯郷の魅力です。近隣にはサワードゥのパン屋さん、地元で親しまれる豆腐屋さんもあり、新しいもの好きにもレトロ好きにも嬉しいですね。
ふれあいの湯(湯郷温泉の足湯)
住所/岡山県美作市湯郷566-1
電話/0868-72-0374 (湯郷温泉観光協会)
営業時間/10:00~19:00(11月~2月は10:00~18:00)
定休日/なし
料金/無料
駐車場/あり(専用、または観光案内所前を利用)
最寄駅/JR林野駅
http://www.city.mimasaka.lg.jp/kanko/apa_stay/spa/1571364126962.html
【スポット 5】津山城(岡山県津山市)
岡山県北で外せない名所といえば、『日本100名城』に選ばれる津山城です。森忠政が築城した当時の建造物は明治の廃城令により残っていませんが、見ごたえのある石垣と築城400年を記念して復元された備中櫓(やぐら)が見事です。
城の通称『鶴山』にちなんで『鶴山公園』と呼ばれる公園は市民が集う憩いの場です。特に、4月に開催される『津山さくらまつり』は毎年10万人以上が訪れるビッグイベント!
それもそのはず。敷地内には約1,000本の桜の木が植えられていて、春にはこの櫓が淡い桜の森に埋もれてしまうほどなのです。
鶴山公園を眺めながらゆっくりと過ごしたい人は、『ザ・シロヤマテラス津山別邸』に宿泊するのもおすすめです。
津山城の東側には城下町『城東町並み保存地区』が整備されているので、散歩にでかけてみてください。出雲街道沿いに残された江戸初期以来の商家や町割は情緒があり、新しいレストランやお宿もあっておしゃれな町歩きができますよ。
津山城(鶴山公園)
住所/岡山県津山市山下135
電話/0868-22-3310(津山市観光協会)
営業時間/4~9月:8:40~19:00、10~3月:8:40~17:00
※さくらまつり期間中は7:30~22:00
休園日/12月29日~31日
入園料/大人310円、中学生以下 無料
駐車場/普通車30台、バス6台(津山観光センターを利用)
最寄駅/JR津山駅
https://www.okayama-kanko.jp/spot/10439
【スポット 6】奈義町現代美術館(岡山県勝田郡)
旅の最後に足を延ばしたいのが、奈義町現代美術館(通称、NagiMOCA/ナギ・モカ)。『大地』、『月』、『太陽』の3つの展示室からなる美術館は、普段、アートに縁がないと思う人にもおすすめです。
まず、圧巻は存在感を放つその外観。巨大なコーヒータンブラーのような格好をした『太陽』の展示室は、那岐山の濃い緑によく映えます。設計を担当した世界的な建築家、故・磯崎新氏は、日本文化を独自に解釈する芸術家を選定して、奈義町でなければ見られない美術館を作り上げました。
『大地』に展示されている宮脇愛子氏の ≪うつろひ-a moment of movement≫ は、ステンレスワイヤーがダイナミックな弧を描く作品です。石や水の間から飛び出したワイヤーは、外気や日光、風、雪の影響を受けて刻一刻と表情を変えます。見るともなしに眺めていると奈義の自然の力まで感じられるから不思議です。
© 1994 Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of Madeline Gins.階段をのぼって『太陽』の展示室に入ると、そこに現れるのは公園の遊具? 日本庭園? これが、荒川修作+マドリン・ギンズの ≪遍在の場・奈義の龍安寺・建築する身体≫ という作品です。失われた平衡感覚の中で、目に映る物を捉えようと脳みそがフル回転する不思議な体験があなたを待ち構えています。
ナギ・モカには、行ってみなければ分からない不思議な魅力があります。独特で、奇妙で、それでいてほっとする美術館を、ぜひ旅の行程に加えて楽しんでくださいね。
奈義町現代美術館
住所/岡山県勝田郡奈義町豊沢441
電話/0868-36-5811
営業時間/9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日/月曜日(祝日の場合は開館)および祝日の翌日、年末年始
入館料/一般700円 高校生500円 小中学生300円
駐車場/あり
最寄駅/JR津山駅
https://www.town.nagi.okayama.jp/moca
瀬戸内Finderフォトライター 堀まどか
▼記事提供元
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