あんな場所にも!冬を越す虫たちを大捜索|地球派宣言
寒くなると姿を見かけなくなる虫。
一体どこで、どんな姿で、冬を過ごしているのでしょうか?
この疑問を解決するために、広島市森林公園こんちゅう館を訪ねました。
まず出迎えてくれたのは、たくさんのチョウ。
寒い冬なのに、なぜ元気に飛び回ることができるのでしょうか。
その秘密は「気温」にありました。
オオゴマダラこんちゅう館の技師、佐藤祐輔(さとう・ゆうすけ)さんによると、どの季節でもほとんど同じ体温を保つ人間や哺乳類と違い、昆虫は変温動物のため体温を自分で調節できないそうです。
広島市森林公園こんちゅう館の佐藤さん冬になり気温が下がると、昆虫たちの体温も下がり活動を止めてしまうようです。
たとえば先ほどのチョウたちが飛び回るパピヨンドームは、1年中20℃以上に保たれていますが、取材した日の外の気温は5℃。
パピヨンドーム内の温度厳しい寒さの冬を過ごす昆虫たちを探しに、こんちゅう館の周囲を探してみます。
昆虫を探す佐藤さんすると早速、木の枝の先にオオカマキリの卵を発見しました。
オオカマキリは卵で冬を越す昆虫で、特徴的なこのモコモコした泡は、外からの衝撃や、極端な低温によって卵が凍らないための断熱材の役割を果たしているのだそう。
オオカマキリの卵続いて、アゲハチョウの食草が植えられているビニールハウスに向かった佐藤さん。
食草が植えられているビニールハウス葉にそっくりな姿で冬を越す、クロアゲハのさなぎがいました。
天敵の鳥などに食べられないよう、葉や木の枝、枯れ葉に紛れているようです。
クロアゲハのさなぎそして、冬を越す虫たちは草や木だけではなく、私たちの身近な場所にもいました。
建物の窓にくっついていたのは、ミノムシです。
落ち葉で作った家の中で、寒さをしのいでいます。
窓にくっつくミノムシそしてこんなところにも。
池の水は冷たく、過酷な環境に思えますが、凍らない限り水温は0℃を下回らないため、外の気温より暖かい場合もあるのだそうです。
池で昆虫を探す佐藤さん池の底でじっとしていたのは、クロスジギンヤンマのヤゴ。
水の温度が低いときは、ほとんど体を動かさないようで撮影中も微動だにしませんでした。
冬になると、昆虫を見かけることは少なくなりますが、木や、建物、水の中など、よく目を凝らすと、春を待つたくましい姿を発見できるかもしれません。
クロスジギンヤンマのヤゴ