時代錯誤な「ブラック校則」はなぜ存在する?校則の見直しについて解説します

昨年、文部科学省が生徒指導提要を12年ぶりに改訂。

それに伴い、広島県教育委員会は積極的に校則の見直しをするよう、通知を出しました。

そこで、今回は学校の厳しすぎる校則、通称「ブラック校則」の実態や、校則を実際に見直した学校の事例をご紹介します。

 

 

【なぜブラック校則は存在するのか】

「下着の色を指定される」
「お団子やポニーテールはしてはいけない」

こうした時代錯誤、ともすればハラスメントまがいの校則が、なぜいまだに存在するのでしょうか。

 

Studyplusトレンド研究所「学校のルールについての意識調査」アンケート

 

「1980年代頃、学校が非常に荒れた時期がありました。その時に、生徒を取り締まるために制定された厳しい校則が今なお残っている」

そう語るのは、校則や部活動など、学校内の問題を研究している名古屋大学大学院の内田 良 教授。

 

「ゼロベースで校則を見直してもいい時期なのでは」と話す内田教授

 

「もう少し子どもを信じていいのではないか。コロナ禍でストレスフルな3年間を送っているが、学校は荒れていない。そう考えると、大人側が反省しないといけないと思いますし、大人と子どもが同じ立場で信頼関係を作るという時代にきていると思います」

 

 

【校則を見直す際のポイント】

では、厳しすぎる校則をどう見直していけば良いのでしょうか。

「子どもたちの自由や主体性を尊重するという意味でも、あまりにも子どもたちを縛りすぎていた。最小限必要なルールを問い直していくべきではないかと思います」

 

校則を見直す際のポイント

 

生徒が主体的に考えることが、学校だけではなく、社会全体にとっても重要だと内田教授は考えます。

「上から言われたことを事細かく守る人間を作る。そういった教育の時代はもう終わっていると思うんです。自分で選び、考える。社会全体で子どもをどう育てていくのか、そのビジョンを考えていく必要があります」

 

 

【校則の見直しが実現した学校】

実際に校則の見直しをした学校が、広島市内にあります。

創立100年以上の伝統を誇る安田女子中学高等学校(以下、安田女子)です。

県内でも校則が厳しいと言われていた安田女子が、どのように校則を変えたのでしょうか。

 

「自分たちで(校則を)変えられると思ったことがなかった」と話す生徒たち

 

「NPO法人カタリバさんと、生徒の対話をテーマに、ルールについて考えていくことを始めたのがきっかけです」

そう話すのは、ルールメイキングプロジェクト担当の西田 賢介先生。

 

NPO法人カタリバが2019年から始めたルールメイキングプロジェクト。

生徒が主体となって校則を考え、対話を通して、先生や保護者と校則を見直していく取り組みです。

 

NPO法人カタリバのルールメイキングプロジェクト

 

生徒と先生の意見のズレを補うため、アンケートを行い、その結果をもとに対話を繰り返したそう。

そうした結果、ルールメイキングプロジェクトで、校則の見直しが実現しました。

 

安田女子がルールメイキングで見直した校則

 

校則の見直しが実現したことで、生徒が先生に対して校則の話をしやすくなったんだとか。

 

各学校で校則の見直しが進んでいます。

それを潰すのか大きくできるのかは、大人が「一緒に考えよう」という姿勢をもって、対話できるか次第なのかもしれません。

 

広島ホームテレビ『ピタニュー』(2023年5月3日放送)

ライター:神原知里

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