「紅葉のとなりで満開の桜」一体なぜこの時期に?【地球派宣言】
日に日に寒さが増すこの季節、自然の中で花を見る機会は少なくなりましたが、実はこの時期に開花して見頃の花もあることを、皆さんご存知でしたか?
紅葉が目立つ広島市東区の光が丘山根公園(ひかりがおか・やまねこうえん)。
ここで、ひときわ目を引いているのが満開のサクラ!毎年、この時期に咲いているそうです。
公園に咲く満開のサクラサクラといえば春の訪れを感じる代表的な花ですが、なぜ、この時期に咲くのでしょうか。
広島市植物公園の久保晴盛(くぼ・はるもり)さんによるとこちらは「ヒマラヤザクラ」という種類のサクラだそうです。
広島市植物公園の久保さんヒマラヤザクラは中国やヒマラヤが原産の野生種で、元々、秋から冬にかけて咲くサクラです。
久保さんによると「ヒマラヤ地域、ネパールや中国の南西部に共通のサクラの祖先が居たのではないかといわれている。それが中国を通って日本まで伝わったのが私たちの見ている野生のサクラ」だといいます。
ヒマラヤザクラサクラとひと言にいっても600もの品種があり、冬に咲くサクラは植物公園にも植えられています。
こちらの「コブクザクラ」は元々春に咲くサクラが親ですが、突然変異で休眠をするのをやめてしまったため寒い時期から咲き、1~2月の時期の真冬の時期は少しお休みし、また暖かくなってくるともう1回咲く、秋から冬と春、1年に2回咲くサクラなのだそうです。
コブクザクラ冬に開花するのはサクラだけではありません。高さ約4m、空に向かって咲く「皇帝ヒマワリ」。背が高いことから「皇帝」という名がつけられました。
「皇帝ヒマワリ」はメキシコ生まれの植物で、特にキク科の植物は、日が短くなると咲くという性質があるそうです。それで、秋から冬にかけての今の時期に咲くのだそうです。
皇帝ヒマワリほかにも同じキク科の「皇帝ダリア」。霜がおりると枯れてしまうほど寒さに弱い花ですが、11月下旬ごろに開花し、いまが見ごろです。
皇帝ダリアそしてこの「グラムサムツバキ」という香港原産のツバキは、見た目が目玉焼きのような形をしています。
久保さんは「花が少ない時期に一面に咲くので、ぜひ見て欲しい植物の1つ」と話します。
グラムサムツバキ寒空の中で懸命に咲く花々。この時期に開花する理由を久保さんに聞くと「花粉を運んでもらって種を残すことが花を咲かせる目的。冬は競争相手が少ないのであえてこの時期に花を咲かせている」と説明してくれました。
季節は冬。見られる花は少なくなりましたが、冬に咲く花には春とは違う魅力がありました。
満開のサクラ