聖徳太子が創建と伝わる「浄土寺」日常の中にあるお寺で初詣
広島県尾道市の街中にあり、観光客だけでなく近所の方が日常的にお参りするお寺「浄土寺」。国宝に指定されている本堂にも、自由に入ることができます。今回は、そんな浄土寺へ取材に行き、初詣のお参りの際に知っておくとより楽しめる情報を副住職に伺ってきました。
浄土寺の縁起
浄土寺は、616年聖徳太子の創建と伝えられています。1336年、足利尊氏が九州平定や湊川の戦いの際、戦勝祈願した寺としても有名です。浄土寺の建築の多くは、国宝や重要文化財に指定されています。
浄土寺へのアクセス
浄土寺は尾道の街中にあり、徒歩で参拝する場合は、国道2号線沿いにあるこちらの階段から中に入れます。車の場合、2号線から1本内側の道に入る必要があります。後述しますが、正月3が日は「おのみち生涯学習センター」のグラウンドが臨時駐車場となるため、ナビで検索する際には「おのみち生涯学習センター」と入力するのがおすすめです。浄土寺周囲は道幅が狭いため、車幅の広い車は要注意です。
徒歩:尾道駅より約25分
路線バス:尾道駅より約10分 浄土寺下で下車
タクシー:尾道駅より約5分 1,000円程度
新尾道駅より約15分 1,300円程度
車:尾道IC・福山ICより約30分
初詣で混む日取りは?
12月31日~正月3が日の人出は分散傾向にあり、特別混み合う日はないとのことでした。
駐車場は?
平時にお参りする際は、浄土寺の境内にある駐車場を利用できます。前述しましたが、正月3が日は「おのみち生涯学習センター」が臨時駐車場となります。生涯学習センターから浄土寺までは徒歩5分程度です。
正月3が日のお楽しみ
キッチンカー
1月1日・2日の2日間限定で、浄土寺境内にキッチンカーがやってくるそうです。メニューは現在検討中とのこと。副住職は「温かいものにしようかな」と話されていました。どんなメニューが並ぶのか楽しみですね。
お守り作り体験
2023年のお正月3が日には、お守り作り体験が開催されます。お正月に開催するのは初めてだそうです。お守り作り体験では、お守りの中に入れる木札を決め、色とりどりのお守り袋から好きなものを選び、自分で組み立てます。お守り袋は、生地は同じでも柄の位置が違うため、世界に1つのオリジナルお守りを作れるとのことでした。
2023年に向けて気持ちを新たに、自分のため、家族や友人のため、大切な人のためにお守りを作ってみるのはいかがでしょうか。お守り作り体験には、予約なしで参加できるので、興味のある方はぜひのぞいてみてください。
枚数限定の花朱印
浄土寺オリジナルの花朱印ですが、お正月には特別仕様の御朱印を準備されるとのことです。上記の写真は11月の花朱印です。花朱印には、季節の押し花と、花言葉にちなんだメッセージが添えられています。お正月の特別なご朱印、気になりますよね。1枚1枚手作りなので、枚数限定となります。初詣でお参りした際には、ぜひチェックしてみてください。
さて、ここからは、境内にある歴史的な建築をご紹介します。
浄土寺の入口【山門】
車で行く場合は、生涯学習センターに車を停めて、浄土寺の山門を目指しましょう。所要時間は歩いて5分程度です。山門は重要文化財に指定されています。
生涯学習センターから壁伝いに歩いていると、左手に裏門が現れます。こちらの裏門も重要文化財に指定されています。
バスでお越しの場合は、「浄土寺下」で下車し、山門へと続く階段を1段ずつ登ってみてください。
線路の下をくぐると、山門が見えますよ。線路とお寺の近さは浄土寺ならではです。階段はやや急なので、下から一気に登ると息切れしました。
階段を登りきって振り返ると、すぐ下に線路が見えました。浄土寺は、尾道の街の中に溶け込んでいるんだなぁと感じました。
浄土寺の境内
山門をくぐると、正面に本堂が見えます。初詣の際は本堂へお参りしてください。国宝指定の建物に入れるのは、とても貴重な体験です。
お賽銭箱より先は土足禁止で、本堂の中は撮影禁止となっています。本堂に入ると正面には仏像があり、手前に大きな賽銭箱が設置されていました。正座をして、鏧子(けいす)を2回「カーン」「カーン」と鳴らすと心地よい音が本堂内に響き渡り、手を合わせていると心がスッと落ち着きました。
本堂の左手には、庫裏(くり)及び客殿があります。こちらは1719年に建立されたもので、重要文化財に指定されています。庫裏内に受付があり、御朱印はこちらで入手できます。お正月3が日は拝観停止です。
〇拝観料:内拝600円/宝物館400円
山門から入ってすぐ左手にお手洗いがあります。
山門から入って右手を見ると、阿弥陀堂(左)と多宝塔(右)が目に入りました。歴史的な建築を見ると圧倒されますね。
多宝塔は国宝に指定されています。鎌倉時代末期、1328年に建立されました。700年近く前に建てられたんですね。
阿弥陀堂は1345年再建と伝えられており、重要文化材に指定されています。
浄土寺の特徴は?
浄土寺の建立は616年とされ、歴史的建築が多いのが特徴です。多くの建築が国宝や重要文化財に指定されています。尾道の街中に位置し、尾道の人たちによって守られてきたお寺です。「日常の中のお寺であってほしい」と副住職がおっしゃっていました。国宝である本堂へ自由にお参りできるのも、浄土寺ならではです。
ハトのエサやりができる
山門から入ってすぐ右手に、ハトのエサが置いてあります。1つ30円です。
正月3が日は、参拝客が多いため、午前中でお腹が満たされたハトたちは屋根から降りてこなくなるそうです。ハトのエサやりは子どもに人気とのことでした。
花朱印は1枚1枚手作りでデザインが違う
浄土寺独自の取り組みの1つに花朱印があります。通常の御朱印とは異なり、見開きで季節の押し花と花言葉から連想されるメッセージが添えられた御朱印です。月ごとに1枚ずつ手作りされています。お花選びやデザインは副住職が担当されているとのこと。1枚800円で、12月のお花はノースポールでした。押し花の色や配置が1枚ずつ違うため、気に入ったものを選ぶ際にはワクワクしましたよ。
お守り作り体験は2コースある
平時は2コースのお守り作り体験が開催されています。「ー道ー」は予約制、「ー楽ー」は予約不要です。どちらのコースもまれにお休みのことがあるため、どうしても体験したい方は、電話で問い合わせてからお参りしましょう。
オリジナル御朱印帳の販売
浄土寺オリジナルの御朱印帳がこちらです。1冊1,700円で販売中です。
つづいて、浄土寺の見どころスポットについてみていきましょう。
山門からの景色
山門からのぞくと、海が見えます。天気のいい日には、海がキラキラ光ってとてもキレイです。
パワースポット 願掛け石
本堂の手前にある丸い石。こちらは、横綱・陣幕久五郎が奉納した石です。願い事をして回すと願いが叶うのだとか。
石を両手で抱えてしっかり腰を落とし、力を込めて右に回してみましたが、ピクリとも動きませんでした。手を湿らせたり、石を前後にゆすったりしてから回すと、動きやすいとのこと。その通りにやってみると1cmぐらいズズッと動いてくれました。2人がかりで回す姿がよくみられるそうですよ。
奥の院
初詣で参拝される際に、時間に余裕があるようでしたら、奥の院までの山登りを検討してみてください。山の上から見る尾道の絶景、気になりませんか?
浄土寺の表門から出て、左に向かって歩いていくと…
奥の院につながるハイキングコースの入口が見えてきます。
ひたすら階段で登っていきます。普段運動不足だとかなりきつい道のりです。
息切れしつつ、やっと初めての案内版を発見しました。入口の案内も特になかったので、「いったいどこに向かっていて、どれぐらい歩くのだろうか」と思いながら登っていたところでした。このときすでに息が切れ、足はパンパンだったのですが、信じられないことに果てしない山登りはここからが本番です。結果的にはこの地点で約半分。ここからおよそ1kmの山登りが待っているので、登る際には覚悟してくださいね。
黙々と階段を登っていくと、鳥居を見つけました。「やっとたどり着いた!」と思ったのもつかの間、まだまだ道は続きます。
とてもいい眺めです。かなり上まで登ってきたのがわかります。山登りの醍醐味は、やはり山頂から見られる絶景ですね。疲れが一瞬だけ吹き飛びました。しかしながら、まだ奥の院を見つけておりません。ここからさらに、山道を進んでいきます。
さて、何とか奥の院に到着しました。奥の院から見える景色は、先ほどとは何やら違いました。右上に見える木はもみじですね。紅葉のシーズンに訪れると風情がありそうです。
浄土寺から登ってきた方は、奥の院に到着したら、来たルートを戻るのがおすすめです。奥の院から先にも道は続いていますが、コースの終着地点から元の場所に戻るまでに2kmほど別ルートで移動する必要があります。浄土寺から奥の院までは歩いて1時間弱かかるため、時間に余裕がある際には、ぜひ奥の院まで散策してみてください。お正月の運動不足解消にはピッタリですよ。
〇浄土寺
所在地:〒722-0043 広島県尾道市東久保町20-28
営業時間:9:00~16:30
駐車場:有(平時は境内に駐車可、正月3が日は臨時駐車場へ)
TEL:0848-37-2361
FAX:0848-37-4328
URL:http://ermjp.com/j/temple/access/index.htm
2023年の初詣、どこでお参りするか検討中の方は、尾道・浄土寺にて歴史ある建築に触れ、気持ちを新たにしてみてはいかがでしょうか。
※この記事の情報は2022年12月時点のものです。情報は変更になる場合があります。
ライター/林 詠美子