「自由に選択したい」が学生の本音?学校の制服について考える
近年、時代の流れや気候の変化などを踏まえて、学校の制服を見直したり自由化する動きがあります。
そこで、制服について、広島の街で聞いた中高生の本音や、実際に見直しをした学校の事例をご紹介します。
制服は必要だと思う?というアンケートの回答結果(出典:Studyplusトレンド研究所「学校のルールについての意識調査」)
【制服は必要?不要?街の中高生の本音】
広島市内で、制服は必要か不要か、中高生の本音を聞いてみました。
「必要。朝、服を選ぶのが楽」
「私服だと個人差が出て、学校で差別が出てしまいそう」
という必要派と、
「制服に縛られずに好きな服装で学校に行ってみたい」
という不要派と意見はさまざまでしたが、多くの中高生が
「制服の選択肢がほしい」
と話していました。
インタビューの様子
また、
「スカートなので、ズボンとかもっと動きやすかったらな…と思います」
といった意見も。
こうした「スカートだけではなくズボンも欲しい」という声に比例してか、女子スラックスの新規採用校数は、ここ数年で急増しています。
カンコー学生服 女子スラックス新規採用校数(出典:カンコー学生服 2023年2月末時点)
【制服の自由選択制】
制服の選択肢がほしい、という意見がある中、広島県内の中学校教員の鬼頭 暁史(あきふみ)さんは、広島県内の全ての学校で「制服の自由選択制」を導入する署名活動を行っています。
オンライン署名サイト「Change.org」で13,000人以上の賛同を得ているそう
鬼頭さんが署名活動をしている「制服の自由選択制」は、スカート・ズボン・ネクタイ・リボンなどを「男性だからズボン」、「女性だからスカート」といった考えではなく、自分で選べるようにしたいというもの。
「自分が中学校の教員をしていて、不必要な区別がある事で悩んでいる子どもに会ってきて。学校が安心して過ごせる場所になればと思ったのが、この署名活動のきっかけです」
と、鬼頭さんは話します。
【制服の見直しに挑戦した学校】
実際に制服の見直しをした学校に話をおうかがいしました。
北広島町にある広島新庄中学・高等学校です。
広島新庄中学・高等学校
「生徒会発案で、『私服Day』を初めて行いました。私服での登校を許可する日を作って、生徒のコミュニケーションを活性化させる取り組みです。実行に時間がかかったんですけど、なんとか2月に実行することができました」
と語るのは、藤田 進太郎先生。
私服Dayの様子
この「私服Day」に対し、生徒会長の廣川 翔一朗さんは
「制服が良くないということではなく、みんなの個性を出せるようにしたいなと思って実行しました。『私服Day』を実行したことで、制服の良さも分かりました。制服に着替えたときに、勉強するぞという気持ちにもなる」
と話します。
「私服Day」実行後のアンケートには、
「服の選択肢が増えて楽しかった」
「他のイベントにも取り入れてほしい」
といった肯定的な意見が多かったそうです。
一方、「私服Day」を実行するまでに教員同士での議論や課題はあったのでは?
「ありましたね…(笑)学校としての個性をどうアピールするか、一人一人に個性があるように、学校も一校一校に個性があります。制服など、学校の個性と、生徒の個性をどう両立させるかが課題ですね」
また、同校では、今年1月から制服に女子用スラックスも導入。
気候や季節に合わせて、スカートかスラックスを選べることが、学校での過ごしやすさにつながっているんだとか。
「冬は寒いからズボンでいいかな(笑)」と話す生徒たち
制服は学校のアイデンティティですが、世の中の流れや気候の変化などを考慮して、必要に応じて見直してみても良いのかもしれません。
広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年5月10日放送)
ライター:神原知里