海が見える客室、薪火料理、日本初の焙煎所。瀬戸田に生まれた複合施設/SOIL Setoda(広島県尾道市)
旅行者と地域住民の交流拠点『SOIL Setoda』
しまなみ海道の中心に位置する瀬戸田町・生口島。のどかな風景が広がる瀬戸田港から徒歩1分の場所に2021年オープンしたのが、客室やレストラン、ショップなどを備えた複合施設『SOIL Setoda』。旅行者と地域住民との交流拠点として注目を集めているスポットです。
築140年の塩蔵を改装した『SOIL Setoda KURA』(写真左)と、その道向かいに新築された『SOIL Setoda LIVING』(写真右)の2棟で構成されています。
ショップやコーヒー焙煎所を備えた「蔵」
まずは『SOIL Setoda KURA』をご紹介。宿泊する場合は、こちらでチェックインを済ませましょう。
風情ある外観とは打って変わったスタイリッシュな空間は、瀬戸田のおみやげ品や『SOIL Setoda』のオリジナルグッズを取り扱うショップにもなっています。
オリジナルのサウナタオルが可愛い! これを購入して、徒歩すぐの場所にある銭湯『yubune』に行くのもイイですね。
ポートランド発『Overview Coffee』の日本初拠点
『SOIL Setoda KURA』には、コーヒーの焙煎所も併設されています。ここは、アメリカ・ポートランドで発足した『Overview Coffee』の日本初の焙煎所。
『Overview Coffee』は、地球温暖化の抑制に対して最も効果的な農法と言われる「リジェネラティブ・オーガニック農法」で生産された豆を中心に扱うコーヒーブランドです。
焙煎所横のスタンドではコーヒーのワークショップやゲストバーテンダーを招いたイベントなどを定期的に開催しています。
もちろん、ここで焙煎された豆の購入も可能。豆本来の風味を活かした、フルーティーな浅煎りコーヒーが中心に並びます。
瀬戸田の人や自然に触れるアクティビティも
「自転車で瀬戸田の街を散策してほしい!」との想いから、レンタサイクルを用意。またローカルなスポットを巡るサイクリングツアーや地元農園でのレモン収穫体験など、地域の人や自然と触れ合えるアクティビティも充実しています。
「瀬戸田での暮らしを身近に感じて、『また来たいな』『瀬戸田での体験を友達に話したいな』と思ってもらえる場所にしたいんです」と話すのは、『SOIL Setoda』のマネージャー・鈴木慎一郎さん。「ここで過ごしたことをきっかけに、瀬戸田への移住や、生活拠点の一つにすることを考えてくれる人が増えたらいいなと思います」。
「街のリビングルーム」
次は、ラウンジスペースとゲストルームを備えた別棟『SOIL Setoda LIVING』へ。
1階のラウンジスペースはその名の通り、宿泊者や地域住民の休憩スペース、地元学生の勉強場所、ワークスペース(電源・Wi-Fi完備!)など、誰でも自由に利用できる「街のリビングルーム」として機能しています。取材時も、店内は観光で訪れた人と地元の常連さんたちで賑わっていました。
階段状に席の高さを変えているので、どこに座っても海が見えます。雨が少なく日照時間が長い瀬戸田。窓からさんさんと陽光が注ぎ、まるで日向ぼっこをしているような気分に…。
地元食材を使った新感覚な料理「薪中華」
ラウンジスペースはレストラン『MINATOYA』としても営業しており、モーニングから月替わりのランチ、カフェ、ディナーまで楽しむことができます。東京やアメリカの名店などで腕を磨いてきた若き実力派料理人、鬼崎翔大さんがヘッドシェフを務めます。
ディナータイムに登場するのは、薪火で調理するスタイル×中華のエッセンスを掛け合わせた「薪中華」の料理。
瀬戸田近郊の農家さんが育てた野菜や肉、漁師さんが獲った魚介などの新鮮な旬食材を、薪火という「より自然に近い火」でじっくりと焼き上げます。やわらかな食感と、こうばしい薫香が薪火料理の魅力。
「タコ麻婆」や香味ソースを合わせた魚の薪焼きなど、新感覚な地産料理を満喫しましょう!
「生産者さんのもとに毎日足を運んだり、自ら漁に出たり、東京ではできないことが瀬戸田ではできる。それがすごく嬉しいんです」と笑顔で話してくれた鬼崎さん。摘果された小さな柑橘類を安く買い取ってメニューや調味料に活用するなど、フードロス対策にも力を入れています。
カフェタイムには、パティシエが旬の果物とスパイスを組み合わせて作る焼き菓子をどうぞ。写真はケークサレ。野菜の甘みがしっかりと感じられ、軽食にぴったりです。『Overview Coffee』のコーヒーも味わえますよ。
オーシャンビューのゲストルーム
2階はゲストルームになっています。プライベートルームが4室と、4つのカプセル型ベッドを備えたドミトリールームが1室あります。
客室はオーシャンビュー! プライベートルームはコンパクトなつくりですが、窓が大きく取られ、デスクやベッドなど必要なものがすっきりと配されていてとても快適。ワーケーションで中長期滞在する人も多いのだとか。たしかにこんな素敵な空間だと、いつもより冴えたアイディアが浮かびそうです。
ドミトリールームは一人旅はもちろん、グループ旅行にもオススメ。
ベッド脇のカウンターは、座って作業できる高さ&ノートパソコンやコスメなどを拡げられる幅に設計されています。使い勝手が良い!
瀬戸田の魅力発信&サステナブルな地域づくり
『Overview Coffee』の開設や規格外食材の活用などを通して、サステナブルな地域づくりを目指す『SOIL Setoda』。今後は施設の隣に、農作物の栽培や収穫体験などができる農園を作っていくとのこと。すでにコーヒーかすや生ごみを堆肥化する取り組みを始めているそうです。
さまざまな「楽しい!」「面白い!」が詰まった複合施設で、瀬戸田という土地が持つ豊かな魅力と、新しいローカルのかたちに触れてみてください。
SOIL Setoda(ソイル セトダ)
住所/広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田254-2
電話/0845-25-6511
営業時間/MINATOYA(ミナトヤ)・SOIL Setoda 1F 8:00~21:00
https://soilis.co/locations/setoda/
瀬戸内Finderフォトライター ヒロエ カナコ
▼記事提供元
「瀬戸内Finder(ファインダー)」は、瀬戸内を共有する7県(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県)の魅力を世界に発信しています。