広島大学の「キャンパスまるごと博物館」野生動物が1,000種類以上|地球派宣言
春の日差しが降り注ぎ、生き物が活動し始めた3月、数多くの野鳥を観察できる意外な場所があります。
観察風景
オシドリ
実はここ、大学のキャンパスなんです。広島県東広島市にある広島大学。
キャンパスの広さは、マツダスタジアム約50個分。これまで、野生動物が1,000種類以上確認されています。
広島大学空撮
野鳥
この豊かな自然を守る取り組みが「キャンパスまるごと博物館」です。
広島大学総合博物館の館内だけではなく、キャンパス全体の動植物、野生の生き物や植栽も含めて生きた展示とすることで、屋根のない博物館という発想です。
定期的に動植物の観察が行われており、活動の中心となっているのは、広島大学総合博物館。
観察には、学生やボランティアも参加します。
3月に入り、どのような生き物に出会えるのでしょうか?
観察メンバー
観察風景
キャンパスの建物のそばで見つけたのは、市街地でもよく見かけるジョウビタキ。
春を告げるホオジロのさえずりも聞くことができました。
ジョウビタキ
ホオジロ
このキャンパスで最も多い鳥がヒヨドリ。
花の蜜が大好物で菜の花を咥えていました。
広島大学・東広島キャンパスでは、広島県内で確認された野鳥の約3分の1、約100種類の野鳥が確認されています。
これだけ多くの野鳥が集まるのは、多様な環境が残されているだけではなく、周囲を山でおおわれたキャンパスが野鳥の通り道になっていることも理由です。
ヒヨドリ
池のカモ
キャンパスの中で、里山の環境を残す場所があります。
発見の小径(こみち)と呼ばれる自然散策道で、湿地や池、隣接するアカマツ林には、昔ながらの里山の環境が維持されています。
発見の小径
里山の環境
発見の小径では、春一番に咲くアセビの花やニホンアカガエルのオタマジャクシを観察することができました。
ニホンアカガエルは、水田など産卵場所が減っているため数が減少し、広島県の準絶滅危惧に指定されています。
アセビの花
ニホンアカガエルのオタマジャクシ
広島大学総合博物館では、キャンパスで観察したデータや写真を「広島大学デジタルミュージアム」にアップロードして情報を発信しています。
さらに、広島大学総合博物館研究報告に投稿されることもあります。
アップロード風景
広島大学デジタルミュージアム
取材に同行させて頂いた広島大学総合博物館の池田誠慈さんは、「キャンパスまるごと博物館」という活動を通して、色んな生き物がいることを見て、知って、楽しんで欲しい。
そして、そこで終わるのではなく、自然を守るために何ができるかを考えて、行動できる人材が育っていって欲しいとメッセージを頂きました。
広島大学総合博物館の池田誠慈さん
「発見の小径」など見てみたいと思った方は、観察する前に広島大学総合博物館の受付で配布しているパンフレットを受け取り、危ない場所や採取してはいけないものなど説明を受けてから観察するようにして下さい。